« しし座を見る宿直 | メイン | ルーリン彗星を見る »

2009年02月05日

●詩「劇場」

水晶で作られたその舞台で
踊りつづけているのは誰でしょう

背景には数知れぬ銀河が
光の速度で遠ざかり
フットライトは淡い彗星の輝きです
天井からは切り抜かれた月が吊り下げられ
超新星のスポットライトが
そのひとを照らしつづけているのですが
あまりに強く照らしすぎたのでしょう
そのひとの顔は紫に灼け焦げて
どんな表情も
私にはもう読み取れなくなっているのです
それでも
そのひとの踊りは美しくあでやかで
だからこそこの劇場は
重力のバランスを保ちつづけていられるのかもしれません

しわぶきの音すらしない観客席
満員の観客は誰も真っ黒な表情で
良く見ると
それぞれの顔のずっと奥
やはり燐光を放つ銀河が無数に浮かんでおり
それはそれで
危うげな平衡を保ちつづけて

そんな息づまる静寂のなか
この私にしても
やはり常に重心計算を続けながら
それでも息を殺して
じっと舞台に見入っているようなのです


*星の詩、といえばそうだし、星とはあんまり関係ないといえばそんな気がするし・・・、という作品。
ちょっと重苦しく暗い雰囲気を出したかったんですよね。
人は誰でも危うげな平衡を保ちながら、それぞれの舞台で孤独な舞踏を続けているのかもしれません。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://at-h.net/~has/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/537

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)