2007年06月01日

●6月1日の太陽面

西美濃天文台の太陽望遠鏡による、今日、6月1日の太陽面Hα画像です。

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シーイングは不良でしたが、極小期にしてはまあまあ大きな噴出型のプロミネンスが出ていました。
プロミネンスといっても形も継続時間もさまざまです。
ずっと同じ形のものもあれば、短い時間にどんどん姿を変えていくものもあります。
極大期になると、地球の何十倍もあるような巨大プロミネンスも出ますが、残念ながら今は太陽の活動がいちばん不活発な時期。
あと2~3年すれば、それなりに大きなプロミネンスが見られるものと期待しています。

2007年06月03日

●梅雨を控えて

梅雨を間近に控え、天文台周辺はいよいよ緑が濃くなっています。
写真は、隣接している藤橋歴史民俗資料館から見た天文台です。

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白亜の天文台は緑の中でよく目立つようで、こちらがプラネタリウムだと勘違いされる方がたくさんいます。
天文台の入口には「プラネタリウムは藤橋城の中です」と紙が貼ってあるのですが、お城の中にプラネタリウムがあるということがにわかに信じられない方も多いようです。
なかには天文台とプラネタリウムの違いをなかなか理解されない方も多く、説明に苦慮することもあります。
天文台は、昼間は公開していませんが、無料の自由見学通路からガラス越しに60cm反射望遠鏡を見ることができます。

2007年06月05日

●旧春日村の林道で

天気が良かったので、久しぶりに林道ツーリングに行きました。
といってもクルマですが・・・。本当はバイクで行きたいところですが、今、手元にすぐ乗れるバイクがないのです・・・。

旧春日村の奥に、押又谷という渓谷があります。近郊の林道をほとんど制覇した中、この林道だけは入ったことがありませんでした。地図によれば、途中で行き止まりになっているようです。
バイクならいいのですが、クルマの場合、行き止まりの林道はやっかいです。下手をするとバックでひたすら戻らなければならないかもしれないからです。

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で、用心しいしい渓流沿いの1車線道路をぐいぐい上っていくと、途中で漁協のおじさんと出会いました。何でも、今年からこの渓流が禁猟になったので見回っているとのこと。
おじさんから、最近、林道が延長されて池田山まで行けるという情報を得て、さらに上っていくと、なるほど、池田山と関ヶ原を結ぶ稜線に出ることができました。

途中はダートでしたが、稜線上の道はきれいな舗装路。遠く大垣や関ヶ原方面の景色を見ながら快適なドライブとなりました。
とはいえ、交通量は極端に少なく、莫大な費用を投じ、しかも壮大な自然破壊であるこの道が果たして必要なのだろうかと思いながらハンドルを握っていたことも事実です。
まあ、その道を走っている自分がそんなことを言えた義理ではないのですが、折しも緑資源機構の問題がクローズアップされる中、これ以上の林道建設は不要という気がします。
地方の道路整備はまだまだ必要という声もありますが、実際に田舎に住んでいる身として、林道に限らずこれ以上の道路は要らないと私は思うのです。
建設費用、維持管理費用、環境に及ぼす影響、どれをとってもマイナスにしかなりません。
道路整備が必要という「地方の声」にしても、お役人や業者が利権を確保するために、純朴な地方の住民をそう言わせるように焚き付けているだけのような気がします。

写真:押又谷の渓谷

2007年06月07日

●活発な黒点群

西美濃天文台で撮影した6月3日の太陽面です。

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非常に活動的な領域が見えています。
この領域では、今週初めにフレアが発生しました。
昨日、今日は、黒点群を囲むように花びら上の不思議な模様が見えています。
俄然、活発化してきた太陽面。
白色フレアがとらえられたらいいなあ。

2007年06月13日

●用水路に多自然型工法採用を

 田植えの季節を迎え、どの用水路にも水がこんこんと流れている。だが、豊かな水の中に生き物の姿はない。コンクリートで直線化され、必要な時期以外水を通さない用水路には、生き物が住む場所がないのである。
 今、メダカやドジョウといった身近な魚が絶滅危惧種になっているという。かつてこうした魚は、小川や用水路を住みかとしていた。今のようにコンクリートで被われず、一年中水のとぎれることがなかった水路で人間と共存して生きてきたのである。田への水供給機能のみを追求した現代の水路では、こうした生き物が絶滅するのは当然の結果であろう。

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 近年、河川の三面張りや直線化が反省され、生物が住みやすく、洪水にも対応でき、見た目にも潤いがあるよう改良する工事が行われるようになってきた。用水路にしても、現代の土木技術を駆使すれば、水供給と生物多様性を両立させることは十分可能なはずである。
 心安らぐ農村風景を取り戻すためにも、全国の用水路を多自然型に改良することを「春の小川復活事業」として農水省に提案したい。「美しい国」づくりにも直結する事業ではないだろうか。

写真:自宅近くの古い用水路に生息する魚。泥が積もり水草が生えている用水路には、生物がもどってきます。

(2007年6月 朝日新聞掲載)

2007年06月14日

●雨が好き。ひとりが好き。

 雨が好きです。以前は、雨の日は憂鬱でしたが、ここ数年、なぜか雨の日は心が落ち着きます。
「天文屋さんなのに雨が好きだなんて!」と言われそうですね。たしかに雨の日に星は見えません。
 なぜこのように雨が好きになってしまったのか、自分でもよくわからないのですが、とにかく雨の日は本を読んだり小説を書いたりと、内向きのことがしたくなります。
 先日、高校生の娘が、「最近、雨の日が好き。心が落ち着くから」と、まったく同じことを言っており、娘と分析した結論は、恐らく、私も娘も、精神的にけっこう疲れているのではないか、ということでした。
 そういえば、最近は、人と会うことが億劫です。私は、仕事柄、多くの人と接したり、人前で喋ったりすることが多いのですが、苦痛とはいえないまでも、以前ほどそれが楽しく感じられなくなっています。それよりは、一人で本を読んだり文章を書いたりする方がよほど楽しく思えるのです。
 娘も、学校でさまざまなストレスがあるらしく、やはり家で読書をしたり絵を描いたりしているのが楽しいとのことでした。

 恐らく、私も娘も、基本的には一人が好きで内省的な人間なのでしょう。
 もちろん、鬱々と陰にこもっているのが好きということではなく、たとえば旅に出るにしても、大勢でワイワイ行くよりは一人ローカル線に乗って車窓の景色をぼんやり眺めているのが好き、という意味合いです。
 プラネタリウムの解説も観望会の際も、おおぜいの人の前でテンションを上げて喋るわけで、また、それが嫌いではないはずなのに、根本の性格からすればどこか無理をしているのかもしれません。
 とはいえ、若い頃は人前で話したり多くの人と交流することがかなり好きでしたから、単に年をとっただけなのかもしれませんね。

 星を見るにしても、本当は一人きりで黙々と観測することが好きです。人に見せるのはあくまで余技、と言い切ってしまうのは憚られますが、本来、天文屋さんというのは一人で観測をすることが正道だと昔から思っています。
 孤独こそが天文屋さんの真髄なのではないかと思うのです。

2007年06月16日

●ナショナルトラスト

ナショナルトラスト運動というものをご存知でしょうか。
開発の危機にさらされている自然や劣化消滅しつつある人工物などを、市民がお金を出し合って守っていこうという運動です。
自然保護関係では、集まったお金を基金にして土地を買い取り、乱開発から守ることを目的としている事例が多いのですが、私も細々ながら、あるナショナルトラスト運動に関わっています。

私の実家からほど近い場所に、東京都と埼玉県にまたがる「狭山丘陵」という丘陵があります。丘陵の中央部には、多摩湖や狭山湖という東京の水瓶があることから丘陵は水源地として保護され、都会の真ん中に島のように自然が残された貴重なエリアとなっています。
とはいえ、産廃捨て場や住宅地としての開発が進んでもいて、都市部に残された貴重な自然を何とか保全しようということから、この丘陵を舞台にした有名なアニメ、「となりのトトロ」の名を冠した「トトロのふるさと基金」が、ナショナルトラストとして行われています。

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子供の頃、狭山丘陵は遊び場でした。その頃は「となりのトトロ」さながらの田園風景が広がり、あちこちを探検したりザリガニ釣りをしたりと、泥だらけになって遊んだものでした。
そんな子供の頃の風景を少しでも残したいということから、この運動の当初から少しずつですが土地取得の寄付をし、運動の会員になって支援をしています。
寄付によって買い取られた土地も広がり、東京都や所沢市も触発されて自然公園化が進んでいますが、虫食い型の小規模な開発がまだあちこちで進んでいることも現実です。
まとまった額の寄付はなかなかできませんが、細く長く支援していこうと考えています。

現在、私の住んでいる岐阜県西濃地方でも、まだまだ緑が濃いとはいえ、至るところで(主として行政が主導した)無意味な乱開発が進んでいます。
天文ファンが直面している光害もその一側面です。
自然が豊かだと思って油断していると、取り返しのつかないことになってしまいそうな気がします。

写真:多摩湖夕景

2007年06月18日

●カミさんの日本画

最近、カミさんが日本画を描いています。
もともと美大で油絵をやっていたのですが、ここ数年、油絵よりも日本画がいいと言い始め、昨年から大垣の教室へ通うようになりました。
カミさんは「和」が好きで、食べ物でも風景でも建築物でも、洋風のものはあまり好きではないようです。
娘もはさらに和志向が強く、ファストフードは大嫌い、お寿司や魚が大好きという母子なので、カミさんが日本画を始めたのも当然かなという気もしています。

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この絵は、ウチのうさぎ「アルネ君」をモデルに描いた初期の習作です。
アルネ君は白黒うさぎですが、この絵では諸般の事情で茶色に描いたそうです。
そのうち、日本画で星を描きたいと言っていますが、どうなることやら。

2007年06月21日

●「こだま」の効用

3月以降、体調不良であまり外へも出ずにいたのですが、先日、久しぶりに東京へ行ってきました。
とはいっても、父の病気の関係で一泊のとんぼ返りでしたので、どこへも寄れなかったのですが、少しだけのんびりしたくて、豊橋まで在来線で、豊橋からは「こだま」に乗りました。
「こだま」で行くなんて暇なんだなあ、と思われる方もいるかもしれません。
でも、各駅停車の「こだま」には、「のぞみ」「ひかり」にはない魅力があるんですヨ。
以前に、ある雑誌に書いた文章が見つかったので掲載します。
皆さんも新幹線に乗る際には、たまには「こだま」に乗ると、リフレッシュできるかもしれません。

* * *
 
 仕事や所用で、東京・名古屋間の新幹線に乗ることが多い。以前は、ご多分に漏れず、往復ともに「のぞみ」や「ひかり」を利用していたが、ここ数年、時間のあるときには、もっぱら「こだま」を利用している。
 忙しい時代にあって「のぞみ」「ひかり」よりも「こだま」を利用する最大の理由は、「空いている」からだ。時間短縮を最大の売り物にしている新幹線であるから、「こだま」の利用者が少ないのは当然であるが、確実に座れるうえに、たいていの場合は隣席に座る人もいないため、誰にもわずらわされず読書や考えごとができ、しかも在来線の普通列車よりは圧倒的に速い。
「のぞみ」「ひかり」退避のための長時間(?)停車にしても、確かに嬉しいものではないが、考えようによってはかえってのんびりと駅のたたずまいを観察できると考えれば、まんざら悪いものではない。
 かつて、長大編成・ガラ空きの鈍行列車に求めた「一人になれる時間」を、「こだま」に乗ることによって得られると言えば、「こだま」は気分を害するだろうか。

2007年06月24日

●ナガレヒキガエル

先日、揖斐川町春日の山奥を放浪した際、林道脇の小さな沢に、オタマジャクシがびっしりとかたまっていました。

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半数はすでに手足が生えて周囲を歩き回っていましたが、雨が降って水量が増えればすぐに流されてしまいそうな感じでした。
ずいぶんと小さなオタマジャクシだったので、帰宅してから調べてみると「ナガレヒキガエル」という種類のようでした。
名前どおり山の中の流れのある場所で育つようです。普通のオタマジャクシが、どちらかといえば澱んだ水たまりのような場所にいるのとはだいぶ違いますね。
治水に名を借りた無駄な公共事業によって渓流がどんどん破壊されつつあるため、生息数が減少しつつある種類だとのこと。
カネがないと言いながら、どう考えても無駄で無意味な工事を繰り返すこの国の行政は、いったいどうなっているのかといつも思います。

2007年06月26日

●杉の立ち枯れ

プラネタリウムから南側に見える山で、杉の立ち枯れが目立っています。
数年前から少しずつ枯れ始めてはいたのですが、ここ2年ほどの間に、緑だった杉の木が次々に茶色く変わり、誰が見ても異常と思える様相になってしまいました。

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立ち枯れは、山の一角に集中していることから、虫か病気によるものではないかと思われます。
ここ数年、広葉樹であるナラの虫害が目立っていたのですが、今度は針葉樹の立ち枯れです。
あるいは、地球温暖化と関係があるのかもしれません。
同様の立ち枯れは他の山にも見られますので、そのうちにしかるべき機関が、何らかの調査を始めるのではないかと思っています。

2007年06月28日

●強力レーザーポインター

昨夜は、揖斐郡池田町で、小学生80名を対象とした観望会でした。
晴天でしたが、透明度は非常に悪く、月が明るいこともあって北斗七星が何とか見える程度の条件でした。
当初は20時からの予定でしたが、西の山が高く、金星と、そろそろ見ごろを終える土星が沈んでしまいそうでしたので、19時40分から開始しました。
月、金星、土星、木星に向けた4台の望遠鏡で、4班に分かれて観望してもらいます。
透明度が悪いうえに、シーイングも悪く、土星も木星も100倍以上の倍率はかけられませんでした。
それでも小さな土星像に、子供たちは感嘆の声をあげています。
望遠鏡での観望が終わると、強力レーザーポインターを使用した星座案内。
秘密兵器の強力レーザーポインターは、非常に明るく、確実に星を指し示すことができる便利モノなのですが、ひとつ問題があります。何も性能が悪いわけではありません。
子供たちが、指し示している星よりもレーザーポインターに関心を持ってしまい、「それなに?」「飛行機まで届く?」「どこから買ったの?」「値段は?」などと、天体観察とは無関係な質問攻めにあってしまうのです。
以前、レーザーポインターで失明したという事件が続いたことがありましたが、これだけ興味を引くのですから、さもありなんという気がします。
レーザーポインターだけではなく、飛行機、遠くの灯りなど、子供たちの興味は、えてして天体以外に向いてしまいがちです。
満天の星が見える条件下での観望会ならそうしたこともないのですが、街中で、しかも天気が悪かったり月明りがあったりすると、星空への興味を持続させることが、案外、難しいことに気づかされます。
このレーザーポインター、すばらしく強力なのですが、それだけに電池をすぐ消耗してしまうことが大きな欠点でもあります。あらかじめ充電状態をチェックし、スペアの電池を用意することが使用する際の必須条件です。

2007年06月30日

●テクタイト

先日、変光星観測の大家であり、多くの天文書を書かれている平澤康男先生より、「テクタイト」をいただきました。

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「テクタイト」とは、地球上のある限られた地点からのみ採集されるガラス質の石です。
産出地によって「モルダバイト」や「インドシナイト」などの名称がつけられていて、色は真っ黒から宝石のようにきれいな薄緑色までさまざまです。
紡錘形や勾玉形など、形状はさまざまですが、表面に溶解や発泡の痕跡があることが共通しています。

その成因については諸説あり、もっとも一般的なのは「巨大な隕石が落下した際に、地上の岩石が大気圏外まで吹き飛ばされ、それらが地上に落下する際に大気との摩擦で溶解した」というものです。
この点について、平澤先生は、「テクタイトは月に隕石が衝突した際に衝撃で宇宙空間に飛ばされた月の岩石が、地球に落下したものではないか」という考えを述べておられました。

私の勤務するプラネタリウムにも、いくつかのテクタイトが展示してあります。
成因について定説がないため、明確な解説はつけてありませんが、月の石ではないかという平澤先生のお考えは新鮮なものでした。
テクタイトをご覧になりたい方は、プラネタリウムへお越し下さい。