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2006年07月21日

●蛍と教育

今年も、家族で蛍見物に出かけた。自宅から車で三十分ほどの小さな川だ。山あいなので、晴れた晩には、地上に蛍、空には満天の星が見えるという贅沢な場所である。
当夜も、初夏の星座に蛍の光が群れ飛ぶ景観に、しばし陶然としたひとときを過ごしたのであるが、そんな光景をじっと見つめていた中一の娘が呟いた言葉に胸をつかれた。
「日本中どこでも、蛍や星が見られるようになれば、簡単に人を殺しちゃうような子供はいなくなるはずなのにね。外は街灯やネオンでピカピカ、家の中ではテレビやパソコン、これじゃ誰でもおかしくなるよ。夜は静かで暗いのが自然なのに」
もっとも心に栄養を与えるべき年齢に、過度の刺激を与えられ続ければ、子供の心が壊れてゆくのは当然のことだ。
子供たちに必要なのは、インターネットやテレビゲームではない。青空や緑の草木、夜を彩る蛍や星の輝きといった、静かで穏やかな自然なのである。
百万編の教育論議を重ねるより、自然の風と光の中で子供たちの心を解放することこそが、何よりも急務なのではないだろうか。
 
(2004年7月16日 朝日新聞)

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