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2009年11月09日

●懐かしのコホーテク彗星

先日の記事(詩「Lyra」)に関して、OgimotoさんとFurukawaさん、お二人のベテラン天文家から、コホーテク彗星についてのコメントが寄せられました。
何とも懐かしいので、今回はコホーテク彗星について・・・。

コホーテク彗星の現在の正式な符号はC/1973E1ですが、古い天文ファンにとっては1973fという方がぴったりくるのではないかと思います。
そのとおり、1973年3月7日にチェコのコホーテクが発見しました。
眼視ではなく、写真乾板上からの発見です。
近日点距離(太陽から彗星までの距離)が0.1424AUと近く、地球との位置関係も良かったため、マイナス等級になることが期待され、マスコミでは早くから『世紀の大彗星』と喧伝されました。

当時、私は小学生で、連日報道されるこの彗星の新聞記事やテレビを食い入るように見、非常に興味をそそられました。
彗星が接近してくるにつれ、折から地球を周回していたスカイラブからの写真が新聞に掲載されるなどブームは加熱、天体望遠鏡が飛ぶように売れたといいます。

いよいよ彗星が接近し、1974年1月、夕方の西空に見え始めました。
折から夕空には金星と木星が接近していて、その近くにマイナス等級の彗星が現れたなら夢のような光景になるだろうことが予想されました。
当時、結成して半年ほどの東大和天文同好会メンバーは、西空が見渡せる近くの小学校の非常階段を観測場所と定め、眼視と写真で世紀の大彗星の姿を心とフィルムに残すことにしました。

ところが。
次第に空が暗くなり星が見え始める時刻になっても、彗星はいっこうに見えてきません。
当時は今と比べれば光害も少なく、加えて冬の関東ですから連日の快晴、西の山並みをくっきりとシルエットにした真っ赤な夕焼けの上に浮かぶ金星、木星が本当に夢のような美しさなのですが、肝心の彗星はどこにも見えないのです。
その日は結局、彗星を見ることはできず、その後、望遠鏡にとらえた彗星は、4等級ほどの本当にかわいらしい姿でした。
マスコミでも、どうやら不発らしいという報道がされ始め、同じく大騒ぎをしながら不発に終わった1972年のジャコビニ流星雨の記憶も新しかったことから、天文現象というものはどうも空騒ぎに終わりがちだという認識がされるようになりました。

それでも、ISO100のフィルムで撮影した写真には、長い尾を伸ばした彗星の姿が奇麗に撮れていて、やはり時代を彩った彗星のひとつだったのだなと今でも思います。
あの頃は、今とは比べものにならない天文ブームでしたが、コホーテク彗星も、そんなブームに拍車をかけたエポックメイキングな彗星でした。

暮れなずむ非常階段にそれぞれの愛機(6㎝クラスの屈折経緯台か8.5㎝~10㎝クラスの反射経緯台ばかりでしたが)を連ねて、真冬の風に吹かれながら夢中で彗星を探索した当時の記憶は今でも鮮明です。
あのときの風の冷たさ、夕焼けに浮かぶ西の連山のシルエット、すばらしい輝きを放つ金星と木星。
私の心のアルバムに、強烈な1ページを刻んでいる光景です。

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コメント

コホーテク彗星、なつかしいですね。
私も初めて見たのがこの彗星です。
6cmの望遠鏡で6日連続でスケッチをしました。
生で見た姿はもう記憶から消えてしまいましたし、スケッチも行方不明ですが、スケッチした姿が記憶に残っています。
そういう意味ではスケッチも重要ですね。

マラソン大会大変だったのではないでしょうか?
事故のニュースが新聞に出ていました。

私はマラソン大会を走りますが、いつもスタッフの方には感謝しています。

うちやまさん、こんにちは。

スケッチは昔、よくやりました。
彗星も星雲・星団も惑星も月面も。
写真に比べて天体の細部をじっくり観察することができるスケッチの重要性を、今一度、認識すべきなのではないかと思います。

マラソン大会、大変でした。
土曜日の準備を終日、その晩は町の施設に宿泊される100人のために施設の事務室に泊まり、翌日は夜までマラソン本番。
体力的にも精神的にも非常に疲れました。
これが毎年、繰り返されるのですから本当に大変です。

こんにちは。
お世話になります。
コホーテク彗星は残念ながら観たことないんです。と言いますかその時まだこの私この世に埋まれてませんから!

そういえば、獅子群は準備万端でしょうか?こちらも、newの双眼鏡(^^)(機種などはまだ秘密!)も届いたんであとは、SP-DXを写真儀にするのみに。楽しみですな〜!
干場 一志

干場さん、こんにちは。

コホーテク彗星、そりゃあ見たことありませんよね。
1973年ですから、生まれてないどころかタネさえない(笑)。

しし群、あまり準備万端ではないです。
どこで見るかも決まってないし。
それより問題は天候ですねー。

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