2006年09月03日

●天文台にドーム設置

移転工事中の西美濃天文台です。
ようやくドーム(6.5m)が乗り、天文台らしくなってきました。

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手前側には、これから太陽望遠鏡用のドームと、天球の座標をわかりやすく模型化した簡天儀というモノが設置されます。
ここまで工事が進んでくると、プラネタリウムを訪れたお客さんは皆さん興味津々、あれは何か、いつ完成するのかと尋ねられます。
今のところは、今秋中に完成という予定で工事が進行しています。宿泊施設はありませんが、40名程度が利用可能な研修室もできますので、さまざまな会合にも使用できます。
望遠鏡は、現在、メーカーにドック入りしてリファイン中。デジタル時代に即した機能を具備して再設置される予定です。竣工の折には、ぜひ多くの方に利用していただきたいと考えています。

2006年09月04日

●大盛況の徳山ダム湖底見学

湛水試験間近となった徳山ダムですが、水資源機構が湖底を案内するバスを運行しています。
25日から湛水試験開始ですから、そろそろ湖底見学も終了する時期とは思うのですが、昨日、3日現在ではまだ運行されており、新聞やテレビ等で湛水試験が大きく報道されたことを受けて、見学申込みが殺到し、バス運行回数を増便するなどして対応しているようです。

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昨日、プラネタリウムを訪れたお客さんの話では、土曜日から徹夜で並んでいるグループもあったそうで、その方も朝一番に申し込んだにもかかわらず、4時のバスまで待たされているとのことでした。
おかげで?プラネタリウムを訪れるお客さんも大幅に増加しており、昨日は夏休みが終わったにもかかわらず200人を越える方が来場され、駐車場が満車で入れないほどでした。

ダムの是非はともかくとして、湛水が始まれば旧徳山村のようすを見ることは永久にできなくなります。
ダムに賛成の方も反対の方も、是非一度、今月中に見学をされることをお勧めします。
なお、自家用車では付替え国道から見下ろすだけで、建設現場まで降りることはできません。

見学申込みは、藤橋城から駐車場を挟んで反対側にある「徳山ダム建設パビリオン」へお越し下さい。
土日祝日のみの運行のようです。団体以外は電話申込みは受け付けておらず、当日、現地での申込みだけとなります。

現地へお越しの際は、ぜひプラネタリウムへもいらしてくださいね。冷房の効いたドームで、満天の星空をお楽しみいただけますヨ。

写真:旧徳山村塚地内の揖斐川

2006年09月05日

●9月になっても忙しい!

長い8月がようやく終わり、ほっと一息つける9月がやってきた、と思ったら・・・。
9月第一週の土日、お客さんが来ること来ること。ふつうは9月になれば、たとえ土日でも夏休み中に比べればかなりお客さんが減るのですが、3日の日曜日は200人以上のお客さんが来館され、忙しい忙しい。
ダム見学がらみの団体予約もこれから先、けっこう入っていますので、まだしばらくは夏休み並の入館者数が続きそうです。出張観望会もいくつか予約が入っており、夜の方もそれなりに忙しそう。
こうした本来の業務に加えて、9月からは文化財の仕事もしなければならず、11月頃になれば天文台の観望会も始まりますので、冬までは仕事に追われる状態が続きそうです。
まあ、仕事がないよりはいいかと思いつつ、また、文化財の仕事にしても、新しい分野について学べる良い機会と自らに言い聞かせながら、がんばっていくつもりです。

2006年09月08日

●冠山地形地質考

揖斐川町藤橋の北端、岐阜県と福井県境にそびえる冠山は、烏帽子形の特異な山容で知られています。標高は1257メートルとさほど高くありませんが、ブナの原生林を縫う登山道や山頂直下のお花畑には高山の趣が漂い、山頂から俯瞰する県境の山並は壮観の一言です。

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山頂へは峠から二時間弱、尾根伝いの平坦な道をたどります。やがて冠平と名づけられる広いお花畑へたどり着けば、天に向かって槍を突き立てたような山頂が、すぐ目の前にそびえています。ここからは、少しばかりスリルが味わえる岩登り。それまでの道のりがなだらかだっただけに、山頂付近の急傾斜に驚かされます。

冠山を含めた越美山地は、国内でも有数の隆起が盛んな地域ですが、大昔には隆起活動が止まった時期があることが知られています。隆起が止まり、もっとも侵食が進んだ時代の準平原面が冠平、侵食に耐えて残った岩峰が冠山頂というわけです。その後、隆起活動が再開したために、冠平と山頂はそのまま持上げられ、現在の標高になりました。ちなみに冠山山頂付近は、チャートという非常に硬い岩石でできています。

冠平からは、縄文時代の石器が出土しています。とはいえ、縄文人が冠平に住んでいたわけではなく、どうやら尾根道を歩いていた縄文人が、うっかり落としていったらしいのです。冠山を含む県境の尾根道は、大昔から人々が往来した道だったのです。

(月刊「西美濃わが街」2004年7月号掲載)

2006年09月09日

●解説者は昼メシも食べられない!

先日、9月に入っても忙しい!と書きましたが、今日もまた厭になるくらい多忙な一日でした。
西美濃プラネタリウムと藤橋歴史民俗資料館が「西美濃生涯学習連携講座」という講座の会場となり、朝から130名ほどの方が来場、折から徳山ダム見学の方もたくさん来訪されたため、総数200台近くが停められる駐車場が満車となってしまいました。
プラネタリウムは一回投影を増やして一日6回、それでも二回目は86席のドーム内に90名以上の方がすし詰めの状態でした。
午前中に2回投影を行い、その後12時30分から3回目を行ないましたが、その間もひっきりなしにお客さんが来訪され、結局、私も相棒も、昼食を摂ることができませんでした。
夕方までに来場された人数は300名近く、この人数を二人きりでこなすのはなかなかしんどいものです。
明日は日曜日。団体予約こそありませんが、また昼食抜きになる可能性はあります。
嬉しいような悲しいような、昨今の盛況です。

そうそう、8日明け方の部分月食は、雷雨でまったくダメでした。夏の続きのような喧騒から早く脱け出して、一人静かに夜空を見上げたいのですが・・・。

2006年09月10日

●プラネタリウム=天文台?

予想通りというべきか、今日も270人ほどのお客さんが入り、プラネタリウムは大盛況でした。12時30分の投影は満席となり、最終の投影が終わってからも「もうプラネタリウムの投影はないのか」と受付で質問されるお客さんが何組もいらっしゃいました。

ドームが乗ってそれらしくなってきた天文台にもお客さんの興味が集中、何度も聞かれたのが「プラネタリウムがあそこ(天文台)へ移転するのか」という質問でした。一般の方の多くが、プラネタリウムと天文台の区別がついていないことは以前からわかっていましたが、あまりにたくさんの方から同じ質問が出ることに、今さらながら驚いてしまいました。

「プラネタリウムに行けば昼間でも星が見える」
「天文台では曇った晩でも星を見ることができる」
この二点も、一般の方の多くが誤解されていることです。
これだけ科学技術が進歩し、テレビやインターネットで宇宙の話題が毎日のように報道される昨今ですが、基本的な部分で天文という分野への理解が不足しているように感じるのは私だけでしょうか。

2006年09月12日

●徳山ダム見学は18日まで!

今月25日の徳山ダムの湛水試験開始まで僅かとなりました。
西美濃プラネタリウムへも見学に関する問い合わせが相次いでいますので、このブログでも見学のご案内をさせていただきます。
なお、見学できるのは今月18日(祝)までだそうです。見学ご希望の方はお急ぎ下さい。

1.個人で見学の場合
18日までの土日祝日、午前10時より、藤橋城(西美濃プラネタリウム)から駐車場をはさんだ向かい側の「徳山ダム建設パビリオン」で先着順に受付。参加費無料。
ダム堤体右岸展望所からダム上流展望所まで約1時間かけてシャトルバスで案内。
問い合わせ:徳山ダム建設パビリオン 0585-52-2550

2.団体で見学の場合
20日頃まで随時、個人見学と同様のコースを見学。
問い合わせ、申し込み:徳山ダム建設所総務課 0585-22-4711

なお、ダム見学をされる方は、ぜひ藤橋城(西美濃プラネタリウム)・藤橋歴史民俗資料館へもお立ち寄り下さい。

2006年09月15日

●こんな天文台ができます

建設中の新・西美濃天文台の完成予想パースです。
右上が60㎝望遠鏡を納めたメインドームでドーム径6.5m、左上奥にある小さなドームは、太陽望遠鏡を納めたドームで径2.8mです。また、太陽望遠鏡ドームの手前にある骨組み状のものは、内部に立つと天球の座標や北極星の位置がいながらにわかる「簡天儀」という装置です。

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メインドームの下は事務室やトイレ、太陽望遠鏡や「簡天儀」の下は研修室となっており、主望遠鏡は、昼間でも、ガラス越しに無料で自由見学ができるようになっています。
建設は順調に進んでいますので、11月からは公開できるのではないかと思います。

2006年09月19日

●久しぶりの揖斐高原

今日は夕方から快晴になりましたので、15cm双眼鏡を車に積んで、揖斐高原へ出かけました。
薄明中に到着すると、すでに先客が。
西の空を一通り流してから「松本さんですか?」と声をかけてきたその人は、地元の天文同好会、スターライト・パーティーで雪組組長?を勤められている米山さんでした。米山さんとは、揖斐高原に来るたびに会っているような気がします。それだけ熱心な方なのです。

米山さんは、りゅう座にある177P Barnard2彗星の観測に来たとのこと。私も見せていただきました。M101を小さく暗くした感じの非常に拡散した10等星でした。位置を知らなければ見つからないかもしれません。

最近の天文活動について話しながら見上げる空は、天の川こそ見えるものの何となくうす明るく生彩がありません。以前は暗かった北の方角も明るく、台風の湿った空気がまだ残っているせいもあるのでしょうが、揖斐高原の空も年々、悪化しているようで残念でした。
昼間は暑かったのに、揖斐高原の夜はしっかり寒く、季節の移り変わりを感じた今夜の観測でした。

2006年09月21日

●初秋の夜に

昨夜も観測に行くつもりだったのですが、夜になると透明度がかなり悪くなりましたので、夜空を見ながら夜の散歩に出かけました。
いつもは、繁華な通りを避けて畑の中の道を歩くのですが、昨夜は気分を変えて国道沿いの道を歩くことにしました。
歩道を歩く私の傍らを、何台もの車が通り過ぎます。夜の風に身を任せて歩いていると、車のスピードというものが空恐ろしいものに思えてきます。どの車もそれほど無茶なスピードを出しているわけではなく、せいぜい時速50kmというところなのですが、歩いている身から見ると、そんなに急いでどこへ行くという気がしてきます。
同時に、人間という生物に適したスピードは、やはり歩く速度なのではないかと、そんな気持にもさせられます。
国道からわき道にそれると、とたんにあたりは暗くなり、虫の声が私を包みこみました。
車の走行音とはまったく異なる優しい音色にほっとしながら、やはり人間は自然の中で生きるべきなのだ、排気ガスと騒音を撒き散らしながらひたすら目的地に向って突っ走る、そんな馬鹿げた道具に身を任せていてはいけないのだ、ふと何かの啓示のようにそんなことを思います。
時折立ち止まって見上げる夜空には夏の大三角が西に傾き、北東からはカシオペア座が高く昇り始め、歩くほどに心が静かになるのを感じながら、ただ黙々と歩いた初秋の夜でした。

2006年09月23日

●177P Barnard2観測報告

9月23日、よく晴れていましたので、藤橋で177P Barnard2を見てきました。

2006.09.23 20h30m JST m1=10.0 m2=- Dia=10′< DC=2 Tail=- 15cm×25双眼鏡

以上のとおりです。
核はおろか中央集光もほとんどない恐ろしく拡散した姿で、透明度が優れなかったこともあり、探すのにしばらくかかりました。これからは暗くなっていく一方ですので、未見の方は月が明るくなる前にぜひご覧いただきたいと思います。りゅう座の頭近くで高度もまあまあ高い位置ですから、10cm以上の光景と良い透明度があれば見つかるものと思います。

彗星を見る前は、双眼鏡でいて座を丹念に見ていました。いて座といえばM8などの散光星雲がすぐ頭に浮かびますが、球状星団の宝庫でもあります。NGCナンバーの小さな球状星団を星図と照合しながら見ていくと、なかなか味わい深いものがあります。

2006年09月25日

●寒谷峠銀砂幻想

 私たち天文ファンにとって「人工照明」というものは憎んでも憎みきれない仇敵のようなものです。明かりに追われて山奥へ山奥へと逃げてゆく天文ファンの姿は、我ながら悲しいですよね。
 ところが最近、ふとしたことから「心安らぐ人工の明かり」を見る経験があり、少しく人工照明に対する認識を新たにすることができました。

 私の住んでいる岐阜県藤橋村は、美しい星空に恵まれていることで有名です。これは、周囲を山に囲まれ、かつ人口が大変に少ないためなのですが、反面、四方どちらを向いても山ばかり、広い視界が得られないという欠点も併せ持っています。
 そのため、田舎に住んでいながら、観測する天体の高度が低い場合には、低空が見える場所へジプシー観測をすることになるのですが、南西の低空を見る際には、藤橋村と坂内村の村境にある寒川峠という場所に出かけます。藤橋村の中心部である横山地区にある夕日谷キャンプ場をかたわらに見て、さらに林道を上ったこの場所は、さほど広くはないものの、直接目に入る人工の明かりは皆無という恵まれた環境です。

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 昨年の冬のはじめ、シュワスマン・ワハマン第3彗星を見るために、15㎝双眼鏡を車に積んで、私はこの峠に出かけました。シュワスマン・ワハマン第3彗星はちょうど大バーストを起こしており、予報光度よりもはるかに明るい6等級、ダストの尾を流した雄大な姿を見ることができ、大満足した私は、同彗星が西空に沈んだ後も双眼鏡で西の空を彩る夏から秋の星座を探索していたのです。
 ふと気づいたときには、かなりの時間が過ぎていました。空は相変わらず透明そのもの、秋の天の川が雲のように頭上を流れ、そろそろ虫の声も聞こえなくなった山中は静寂そのものです。
 月の出が迫ってきたため、私は双眼鏡を片づけ、その日の観測を終えました。
 真っ暗な峠道を、慎重にハンドルを握りながら下ってゆきます。ヘッドライトに映し出されるのは、荒れた路面と葉を落とし始めた木々の影だけ、そんな山道をかなりのスピードで下っていた私は、ふと、前方に星の光を見た気がしていぶかしく思いました。もちろん、頭上には満天の星空が広がっているはずですが、ヘッドライトに幻惑されて星の姿は見えるはずもありません。

 おかしいな、と思った次の瞬間、たしかにフロントガラスの向こうにきらめく一群れの星を見つけ、私は車を停めました。
 車から降り、地平線からわずかに下方を見た私は、思わず息をのみました。
 それは、まさに星でした。輝星・微星が入り混じって、ちょうど低倍率で見る散開星団さながらに、きらめく星の群れが静かに明滅しているのです。角度で言えば、ほんの2~3度の範囲、散開星団というたとえが適切でなければ、漆黒のビロードの上に銀砂をひとつかみ、そっと撒いたような、控えめですが幻想的な星の輝きです。
 私は空を見上げました。木立の間から覗くまばゆいまでの秋の星々、そして私の足もと、初冬の闇に沈んだ下界にきらめく銀砂さながらのもうひとつの星の群れ。
 それは遙かに望む、藤橋村の明かりなのでした。
 藤橋村は人口わずかに450人、揖斐川が刻んだV字谷の僅かな平地に人々が寄り添うように暮らしています。その周囲は完全な無人地帯であるために、高所から見ると、ささやかな集落に灯る明かりの群れが、ちょうど散開星団のようにごく狭い範囲に寄り集まって見えているのでした。

目の敵扱いの人工照明ですが、このときばかりは頭上を彩る秋の星々と眼下に瞬く藤橋村の遠い街明かりの双方を、とても優しい想いで見つめることができました。
 初冬の峠道で見つけた「地上の星明かり」の話はこれだけです。
 私はふたたび車のハンドルを握り、人の暮らしの中へと戻っていったのでした。

Star Light Party通信 Vol.8(1995年)掲載加筆訂正
写真:ペルセウス座(55mm F2.8レンズにて)