●随筆「沖縄が呼んでいる」
我が家ではいま、「沖縄」がブームである。というより、沖縄に呼ばれていると言った方が正しいかもしれない。
以前、このブログにNHKの朝ドラ、「ちゅらさん」についてのエッセイを書いた。あれこれ書いたが、つきつめれば、我が家では全員が「ちゅらさん」というドラマの大ファンだという内容である。
ウチの家族はもともと寒さが苦手だ。夏になると元気になり、冬はひたすら耐え忍んで過ごす。カミさんなどは「岐阜なんかじゃなくてもっと南の島に移住したかった」と半ば本気で言うほどだ。娘は純日本料理が好みだが、私とカミさんは南方系の料理が好きで、タイに行った際も辛いといわれる現地の料理に何の抵抗もなかったし、チャモロ料理も好きである。沖縄そばは大好物のひとつであり、ゴーヤーチャンプルーも今のようにメジャーになる前から愛好していた。
「ちゅらさん」のファンであるのもそうした我が家の気風が根底にあるためだろうが、実のところ、カミさんと娘は沖縄へ行ったことがない。それが、今年に入って沖縄へ行きたいというムードが俄然、盛り上がってきた。
きっかけはもちろん「ちゅらさん」総集編の再放送と「ちゅらさん4」の放送である。放送を見て「やっぱり沖縄はいいなあ」と思っていたら、たまたま「ちゅらさん」のドラマ中に小道具として登場する本の実売版を見つけてしまった。残部一冊とのことで、もちろんすぐに買い求めた。
また、ある本で「東京の沖縄料理店」なる特集を見ていたら、何と私が以前、勤めていた会社のすぐ近くにある沖縄料理店がでかでかと紹介されていた。もう20年近く前になるが、その頃から沖縄料理を愛好していた私は、頻繁に会社から徒歩5分ほどのその店に通っていたのである。懐かしかったというより、運命的な何かを感じる再会であった。
さらに昨夜のことである。仕事の付き合いでちょっとした宴会に参加し、隣りの人と旅行の話になった。その人曰く、
「松本さんは星が好きだそうですが、昨年は娘と一緒に西表島に行ったんですよ。星が目茶苦茶きれいだったなあ。いや、ここ数年、沖縄にとりつかれてましてね。毎年、娘とあちこちの島に行ってるんです」
このように、偶然とはいえ、今年に入って沖縄がらみの出会いがあまりに多いのだ。
「神様が沖縄に行くようにって言ってるんじゃない? 絶対そうだよ」
娘は、当たり前のような顔をしてそう言う。
「そういうもんだよ。神様の言うことには従うもんだよ。小説を書くときもそうでしょ」
そうなのだろうな、と思う。
私は時折、小説を書く。うんうん苦労して書いた小説に限って文学賞に通らない。賞を貰えるのは、私流に言えば「天の啓示があった」作品である。そうした小説は、何の苦労もなくさらさら書けてしまう。
というわけで、春休みは久々に沖縄へ行くつもりである。神様が行くように言っているのだとすれば、私や家族にとって何かしら得るものがあるに違いない。
写真:バイクで沖縄本島を回りました。
