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2010年12月28日

●憧れだったスカルナテ・プレソ星図

今では、誰でも簡単にパソコン版の星図を入手でき、記載されている等級も天体カタログの併用により16等より暗い天体まで確認することができる上に、閲覧範囲の拡大も縮小も思うがまま、さらに天体望遠鏡の制御にも使えるなど、星図の機能はPC化によって無限に拡がった感があります。

でも、私が天文を始めた頃は、星図というのはとても入手しずらいものでした。
当時、国内で簡単に入手できた星図は、地人書館の「新標準星図」と誠文堂新光社の「全天恒星図」の2種類のみ、記載されている等級も6等台でした。
私は新標準星図を常用していましたが、今から振り返っても良くできた星図だったと思います。

その頃、海外で発刊されたものでは、スカルナテ・プレソ(ベクバル)星図が何といっても憧れの的でした。
スカルナテ・プレソ天文台のベクバル博士が編纂したこの星図、8等級まで記載されている上に星雲・星団の記載も詳細で、コメットハンターには必携と言われていました。
これが欲しくてたまらなかったのですが、輸入するしかなかったために、当時、中学生だった私には入手することができなかったのでした。

何とか手に入らないものかと探していたところ、ある図書館に、この星図の卓上版があることがわかりました。
今ならすぐにコピーするところですが、当時は気の利いたコピー機もなく、困り果てた私は、あることを思いつきました。
いや、思いついた、というほどのことではありません。
コピーできないのなら、一枚一枚、トレースしてやろうと思ったのです。

トレースの方法は何とも原始的です。
その星図を明るい窓に貼り付け、その上に白い紙を重ねて恒星や星雲・星団、さまざまな記号などをひたすら忠実に写し取っていくのです。
わかりやすいように、恒星は黒、銀河は青、散光星雲はピンクというように、天体の種類によって色の違うサインペンでトレースしました。
一枚仕上げるのに要する時間は数日。
途方もなく手間のかかる作業です。
このようにして、ようやく私は、憧れの星図を自分のものにすることができたのでした。

その後、スカルナテ・プレソ星図の本物も購入し、他にもスカルナテ・プレソ以前に広く使われていたノルトン星図や旧ソ連のミハイロフ星図なども入手し、当面、星図に不自由することはなくなりましたが、窓に向かってスカルナテ・プレソ星図を丹念にトレースしていった中学生の頃が、今から思えばとても貴重な
時代だったように思えます。
あの頃、必死でトレースした星図、今もときどき探してみるのですが、見つかりません。
家のどこかにはあると思うのですが・・・。

今は、広域用に全天恒星図、詳細な確認用にはウラノメトリア2000を主に使用しています。

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コメント

いや~、驚きました。すごいですね。\

松本さんの話には、「私も似たような体験があります」というものも少なくないのですが、星図をトレースするなんて考えたこともありませんし、考えてもできないことです。\

すごい中学生だったんですね。

うちやまさん、こんにちは。\
東京に帰省していたので、お返事が遅くなりすみません。\

星図のトレース、大変でした。\
でも、やっているうちに本物よりも美しい彩色で使いやすいものにしたいという欲求が出てきて、熱中してしまいました。\
すごいかどうかわかりませんが、ヘンな中学生だったことは間違いないです。

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