●懐かしの103aE
昨日、古い写真を整理していたら、昔に撮ったモノクロ天体写真が出てきました。
オールドファンなら写真を見てピンときますね。
そう、なんと一世を風靡したあの103aEでの写真なのです。
ピントがイマイチですが、はくちょう座のH-Ⅱ領域が独特の描写で写っています。
このフィルムを知らない方のために一応、説明を・・・。
103aシリーズは、コダック社が天体撮影専用に開発した感材で、時間経過とともに実効感度が低下する「相反則不軌」を極力抑えているのが特徴です。
乾板からシートフィルム、35mmフィルムまで各サイズが揃っており、専用の現像液もありました。
このフィルムが流行ったのは1970年代の中盤から後半だったでしょうか。
それまでの高感度フィルムは赤の感度が非常に低く、アマチュア天文ファンは、なんとか赤い星雲を写し取ろうとさまざまな試行錯誤を繰り返していました。
私の所属する東大和天文同好会でも、当時、一般に入手可能なフィルムのうちではもっとも赤の感度が高かった「レコーディング2475」なるフィルムを使用して、赤い星雲に挑んだものです。
(そういえば、このフィルムのこともそのうち書きたいなあ)
そこへ登場したのが103aシリーズ。とはいえ、新発売されたわけではなく、それまで高嶺の花だったのが輸入ルートの開拓でアマチュアに手が届くようになったのです。
103aシリーズには、赤に感度の高いE、青に感度の高いO、フラットな感光域を持つFの3タイプがありました。
Eタイプ使用時には、レンズの前にR64、あるいはR60という濃赤色のフィルターを置いて撮影します。微妙にピントが赤外側にずれるので、自分のカメラのピント位置を勘で知っておく必要がありました。
一時は天文雑誌の写真コンテストで、モノクロページのほとんどがこのフィルムによる写真で埋まっていました。
こうした103aブームは、ガス増感によるTP2415フィルムが普及するまで続きます。
思えば、現在のデジカメによる天体写真は、昔に較べれば本当にお気楽になったものです。
昔は、一枚一枚が真剣勝負。理論や理屈ではない職人芸がすべてでした。
(プリント時の「おおい焼き」なんて職人芸の極致だったなあ=理屈から言えば、現代の画像処理の「トーンカーブ修正」のアナログ版ですが・・・)
現像タンクから定着液のしたたるフィルムを取り出す、あのワクワクドキドキ感。
デジタル写真で感じることは難しいですね。
で、たしかこの写真を撮影したのは、当時の東京在住天文ファンの聖地?だった、あの御岳山長尾平です。今でも撮影や観測に行く人はいるのかなあ。

コメント
なつかしー。103aEに水素増感2415, あこがれでした。最初の天体撮影にはトライXを使ったもんです、もちろん手動ガイドで。
Posted by: おおの | 2007年07月05日 22:41
私は、初期はネオパンSSやSSSを使っていました。トライXは、もう少し後になってからです。
カメラも、おじいちゃんから貰った二眼レフでした。
赤道儀をようやく買ってからは、おおのさんと同じように手動ガイド。300mm望遠ぐらいまで手動ガイドでやってたな。許容差はほとんどエアリーディスク程度。それでも、けっこう成功したものです。
東京都内では、もちろんガイド撮影などできないので、奥多摩の山に望遠鏡を担ぎ上げての撮影でした。今のように誰でも車に乗る時代ではありませんでしたから、もちろん電車とバスを乗り継いでの登山。
気合が入ってましたねー、当時は。
Posted by: まっちゃん | 2007年07月06日 12:17
私も ネオパンでした。自分で始めて現像してタンクから出したネガを出すときのどきどき感、印画紙に焼き付け、赤いランプの下に浮かび上がってきた星像を見たときの感動は、今もはっきりと覚えています。
暗室の赤ランプで見ると不思議に全ての写真がきれいに見えましたね。
Posted by: furukawa | 2007年07月07日 02:38