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2007年12月22日

●鳥獣駆除法にふたつの問題点

 農作物を荒らすイノシシ、シカ、サルなどへの対策を進め、自衛隊も協力できる「鳥獣被害防止特措法」が成立した。成果を期待する農村が多く、自衛隊の平和利用と思える法だが、ふたつの大きな問題点を含んでいる。
 一点は、自然保護の視点である。過疎化にともない、鳥獣による被害は確かに拡大している。だが、生息数や生息域を調査しないまま組織的駆除をすれば、生物多様性の維持や生態系保全に大きな影響を与える。
 また、鳥獣駆除の権限が都道府県から市町村に移るが、自然環境や生態系に関する専門知識を持つ職員がいる自治体はほとんどない。結果として、地域の種を絶滅に追い込む可能性が高い。
 もう一点は、鳥獣駆除が自衛隊の本来任務なのかということだ。災害出動ならいざ知らず、鳥獣を捕らえ、あるいは殺す任務に、国防という重要な使命を担う自衛官が誇りをもてるだろうか。
 こう考えると、この法は組織的に生態系を破壊し、自衛官の士気を阻喪させるものと言わざるを得ない。

(2007年12月 朝日新聞掲載)

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