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2008年05月13日

●ふしぎな作家ふたり

いわゆるヤングアダルト系の作家で、あさのあつこさんと藤野千夜さんをご存知でしょうか。
あさのあつこさんは「バッテリー」がベストセラーになり、藤野千夜さんは「ルート225」が映画化されるなど、どちらも現在、最も支持されている作家です。

実は私、このお二人のことが非常に不思議なのです。
お二人とも多くの作品を書いていますが、女子中学生や女子高生を主人公にしたものがいくつかあります。
私が不思議、というか、脅威に思っているのは、そこに書かれている10代の女の子の心理、日常の習俗、言葉づかいなどに少しも無理がなく、まるでお二人とも現役高校生なのではあるまいかと思わせられることなのです。

お二人の年齢は、藤野千夜さんが私と同じで、あさのあつこさんはもう少し年上です。
ということは、現役女子高生どころか、女子高生の娘がいる母親という年齢なのです。

いかに若者風俗を研究してみても、大人が10代の若者を書いたとき、そこにはどうしても無理と媚が生じます。
当然ですね。大人にとっては、すでにはるか光陰の彼方へ去って久しい年齢なのですから。
女子高生を主人公にした純文学作品はたくさんありますが、「今どきの女子高生がこんなこと考えてるはずないよ」とか「こんな言葉づかいするはずない」と興ざめしてしまう部分が随所に目についてしまいます。

ところが、お二人の作品にはそれがない。
10代の女の子が持つ清冽な輝きとあくまで底抜けの意地悪さを、まったく破綻なく書いていることに、小説めいたものをときおり書いている同年代の大人として、ただ感心するレベルにとどまらず、まさに脅威を感じてしまうというわけです。

もちろん、そこがお二人のすごいところであり、だからこそ売れっ子になれるのですが、それにしても、いったいどのような魔術を駆使して10代の女の子になりきれるのか(そう、小説を書くためには作中人物になりきらなくては書けない部分があります。あまりなりきってもいけないのですが)、何とも不思議でなりません。

読んだことがない方にあれこれ書いてもわかりづらいでしょうから、ぜひお二人の作品を読んでみて下さい。
どの作品もテンポが軽快なので、構えず気軽に読めるものと思います。

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コメント

同感ですね。あのお二人はスゴイ!
でも「才能だから」と片付けてしまうのもナニなので、私なりに分析を♪

言葉づかいや習俗について、あさのあつこ氏の場合は小学校教諭という経歴と、3人の息子・娘たちを育ててきた経験が、少なからず関係しているのではないでしょうか?
それと、これは「バッテリー」に限っての話しですが(と言うか、これしか読んだことが無いので…)、登場するキャラはかなり個性が強いわけで、決してありがちな子どもではない点も関係あるのかなと。
やはり共感を狙って「いるいる、こんな中学生!」みたいな主人公を書くと、その時点で大人としての視点(つまり媚び)がどうしても介在してしまいますし、その匂いを読者から覆い隠すことはまず不可能ではないかと。

と言うか、上記のように「子ども」「大人」と括ってしまうこと自体が、すでにアウトなのかもしれません(汗)
括った一人ひとりにはちゃんと個があるわけで、たとえば自分の子どもを見ていて思うのは、考えてることや悩んでいることは十分大人並みの内容。心理的な部分は大人も子どもも無いのでは…と思います。

藤野千夜氏については、高迫久和(本名)と言ったマンガ編集者時代から名編集者として知られた方ですし、その経験がやはりモノを言っているのかなと。

仕事で雑誌や書籍の編集者をよく取材するのですが、彼らの時代を切り取る感覚は尋常ではありません。
販売部数に直結する部分なので当然と言えば当然なんですが、その中でもヒット作を世に送り出したことのある編集者、たとえば「世界の中心で~」や「県庁の星」のS氏や、「CanCam」を業界トップに押し上げたO氏など、全身がアンテナで常にビンビン反応してる、みたいな人ばかりです。
※この取材時に「CanCamの上の世代を狙った雑誌が絶対売れるよ」と言っており、その1年後に増刊「お姉さん系CanCam」を発行し増刷完売。さらに1年後に「AneCan」を月刊化と、まさに言った通りにコトが動いたのはさすがに驚きました。

よく松任谷由実の逸話で、「喫茶店でおしゃべりしてたら隣でユーミンが耳ダンボしてた」なんてことを聞きますが、彼らの手法もそれに近いかたち。リサーチで得るデータはあくまで参考。現場に飛び込み肌で感じたものには敵わないと言います。藤野千夜氏も「ザ・シェフ」を担当し、「美味しんぼ」と並び称されるまでに育て上げた方ですから、そういうアンテナが異常に研ぎ澄まされているのではないでしょうか。その後、彼が会社を解雇されると時期を同じくして、「ザ・シェフ」が低迷していったのも何となく頷けます。

とは言え、上記だって才能が無ければできないわけで、やはりこのお二人はスゴイ!が結論にはなってしまうのですが…。

さすがに事情に詳しいですな。
お二人ともすばらしい作品ばかりですが、女子中高生の心理と習俗という観点から、あさのあつこさんは「ガールズ・ブルー(Ⅰ・Ⅱ)」、藤野千夜さんは「中等部超能力戦争」を読んでみてくださいませ。

そう、大人と子どもと区別することが間違いなのかもしれません。
私自身の中身は今も子どもの頃も、あまり変化がないような気がします。
これを進歩がないと考えるのか、あるいは年齢の割には老朽化していないと考えるのか、難しいところではありますが、ただ世間一般がいうところの「おとっつあん」にはなりたくないなあと、私は思います。

にしても、やっぱりこの二人、すごいです。

進歩がないとか年齢の割にはとかではなく、(ちょっと用法は違いますが)三つ子の魂百まで、雀百まで踊り忘れず、みたいな、純粋にそれが各々の持っている個性(人格)なのではないでしょうか?
個性だからこそ、おいそれとは変わらない。そんな気がします。

それで大人と子どもとの区別ですが、「ゆうくんしつこくてキライ」と言う小学2年生の娘と、「部長うざくてキモ」と言う知人30歳OLの、言ってる内容にさほど違いは無いような気がします(^^;
では「たっくん乱暴で怖いんだよ」と言う娘と、みのもんたに「夫のDVで夜も眠れません」と相談する主婦の、違いとはいったい何なんでしょう? 違いは語彙というかボキャブラリーが少ない分、言い方が幼くなってるだけだと思うのです。
※まぁ、30歳OLのボキャブラリーも、かなり?ではありますが…。

時々子どもが大人びた言い方をして笑わせるのも、子どもは幼いという先入観があるからに他ならないような気がします。娘が4歳のとき「あー金目の煮付けが食べたい」とため息をつくように曰ったとき。お友達の亮介君が寿司屋で「りょうちゃん玉(ギョク)、ツマで」とぶっこいたとき。大爆笑すると同時に「金目(鯛)の煮付け」=「お魚煮たの」、「玉・ツマ」=「卵焼き食べたい」という言葉に置き換えれば、大人も子どもも言ってることは同じなんだなと思ったことがあります。

ということで、“世間一般がいうところの「おとっつあん」にはなりたくないなあ”と思ってるまっちゃん。いままで蓄えてきたボキャブラリーをそぎ落とし、少ない単語を組み合わせることで言葉を構築しましょう♪……といまやってみたら、どこかで耳にしたしゃべり方じゃあ~りませんか。そう、これって吉本新喜劇そのまんまでは?
確かに世間一般のおっさんからはかけ離れてますね。おっさんには違いありませんが(笑)

なるほど。ボキャブラリーをそぎ落として、かあ。
完全に子どもの言葉で小説を書いてみたらどうなんでしょう。虚飾を廃した心に語りかける新しい小説ジャンルが開けるかも。
とはいえ、所詮、物語は言葉の積み重ねですから、子どもの語彙だけではお話になりえないのかもしれません。
その意味では、文学よりは絵画や写真、音楽のほうがより直接的に脳に語りかけることが可能なのでしょうね。

最近の若い人はボキャブラリーが少ない、なんてよく言いますが、文字、あるいは言語というものの限界を考えれば、たしかにむやみやたらにボキャブラリー豊富でも(つまり百万言を費やしても)一枚の絵やふと耳にした音楽にはかなわないことも多いのですから、その意味ではボキャブラリーが少ないこと自体をことさらに問題にすべきではないような気もします。まあ、そのように若者を批判する人たちが憂えているのは、頭の中身までスカスカになってしまっている若者が多い、ということなのでしょうが。

それにしても人間というのは因果な生き物です。言語、絵画、写真、音楽など、さまざまなツールを使用して、互いに分かり合いたい、情報や感動を共有したいと、過去何万年も苦悩してきたのですから。そして、そうしたツールにはどれも限界があって、互いの価値観を完全に共有できるはずなどないことも原罪のようにわかっているにもかかわらず、それでもなお、わかりあいたいともがき続ける・・・。

そうした状況下で登場するのが宗教ですね。
これはすごい。言語や音楽などのツールはあくまで補足的に使用するのみで、もっと深いところで信者の心を結びつけ価値観を共有できるのですから。

やはり行き着くところは宗教ですかね。
宗教こそ、人間が生み出した最高の知的財産なのかもしれませんぜ。

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