●ジャコビニ流星群
望遠鏡流星のことを書いたところ、意外なほどのRESをいただきました。
今回はそのコメントで話題になった「ジャコビニ流星群」について・・・。
ジャコビニ流星群は、10月8日頃に観測される流星群です。
毎年出現する定常群ではなく、不定期に活発な活動が見られることから突発群の代表的なものとして知られています。
ただ、最近では、非常に少ないながらも毎年観測されるようになり、突発群から定常群への移行過程にあるともいわれています。
通常、流星群の名称は「ペルセウス座γ流星群」とか「ふたご座α流星群」のように、輻射点のある星座の名前を冠して呼ぶことが多いのですが、この群は伝統的に母彗星の名前をつけて呼ばれています。
母彗星はGiacobini-Zinner彗星といい、周期6.6年で太陽を回っています。
彗星の軌道と地球の軌道が公差する際に、軌道上にばらまかれたチリが地球の大気に突入して流星群として観測されるわけですが、毎年見られる流星群と異なり、軌道上に満遍なく流星のモトとなるチリが分布していません。
そのために、流星が見られる年と見られない年があるわけです。
名称については「りゅう座γ流星群」とも呼ばれますが、今年開催された天文学の会合で、「ジャコビニ流星群」も「りゅう座γ流星群」も正式名称ではなくなりました。
正式名称はまだ議論の余地がありますので、この記事では便宜的にジャコビニ流星群の名称で書いてゆきます。
突発出現と書きましたが、正式に記録されている最初の出現は1933年です。
北米やヨーロッパで流星雨と呼べる規模の出現が見られました。
このときに撮影された写真には無数の流星が写っていて、子供の頃初めてその写真を見た私は、一生のうちに一度はこんな流星雨を見てみたいと強く思ったものです。
1946年にも顕著な出現が観測されました。
1972年には、日本で大出現が見られることが早くから予測され、日本中が狂奔する騒ぎになりました。
私も一晩中起きていましたが、東京では薄曇りで流星は見られず、天候の良かった東北北部や北海道でもほとんど出現はありませんでした。
ただ、当時の「天文ガイド」の同好会誌紹介欄に、「ジャコビニ流星群出現?」という記事が掲載されており、「チカチカと線香花火のように数個まとまって飛んだ」とのことでした。
真相は不明ですが、妙に印象に残る記事でした。
1985年には日本で比較的盛んな活動が観測され、1998年にも短い時間でしたが、活発な出現が見られました。
その日、プラネタリウムの仕事を終えた私は、自宅に帰るとすぐ自動稼働しているHRO(流星の電波観測)の画面を見ました。
何となく予感はしていたのですが、画面はたくさんのエコーで埋め尽くされていました。
外に出ると、雲量8程度と観測できる状況ではありません。
弱い冬型だったので、平野部へ行けば晴れていると思い、車を飛ばしました。
池田山の麓まで行くとけっこう晴れています。
流れの速い雲の隙間に頻々と流れる流星は、雪が舞うようなふわりとした印象で、ポロポロと崩れていくようなプロフィール。
出現数は1分間に数個~10個程度でしょうか。
速度も遅く、通常の流星とはかなりイメージが異なります。
この日は結局、晴れ間を求めてあちこち移動しながら見たわけですが、まともに観測できたのは後半の30分ほどで、その後は急速に終息に向かいました。
次回は、2011年にヨーロッパでの出現が予報されています。
近年、流星群の出現予報はかなり正確になり、なかなか大番狂わせはないのですが、半日出現がずれて日本でも観測できるといいなあと、かすかな期待を抱いています。
画像:当日のHRO画像。右端のバーがエコーの強度を表しています。
