2010年01月01日

●今年の天文現象など

明けましておめでとうございます。
昨年はご愛読いただきありがとうございました。
今年も二日に一度程度の更新を目標にがんばって書きますので、コメントなどお寄せいただければ幸いです。

さて。
岐阜県では雪の新年となりました。今朝は部分月食が起こりましたが、雪でまったく見られませんでした。
今年、日本では、6月26日にも月の半分ほどが欠ける月食が見られます。月の出と同時に欠け始める月食です。
12月21日には皆既月食が見られ、これも月の出と同時に始まります。
日食は、1月15日に関東地方以西でごく軽微な部分食が見られます。日没直前に欠け始め、そのまま沈んでしまいます。アフリカからインド洋、東南アジアに至る地域では金環日食となります。
7月12日には、モアイ像で有名なイースター島を通る皆既日食が起こりますが日本では見られません。ツアーも計画されていますが、費用が50万円以上と非常に高価です。私は・・・行きません。昨年、堪能しましたから。

流星群は、8月のペルセウス群が新月近くで最良の条件、12月のふたご群も上弦なので月没後は好条件です。11月のしし群、今年はダストトレイルの接近は予想されていませんが、1時間あたり20個程度は観測できるものと思われます。月が沈んだ18日の夜明け前2時間ほどが狙い目です。

惑星では、火星が1月末に小接近を迎えます。ただ視直径は14秒と非常に小さく、小さな望遠鏡では模様を見ることさえ難しいかもしれません。接近の頃は北極冠がよく見える時期です。
昨年、環の消失が見られた土星は次第に環の傾きが戻ってきます。お団子を串刺しにしたような土星の姿が見られるのは今年までです。
火星、土星とも夜半前の空で見られますから、一般の方に見せて喜んでいただけるチャンスです。

彗星は、5月から6月の明け方の空でマックノート彗星が4~5等級まで明るくなります。とはいえ最も明るい時期は北半球では見ることができません。
もうひとつ、ハートレイ第2周期彗星が10月から11月にかけて4等級になります。こちらは夜半の高い位置で絶好の条件です。周期彗星がこれほど明るくなるのは珍しいですから、ぜひ観察してみて下さいね。

私の目標としては、彗星や流星を昨年以上に観測し、ここ数年あまり参加できずにいた観測研究関係の集まりにもできるだけ参加したいと考えています。
また、南天の星をちゃんと見たことがありませんので南半球への遠征も検討中です。

あ、今年も8月1日~7日は「スター・ウィーク」ですヨ。月の条件が良いので、こちらの活動もがんばろうと思っています。このブログでもその活動についてアナウンスしますので、皆さんもぜひ積極的にご参加下さい。

2010年01月04日

●新春開運?フリーきっぷで名鉄散策

「名鉄1DAYフリーきっぷ」という切符がある。正月の1日、名鉄の全線に2500円で乗り放題という切符である。これを使って小さな旅をしてきた。まだお屠蘇気分が残る正月3日のことである。

 名鉄一宮駅から、まずは中部空港行き特急の人となる。いそいそと特別車に乗りこむ。名鉄特急には、座席指定の特別車と普通乗車券のみで乗れる普通車が連結されているが、「名鉄1DAYフリーきっぷ」を使うと、10時から16時までは特別車にも指定券なしで乗ることができるのである。とはいえ、その座席の指定券を持っている乗客が乗ってきた場合には、即刻、座席を明け渡さなければならないことはもちろんだ。
 同行するのは、このブログでおなじみのogawa嬢。通常、名鉄に乗る機会がほとんどなく地理不案内な私のガイド役である。
 晴れるという予報に反して鉛色の雲が立ちこめてはいるものの、空港特急は快調に走る。私たちの席の指定券を持った乗客も現れず、まずは上々の滑り出しだ。
 快適な乗り心地を楽しむうち、中部空港駅に到着。チケットホルダーに差しこんでおいた切符を忘れて降りかけるというおバカなハプニングにやや慌てる。
 飛行機に乗ることが多いogawa嬢にとっては慣れた場所だが、私は恥ずかしながら中部空港へ来たのは初めてである。開業当初に比べれば人出は減ったとのことだが、それでも観光客・見学客でなかなかの賑わいだ。
 コンパクトで機能的な空港内を案内してもらい、飛行機が離着陸するようすを眺めてから軽く食事を摂る。傍らでは、ウルトラマンのショーが行なわれている。

 ふたたび特急特別車の人となる。帰国ラッシュで特別車の座席確保は難しいかもしれぬと思っていたが、あっさり座れ、しかもその席の指定券を持った客は現れない。
「こりゃラッキーだね」と話していたらアナウンス。
『さきほど発生した人身事故のため、名鉄本線のダイヤは大幅に乱れています。JRへの振替輸送をご利用ください』
・・・なんだとぉ?
 いやはやどうにもである。次の目的地は豊川稲荷だ。名鉄本線が不通ではJRを利用するしか方法はない。
 仕方なく金山でJR東海道本線へ。見なれた車内と車窓。しかも名鉄の客がプラスになったためか混んでいる。本線の名鉄特急特別車を楽しみにしていたのに、何が悲しくていつも乗っているJRに乗らなければいけないのか。
 豊橋でJR飯田線へ。当初は人身事故の当事者を呪いたい気分だった私たちだが、2両編成の飯田線列車を見たとたんに嬉しくなり、プラス思考にチェンジする。
「まぁ、人身事故がなければ飯田線に乗ることもなかったわけだから、かえって良かったのかもね」
 お気楽の極みである。ま、めでたい正月、めくじらを立てるより楽しくいこうというわけで、豊川駅で下車。

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 豊川稲荷までの参道は人と屋台で溢れかえっている。店をひやかしながらたどり着いた豊川稲荷は、もう正月3日にもかかわらず参拝客で長蛇の列だ。
 列を見たとたんに並ぶ気が失せた私たち、とりあえず列の最後尾から軽く拝んで初詣を済ませる。信仰心の薄さを物語る所業である。

 JR豊川駅に隣接した名鉄豊川稲荷駅から、国府ゆきの普通列車に乗車。ダイヤの乱れは未だ続いているらしい。
 とりあえず目的は達し、あとは帰るだけだが、混雑した列車に立ちんぼはできれば避けたい。国府駅では、すぐに名古屋方面ゆきの特急が接続しており、ほぼ全員が乗り換えるが、私たちだけが豊橋方面ゆきのホームへゆるゆると降りる。せっかくだから、ちゃんと座席を確保して帰りたい。そのためには、始発の豊橋まで戻った方が得策であるという考えだ。

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 目論見は当った。ほどなくやって来た特急は2階建てのパノラマスーパー、しかも先頭の特別車にはしっかり二人分の空席があるではないか。
 名鉄に乗る機会のない私は、パノラマスーパーの先頭車に乗るのは初めてである。走り始めると、さすがにワイドな前面展望はすばらしい。パノラマスーパーの運用を今後どれほど続けていくのかわからないが、やはり名鉄の顔であり、並行するJRや他の私鉄との差別化を図ることができる唯一の車両と思われる。製造や維持にコストがかかり運用が限られるのだろうが、末永く運用してほしいし、同じコンセプトの車両を今後も作り続けて欲しいと思う。

 豊橋に到着。乗ってきた特急は、すぐに名古屋方面ゆきとして折り返す。
「名鉄1DAYフリーきっぷ」で特別車に乗ることができるのは16時までである。まことに惜しいが、そろそろ16時を回る刻限だ。できれば、このまま特別車に乗っていたいが、後ろ髪を引かれる思いで特別車から普通車へ乗り換える。普通車はやや混みあっていたが、そこは旅慣れた者同士の連係プレーで難なく座席を確保、帰路につく。
 新型車両にはない速度表示に子供のように喜びながら、せっかくフリーきっぷなのだからというセコイ根性で終点の岐阜まで乗車する。岐阜駅を見学後、名古屋へ折り返し軽食。
「じゃあ、帰ろうか」ということでホームに並んでいるとアナウンスが。
『沿線火災によりダイヤが乱れています。お急ぎのところまことに申し訳ございませんが・・・』
 はあ?という感じである。正月早々から1日に2回のダイヤ混乱?
 ちょっと勘弁してよ、と思いながら、さして遅れずに到着した列車に乗りこむ。途中、停車することもなく、無事に一宮駅着。
 考えてみれば、1日に2回のダイヤ混乱に遭遇したものの、私たちの旅程が遅れたわけでもない。立っていた区間は僅かで基本的には着席できている。特別車では指定券を持った客が乗ってくることもなく、振替輸送のおかげで飯田線に乗ることもできた。
 結局、いつもの観測行と同じく、運と勢いですべてをプラスに変えてしまったフリーきっぷの一日だったようである。

2010年01月06日

●情報提供の大切さ

最近、会う人ごとに「ふたご座流星群、見たよ」とか「雲越しだけど日食、観察しましたよ」と言われます。
「身近に詳しい人がいると、これまで縁遠かった星空を見上げる機会が増えて楽しい」とも。
職場(揖斐川歴史民俗資料館)には、昨夏の皆既日食の画像が展示してあるのですが、それを見た来館者の方は一様に「こりゃすごいですね。コロナを見てみたいなあ」と言ってくれます。歴史や民俗は好きでも、これまで天文には興味がなかった方たちです。

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いわゆる「天体観望会」というと、用意した天体望遠鏡で惑星や星雲・星団を観察してもらい解説を行うというスタイルが多いですが、日食・月食や流星群といった現象は、天体望遠鏡がなくても見ることができ、惑星面や星雲・星団などと違って短時間で変化しわかりやすいので、見た人は大きな感動を覚えることができます。
天体望遠鏡を使わず肉眼だけで見ることができる現象の方が、よりダイナミックな感動を一般の方に与えることが多いとすれば、観望会の開催にこだわることなく、口づてやマスコミなどあらゆる手段を使って「正確でわかりやすい情報を広汎に」周知することこそが何よりも重要なのだと、このところあらためて考えるようになりました。

私が星好きであることは誰もが知っていますから、他の用事で会った方でも自然と星の話題になりますし、さまざまな場面で身近な天文現象についてさりげなく話をすることにしていることが、私の周囲に星空を見上げる輪を広げているようです。

これからも、価値観の押しつけにならないように、そして正しい情報提供に努めながら、口コミベースからマスコミベースまで、マニアックに陥らないよう気をつけながら、さまざまな天文現象を、できるだけたくさんの方にお知らせしていきたいと考えています。

写真:昨年7月22日の皆既日食(ダイヤモンドリング)

2010年01月07日

●「寿ぎ展」開催中

私の勤務している揖斐川歴史民俗資料館では、2ヶ月に一度ほどのペースで企画展を開催しています。
この1月からは「寿ぎ展」が始まりました。

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名前の通り、正月にちなんだ絵画や軸などの資料を展示しています。
できるだけ地元の作家を主体に展示するように心がけており、今回の企画展でも揖斐川町出身の画家である野原櫻州や森田玉仙の絵画や軸を主体に展示を行っています。
今年の干支にちなみ、虎を描いた作品も展示しています。
寒い日が続いていますが、新春を寿ぎ、気持ちも新たにご観覧いただければと思います。
昨年末まで開催していた特別企画展「ふるさとの民具と日本の蓑」も、まだ展示は残していますので、希望の方はご観覧いただけます。
窓口でお申し出下さい。

■揖斐川歴史民俗資料館
 岐阜県揖斐郡揖斐川町上南方
 電話:0585-22-5373
 休館日:毎週月曜日
 入館料:大人100円 小中学生50円

2010年01月08日

●恋する瞳

 いつも部屋の隅でうずくまっていて、他人と会話をすることがない。食事もほとんど食べず、手足の爪は伸び放題、子供の頃からの長い付き合いである私とも決して目を合わせようとしない・・・。
 そんな同居人がいる。
 名前を「くろ」という。今年で8歳になる我が家のオス猫だ。
 人間でいえば、典型的な引きこもりである。赤ん坊の頃は、人(猫?)一倍元気で餌もよく食べたのだが、1歳になってすぐ下部尿路疾患という病気になってから、精神を病んでしまった。幸い下部尿路疾患は治ったものの、以来7年間、冒頭のような状態が続いている。

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 そんなくろに変化が起きた。
 くろを含め、我が家に7匹いる猫のうち6匹は、通称「猫部屋」と呼んでいる6畳間に居住しているのだが、つい先日、そんな猫部屋をこのブログでおなじみのogawa嬢が訪ねてきた。秋以来、2度目の猫部屋訪問である。
 私はいつも通り、ムツゴロウさんよろしく猫たちの世話をしていたのだが、ふと見ると、いつもは隅っこにうずくまったまま動かないくろが、とことこ歩いている。おやおや、珍しいことと思う間にくろはogawa嬢に近づいていき、その足に顔をすりつけ始めた。飼い主の私にも滅多にしない親愛の行為である。
 サプライズはこれだけではなかった。くろはそのまま、座っているogawa嬢の膝に這い上がり、いかにも居心地が良さそうに座りこんでしまったではないか。
長年いっしょに暮らしてきた私やカミさん、娘にとっても、くろが膝に乗ってくることはごくごく珍しいことである。ましてや、たまさかに娘の友人などが猫部屋に入ってきても、どこかに隠れてしまうことが常だったくろが、2回しか会ったことのないogawa嬢の膝に乗ってくるなんて・・・。

 ogawa嬢に撫でられているくろの顔は夢見心地だった。いつも何かに怯えている常日頃とはまったく違う安心しきったその表情。平素は食べさせるのに苦労する食事もあっさり平らげ、さらにおかわりを要求する。これほど旺盛な食欲を見せたのは子猫の頃以来である。

 家族にも心を開かないくろに、こんな変化を起こさせてしまうogawa嬢って何者?
 そう思いながら、ogawa嬢を見つめるくろの瞳を見て私は悟った。
 キラキラ輝くつぶらな瞳・・・。それはまさしく恋する少年のものだった。

 猫が人間に恋などするものかと言う方もあるかもしれない。が、我が家で最古参の猫であるビビさんは私に恋をし続けている。長年人といっしょに住んでいる動物は、自分を人間と思っているから、当然、恋も覚えるのだ。

 恋は時として奇跡を起こす。
 7年間、引きこもりだったくろ。恋のパワーで社会復帰(?)することができるのか。

写真:子猫の頃のくろ
 
 

2010年01月10日

●ベテルギウスが超新星に?

オリオン座のベテルギウスがいつ超新星爆発を起こしてもおかしくない。そんなニュースがありました。
別に目新しいニュースではなく、天文学の世界では以前から言われていたことではあります。
ベテルギウスは距離600光年と比較的近いため、恒星の中では珍しく表面の状態が10年ほど前から観測できるようになっていました。
そうした観測の結果、表面(といっても太陽直径の1000倍ほどもある巨大なガスの塊です)の模様に特異なムラがあることがわかり、また、星自体が膨らんだり縮んだりと不安定であることから、明日にでも
超新星になっても不思議ではないと言われていたのです。

ベテルギウスが超新星になると、地球からはどのように見えるのでしょうか。
おそらく最も明るいときで、満月と同じ程度の明るさになるものと考えられます。
「そりゃ明るいネ」と感心もしていられません。
満月が夜空に見えていると、その明りで多くの星がかき消され、天体観測には大変に不向きになってしまいます。
最悪なのは、ベテルギウスが、夕方に東から昇り、明け方に西へと沈む時期(冬の初め頃)に超新星となった場合です。
満月と同じ明るさの天体が一晩中夜空に見えているのですから、天体観測には著しい障害となってしまいます。
まぁ、宵の明星よろしく、夕方に西の空に見えて夜半前には沈んでしまうという状態が、他の天体の観測にはいちばん良いでしょうか。

もうひとつ、満月と同等とはいっても満月は面積体です。
ところがベテルギウスの場合は完全な点像。
満月分の光量が一点に集約されているわけですから、単位面積あたりとしては恐ろしく明るくなります。
たぶん、減光せずに見つめることはできないでしょう。

超新星爆発が起こると、近くの天体は衝撃波や放射線の嵐に襲われて甚大な影響をこうむりますが、ベテルギウスの場合は600光年離れていますから、ほとんど影響はないと思います。

いずれにしても、それほど近くで超新星爆発が起こるなど、未曾有の出来事です。
宇宙の光害?で天体観測ができなくなるのは困りますが、ぜひ生きている間に遭遇してみたい現象です。

2010年01月12日

●父と猫のこと

動物にとても好かれる人がいます。
反対になぜか嫌われる人も・・・。

私の父は、動物にはあまり好かれそうにない人でした。
生真面目で頑固で融通が利かず、仕事一途で気が利いた冗談も言わず・・・。
もちろん、動物が好きだなんて一度も聞いたことはありません。
動物を飼っていたということも。

そんな父が数年前、拙宅に遊びにきました。
娘(父から見れば孫ですね)に誘われるまま猫部屋に入った父に対して、おそらく猫たちは嫌いこそしないものの無反応だろうと思っていたのですが・・・。

意外や意外、父は部屋に入るなり猫たちに取り囲まれてしまいました。
どの猫も父の足に顔をすり寄せ甘えています。
これには私も娘も驚いてしまいました。
父はといえば、半ば困惑し半ば照れ臭そうなようすで、猫たちを不器用に撫でたりしています。
娘によれば「みんな、おじいちゃんをパパと間違えているんだよ。顔も似てるし、なんというか、においが同じなんじゃないかな」とのこと。
私と父は、姿かたちは確かに似ています。
それでは、においは、といえば・・・。。
娘が言う「におい」は、「匂い」だけではなくて人格全体から漂う雰囲気という意味もあるようなのですが、不真面目でいい加減で二重人格で仕事は嫌いで、という私と謹厳実直な父とはおよそ似つきません。
「でも似てるんだよ」
そう娘は言います。

私と父が似ているのかどうかは今でもよくわかりませんが、最近、父のことを、実はとても優しい人だったんだなと思うようになりました。
動物は優しい人を本能的に察知します。
人間相手のように、言葉で信じこませたり騙したりすることはできません。
戦後の高度成長期を懸命に生きてきた父は、自分と家族を養っていくのが精一杯で、器用に生きる余裕など全くなかったのでしょう。
息子の私でも知ることができなかった父の本当の姿を、猫たちは一瞬で理解したのだと思います。

今でもときどき、猫たちに囲まれて笑っている父の姿を思い浮かべます。
父は2年前、肺癌で亡くなりました。
末期癌の痛みに一言も弱音を吐かず、最後まで人としての尊厳を保ったまま、帰らぬ人となりました。

2010年01月14日

●雪の宿直

昨夜は宿直でした。
ちょうどこの冬いちばんの寒波が押し寄せ、岐阜県山間部は大雪の予報が出ていました。
私が宿直する揖斐川町藤橋振興事務所は、揖斐川上流の山奥にあり、有数の豪雪地帯です。
1m以上の積雪は珍しくありません。

勤務先から藤橋振興事務所までは距離にして20kmほど。
進むにつれて雪の量がどんどん増えます。
雪道は慣れているとはいえ、吹雪で視界が悪い夜など、路肩がどこにあるのかわからなくなりますし、真正面から降りつけてくる無数の雪に幻惑されて頭がぼやっとしてきます。

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昨夜は幸い往路は降っておらず、さして苦労することもなく到着することができました。
夜半からふたたび降り出すという予報通り、明け方から激しく降りはじめ、それまでの積雪とあわせて40cmほど降り積もりました。
大雪という予報にしては大したことはなく、無事に宿直を終えてそのまま職場に出勤しました。

とはいえ、大したことはなかったと思っていたのは藤橋で雪に慣れていた私だけで、職場で聞くと、あちこちで路肩を踏み外して田んぼや用水路に落ちている車があったそうです。
やっぱり雪はこわいですね。

来週は一転して暖かくなるとの予報。
どっさり積もった雪を見たい方は、今週中に揖斐川町山間部へどうぞ。
ただし運転にはくれぐれも気をつけて。

写真:今朝の「道の駅 星のふる里ふじはし」

2010年01月15日

●雪と部分日食

今日も雪です。
揖斐川町の山間部はかなりの積雪になっていますが、勤務先である揖斐川歴史民俗資料館周辺では15cm程度です。

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写真は、揖斐川歴史民俗資料館敷地内にある旧徳山村より移築した茅葺き民家。
移築後20余年を経て屋根が老朽化したため、葺き替え工事を行っています。
工期に間に合わせるため民家全体に素屋根をかけて作業をするのですが、ようやくその素屋根がかけ終わりました。
雪の降る中、高所で危険な作業を行っていただいた作業員の方に感謝です。

暖冬との予想に反して、今年は正月からずっと雪景色ばかりを見ています。
早く暖かくなってくれないかな。

あ、今日の夕方、日没直前にごく軽微な部分日食が起こります。
東海地方では太陽の下端が本当にわずかに欠けるだけですが、天気の良い太平洋側に住んでいる方は注意してみて下さい。
日没直前十数分間の現象ですので、地平線まで西の空が開けている場所でご覧下さい。
日没直前とはいえ、太陽を直接見ると目を傷めてしまいますから、太陽専用の観察メガネ(日食グラス等)を使用して、安全にはくれぐれも気をつけて下さいね。

私も見るつもりでしたが、この雪ではちょっと難しそう・・・。

2010年01月17日

●市街地で見る冬の天体

このところ雪が続いていましたが、昨夜は久しぶりに晴れたので15cm双眼鏡を持ち出して星を見ました。
ふだんであれば自宅からさらに北西の山間部へ向かうのですが、冬型の気圧配置のため山の方は雲がべったり。
愛知県方面へ出かけました。

現地へ着いてみると、お天気はまあまあ。冬の星座がきれいに見えています。
お約束のM42やすばるを見たあとで、市街地の明るい空で挑戦と、「ウルトラマンの星」M78を導入。
空が明るいのでちょっと難しいかなと思いましたが、案外よく見えました。
とはいえ、星雲・星団を見慣れていない方では確認できない程度の見え方です。
空が明るいのならば恒星を見よう!ということで、うさぎ座にある「クリムゾンスター」を視野に入れました。
うさぎ座にありますが、導入はオリオン座のリゲルから行います。
とにかく驚くほど真っ赤な星で、これほど赤い星は他にないと思われます。
6等から10等まで明るさが変わる長周期変光星で、正式には「うさぎ座R」という名称です。
私の双眼鏡でも十分に赤かったのですが、いっしょに見ていたogawa嬢の25cmドブソニアン「ルイ」で見ると、いっそう赤く見えました。
反射望遠鏡は色収差がないこと、倍率が多少高かったので、バックグラウンドが暗くなって色が見やすくなったのではと思います。

うさぎ座には、冬の空で唯一ともいえる球状星団M79があります。
慣れているので10秒で導入できましたが、バックグラウンドが明るいので、やはり星雲・星団を見慣れていない方だと見えづらいかな、と思いました。

「ベテルギウスが超新星に?」という報道のあとなので、夜空を見上げると、どうしてもベテルギウスに目が向きます。
なんとなくいつもより明るいような・・・。案外、明日にでも超新星になったりするかも。そんなことを思いました。

火星は、私の双眼鏡では倍率が低くて歯が立たないので、ogawa嬢の「ルイ」で。
北極冠が真っ白に輝いて見え、シーイングが落ち着くとけっこう微細な模様がよく見えました。

他にM35やM41、M50などひととおり冬の天体を観望し、満足して帰路につきました。
家に帰ると、北西の空半分は、やはりべったりとした雲に覆われていました。


2010年01月19日

●不思議な衛星、月

このところ、細い月が西の空に見えていますね。
皆さんご存知の通り、月は地球のまわりを回る衛星です。
衛星を持つ惑星は地球以外にもたくさんあって、木星や土星は何十個も衛星を従えています。
木星の衛星のうちで最大のガニメデは直径5268kmと太陽系の衛星のなかで最も大きく、次いで大きい土星のタイタンは直径5151kmと、これまた大きな衛星です。
これに対して月は直径が3476km。
「木星や土星はいっぱい衛星を引き連れていてなかには大きな衛星もあるのに、地球は1個しか衛星がなくてしかもあんまり大きくないなあ」と思われるかもしれません。

でも、実は月ってとても変わった衛星なんですよ。
木星の直径は地球の約11倍、土星は約9倍です。
ガニメデと木星の大きさの比は1/27、土星とタイタンの比は1/23ですが、月と地球の比は1/4なのです。
母惑星に対して月がいかに巨大な衛星であるかがわかりますね。
お隣の火星にはふたつの衛星がありますが、どちらも巨大な岩のカケラ程度の大きさ、金星、水星には衛星は見つかっていません。
火星より太陽寄りの空間は、太陽系が作られた際に太陽から噴き出す放射線の嵐によって物質が吹き飛ばされてしまったために、衛星ができづらい環境だったためと考えられています。
なのになぜ地球にだけ巨大な衛星ができたのか。
実は月の成因ははっきりとはわかっていないのです。
地球に巨大な天体が衝突して、地球の一部が宇宙に吹き飛ばされて月ができた、とする説が有力ですが確定ではありません。

月は、その誕生直後には地球から5000kmほどの距離にあったと考えられています。
現在は38万km彼方にありますから、月は次第に地球から遠ざかっているのですね。
およそ1年間に約3.8cmずつ遠ざかっていて、40億年後には50万kmまで遠ざかります。
そんなに小さな月が夜空に浮かんでいる光景、ちょっと寂しいですね。

2010年01月21日

●Beautiful Name

自分の名前はとても大切・・・。
なんだか、アニメ「千と千尋の神隠し」みたいですが、名前というものは他者と自分を区別し、アイデンティティの基本になるという意味でとても大切です。
記号や番号、代名詞よりも、ちゃんと名前で呼んでくれた方が誰でも嬉しいですよね。

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ウチの女王様、年齢不詳のメス猫ビビさんは、名前を呼んであげるとそれだけで喉を鳴らし、おなかを上に向けてごろんとひっくり返ってしまいます。
ただしそれは優しく呼んであげた場合で、怒った口調で「ビビさん!」と言うと、済まなそうな顔をして私を見上げ、その場を立ち去ってしまいます。

うさぎのアルネ君も、名前を呼んであげると、うっとりした顔で目を細め、やがて遊び道具のボールを追いかけて跳ね回り始めます。

ビビさんもアルネ君も、ちゃんと自分の名前をわかっているんですね。
親しい人が愛情をこめて自分の名前を呼んでくれることに、とても満足を感じるようです。

ちなみに猫部屋にいる猫どもは・・・。
めそめそとルーン以外は、自分の名前をわかっていないようすです。
くろはわかっているっぽいですが、引きこもりなのであまり反応がない・・・。

写真:眠っているビビさん

2010年01月23日

●田舎暮らし・・・動物とのかかわりあれこれ

田舎に住んでいると、さまざまな動物に出会います。
近所の畑に色鮮やかなキジが歩いていたり、タヌキが道を横切ったり。
現在住んでいるウチの辺りはその程度でかわいいものですが、以前に住んでいた旧藤橋村では、都会では考えられない経験を何度もしました。

今はダムに沈んでしまった旧徳山村を調べていたときのこと。
川べりを歩いていたら、いきなり小猿に抱きつかれました。
食べ物を持っているとそれを奪おうとして飛びつかれることはありますが、そのときは何も持っておらず、かなり親愛感を持った抱きつき方でした。
同類と勘違いされたのかもそれません。
猿の群れは、冬から春先にたくさん見られます。
畑の作物を食べてしまうので嫌われています。

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プラネタリウムへの出勤途中でカモシカを轢きそうになったことが数回あります。
突然、崖を駆け下りてきて車の前を横切るのですが、もしぶつかったら相手は天然記念物、また車の損傷も軽くは済みません。
知り合いでイノシシにぶつかった人がいましたが、車は全損になってしまったそうです。
イノシシはそのまま逃げ去ったとのことでした。イノシシ、強し!
子連れのイノシシは、当時の家の近くに頻繁に出没しました。
うり坊、と呼ばれる子イノシシが母親の後を従いて歩くようすはとてもかわいいものでした。

仕事の帰り、深夜のトンネル内で何やら巨大な物体が動いているのを見て思わずブレーキを踏みました。
トンネル内の黄色い灯りに黒々と浮き上がったそれは、立派な角を生やした大きなオスのシカだったのです。
どうした理由からか、長いトンネルの真ん中辺りに入りこんでしまったシカは、どうしていいのかわからず右往左往していました。
他の車への警告のため、ハザードを点灯させてゆっくり走りました。翌日、トンネル内にシカの死体はなかったので、どうやら無事に脱出できたようでした。

集落内にクマが現れて、登下校する子どもたちを10日ほど車で送迎したこともありました。
周辺の町村では、クマが現れると待ってましたとばかりに撃ってしまいましたが、当時の藤橋ではそうしたことはせず、人間の方が遠慮してクマが地域から立ち去るのを待っていました。
良いことだと思います。
人間も自然の一角に間借りしている存在にすぎないのですから。

マムシに追いかけられて肝を冷やしたこともあります。
ちっちゃいヤツだと気を許したのがいけなかった・・・。

山での暮らしは大変でしたが、自然との関わりは今よりずっと濃厚でした。
楽しい10年間を過ごしたなあと思っています。

写真:旧藤橋村遠望

2010年01月25日

●詩「Blue Stars」

オリオン舞う凛冽の星空
一人見上げる
冷たく青い大気の中で
君の強さと脆さと優しさを思う

同じ星空を
遠い街で君も見上げることができるなら
ただひとつの想いを伝えたい

どれほど離れていても
いつも隣にいると
星と同じ輝きを放つ無垢な心に
どんなときも寄り添っていると

君を乗せた翼が帰る日まで
一秒たりとも忘れない
真摯でささやかな祈り
君に届け
遥かな距離を越えて

☆夜毎広がる星空は、地球上のどこで見ても同じです。(北半球と南半球では違うとか、お天気が悪いと見られないといったヤボな話はしないよーに!)
たとえば遠く離れた街にいる大切な人への想いを、星空に託してみたら・・・。
冬空に凛として輝くオリオンを見上げながら、ふとそう思いました。
遥かな距離を越えて想いは届くでしょうか。
届いてほしいと思います。

2010年01月26日

●真冬の八草峠へ

八草峠に行ってきました。
とはいっても、本当の峠ではなく、その直下を貫く国道のトンネルまでですが。

岐阜県揖斐川町坂内川上と滋賀県木之本町の境にあるこの峠、私が東京から転居してきたころは車一台通行するのがやっとという「酷道」でした。
悪路が好きな私は、そんな道を通ってよく敦賀の海まで行っていましたが、運転に自信のない人は途中で引き返してしまうほどの道でした。

最近になって道が付け替えられ、あわせて延長3kmに及ぶトンネルで岐阜県と滋賀県が結ばれました。
さらに冬季も通行できるよう除雪体制が整備されましたので、大雪が降ってしばらく後の先日、どんなもんかいなと出かけてみたのです。

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揖斐川に沿って久瀬、藤橋、坂内と走るにつれ、雪の量はどんどん増えていきます。
藤橋では70cm、坂内では1m、さらに最奥の集落である坂内川上を過ぎると、多いところで2m近くになりました。
とはいえ、路面は除雪されていますので、4WDにスタッドレスを履いていれば通行に支障はありません。

青空が広がる峠は静かでした。
通る車もほとんどなく、一面、白と青の世界です。
トンネル脇から本来の峠道に続く橋がかかっているのですが、橋の上は新雪がこんもりと積もって相当な積雪です。橋には近づくことさえかないません。
それにしても、冬季は豪雪に閉ざされていた昔を考えると、真冬に八草峠へ来ることができるなんて本当に夢のようでした。

「行ってみようかな」と思った方。
除雪されているとはいえ路面には雪が残っていてスリップしやすいですし、雪崩の危険性もありますから、雪道に慣れていない方は十分に注意して下さいね。

2010年01月28日

●カセットテープとチューリップ

古いカセットテープの整理をしていたら、いろいろと懐かしい曲が出てきました。
かぐや姫とかは今でも普通に聴くので、特に懐かしいという感じはしないのですが、何だかやたらと感動してしまったのがチューリップでした。
チューリップは財津和夫さんを中心に結成されたバンドで、1972年にメジャーデビュー、1970年代から80年代にかけてたくさんのヒットを飛ばしました。
いい曲はいっぱいあるのですが、やはり「青春の影」「悲しきレイン・トレイン」「心の旅」「サボテンの花」といったヒット曲は、当時の思い出とオーバーラップして思わず聴き入ってしまいました。
「青春の影」は今や押しも押されぬ名曲として有名ですし、「心の旅」や「悲しきレイン・トレイン」を聴くと、思春期のほろ苦さや初恋の思い出がよみがえります。

でも、今回、いちばんジーンとさせられた曲はこれらの名曲ではありませんでした。
「娘が嫁ぐ朝」って曲、ご存知でしょうか。
1976年にリリースされたこの曲、残念ながらビッグヒットにはなりませんでした。
奥さんを亡くした男が、男手一人で育てた娘を嫁がせる日の想いを歌っているのですが、当時財津さんは20代で当然のことながら娘を嫁がせる年齢ではないにもかかわらず、何とも心情描写が巧みで涙モノの曲に仕上がっています。
何度も巻き戻して聴いてしまいました。

古いカセットテープって、宝の山ですね。
私と同年代であれば、とにかくなんでもカセットテープに録音しておいたはず。
おうちにある年代物のカセットテープ、聴いてみてはいかがでしょうか。
意外な掘り出しモノが出てくるかも・・・。

2010年01月29日

●クリムゾンスターが明るい

1月17日の記事に、うさぎ座のクリムゾンスターのことを書きました。
とにかく真っ赤で、これほど赤い星は見たことがない、と。
このクリムゾンスター、どうやら1月末(今ですね)に極大を迎えたようです。
正確には「うさぎ座R」というこの星、イギリスのハインドによって発見され、およそ427日ごとに5.5等~11.7等の範囲で変光しているほか、およそ40年ごとに明るい時期と暗い時期があることがわかっています。
1月下旬の光度は6等台後半と見積もられていますが、先日、見た感じではもっと暗い印象でした。
赤い星は明るく見積もられる傾向があり、変光星観測者の観測データを見ても、1月中旬の光度は7等台を中心にけっこうばらつきがあります。
半月の間に増光したことを考えると、やはり1月中旬は6等台よりは暗かったのではないかと思っています。

この星、スペクトルタイプではC型に分類されています。
有名なOh Be A Fine Girl,Kiss Me!という分類にはC型なんてないぞ!とおっしゃる方もいるかもしれません。
この分類は表面温度による分類なのですが、星をつくる元素の種類によって分類する方法もあり、炭素が特に多い低温度星のことを「炭素星」としてC型に分類しているのです。
炭素星は、表面温度が特に低いことと、炭素のガスが星の表面を覆っていて、青や緑に見える光を吸収してしまうために深紅に見えます。
変光のタイプとしては、くじら座のミラに代表される「ミラ型変光星」と考えてさしつかえありません。
星全体がふくらんだり縮んだりすることで明るさが変わっていて、ふくらむたびに星の表面からは大量のガスが宇宙空間に放出されています。
こうして放出されたガスは、通常は惑星状星雲として星を取り巻くのですが、そうならない場合もあります。

trail.jpg

紫外線観測衛星によって、最近、ミラから彗星の尾そっくりなガスが長く放出されているようすが撮影され話題になりました.
この尾は、ミラが宇宙空間を移動するうちに、放出されたガスが取り残されてつくった構造だと考えられています。
ミラの固有運動が非常に速いために、こうした構造がつくられたわけです。

変光星にはこれまであまり興味がなかったのですが、クリムゾンスターについて調べるうちに、星をつくる元素や星の生成過程にとっても興味が湧いてきました。
今度晴れたら、またクリムゾンスターを見てみたいと思います(ちゃんと明るさも目測してみます!)。
また、同じく炭素星であるオリオン座W星、りょうけん座Y星などにも望遠鏡を向けて、どれほど赤いかを確かめてみようとも思っています。

画像:ミラの質量放出(NASA/JPL-Caltech)