2009年01月11日

●狭山市博物館に行きました

法事で東京に来ています。
西武池袋線の飯能駅近くにある霊園で法事を済ませた後、あまりに天気がいいので、車で帰る親戚と別れて、飯能駅からしばらく電車に乗った稲荷山公園駅近くの狭山市博物館を見学しました。
学芸員資格を持っているので、出かけた先で博物館を見つけると、できるだけ見学するように心がけています。プラネタリウムや公開天文台であればなおのこと。
学芸員資格の勉強中は、関東地方一円の博物館施設のほとんどを見学しました。やはり机上の勉強だけではダメなので・・。

狭山市博物館の入館料は150円。最近は公営の館でもけっこう高いところも多いのでなかなかにオトクです。
常設展示は、狭山市を中心とした郷土の歴史を、先史時代から現代までたどりながら収蔵品を展示しているというオーソドックスなつくりでした。
奇をてらったところはなく、博物館業者がまじめにマニュアル通りに作ったなあ、という印象。(悪い意味ではないですよ)

受付の女性職員がとてもにこやかだったこと、展示室にいた2名の女性職員がフロアや展示物を一生懸命に掃除していたことに好感が持てました。
博物館の運営に関して、職員がフレンドリーで館内が綺麗ということは、とても大切なことだと私は思っています。いかに貴重な展示物が斬新な手法で展示してあっても、職員の態度が悪かったり館内が汚ければ、観覧者の興味を大きくそいでしまいます。

展示そのものよりも、職員の真摯な姿勢に好感をおぼえて館を辞し、ふたたび西武線の人となったのですが、なんと車両故障でこれから乗り換える西武新宿線が全線不通とのこと。
幸い、所沢駅でしばらく待っていたら復旧しましたので事なきを得ましたが、鉄道の不通って本当に困りますよね。

2009年04月16日

●町内の博物館施設を視察

今日は、教育長、教育部長、文化課長、揖斐川歴史民俗資料館館長と一緒に、揖斐川町内の博物館施設を一日かけて視察しました。

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1町5村が合併した揖斐川町には、旧の町村それぞれに博物館施設があります。
3年ほど前からそれらの博物館施設の収蔵資料を再調査し、収蔵品目録を作成する作業を行ってきました。
その目的はいくつかありますが、町内に散在する小さな博物館施設が持っている資料の点数を把握し、最終的には一箇所にまとめて保存・展示しようという構想の着手点という意味合いもあります。
教育長と教育部長ともに新任のため、そうした構想と博物館施設の現状を理解してもらおうと、施設を案内したわけです.。

いちばん遠くにある旧坂内村の資料館から、旧藤橋村の資料収蔵庫、旧久瀬村の資料館、旧春日村の博物館、資料館を、それぞれの地域にある支所を含め朝から訪問、教育長と教育部長に歴史民俗資料への理解を深めてもらいました。

長距離の運転で疲れましたが、今後の博物館行政に関する理解は共有していただけたようです。
また、山間地をぐるっと回りましたので、桜や新緑を満喫することもできました。

「古い農具や道具を集めているところ」というのが、歴史民俗系博物館に対する多くの方の理解ですが、
そうした道具には現代につながる人々の営みが沁みついています。
学芸員の仕事は、そうした道具に人間の営みを語らせることだと思っています。

写真:旧藤橋村道の駅にある「徳山民俗資料収蔵庫」の展示

2009年06月09日

●東京国立博物館

先日、東京へ行った際に、久しぶりに上野の東京国立博物館へ行ってきました。
国宝や国指定重要文化財がずらりと展示されているここは、文字通りわが国を代表する博物館です。
上野公園の一角を占める構内には、大正から昭和にかけて建築された本館、東洋館、表慶館、そして1999年に開館した平成館、法隆寺宝物館が並んでいます。

まずは東洋館から見学。
エジプトや中近東、中国、朝鮮など、東洋各地から収集された見事な遺物が並びます。
エジプトのミイラがいちばんの人気です。

本館は、日本のさまざまな美術品が納められています。
社会の教科書に載っていた美術品の本物が見られるのが大きな魅力。
展示室は黒を基調にしており、仏像などの展示物だけにスポットを当てる手法で、格調高く美しい雰囲気を醸し出しています。

平成館はちょうど「阿修羅展」をやっていて、上野駅から行列が続く大混雑。
阿修羅展はパスして、日本の古代の展示をじっくりと見学しました。ここでも、社会の教科書でおなじみの埴輪や土器が見られます。

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法隆寺宝物館は、片隅にあるためか見学者が少なく落ち着いた雰囲気。
資料の劣化を防止するためにひときわ暗い展示室には、大小さまざまな仏像や仏具などがスポットを浴び、静かにたたずんでいました。
心をしんと落ち着かせる展示室です。

厳密に言えばここは美術館で、博物館学的な意味での博物館ではないと言われています。
古今東西の資料を「陳列」しているだけで、学習という意味での「展示」がされていないためです。
それはそのとおりなのですが、膨大かつ高品位の資料を一度に鑑賞できるのはさすがに国立博物館の名に恥じません。

このブログを読んでいる天文屋さんは、国立科学博物館には行かれると思いますが、すぐ近くの東京国立博物館にはあまり行ったことがないかもしれません。
機会があればぜひ見学してみて下さい。
「日本の文化って素晴らしい!」
きっとそう思うはずですヨ。

写真:法隆寺宝物館の仏像

2009年06月17日

●山村文化を学べる「森の文化博物館」

前回に続いて、揖斐川町春日にある博物館施設を紹介します。

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先日ご紹介した旧春日村美束の「森の染色工房」に隣接して「森の文化博物館」が整備されています。
こちらもウッディなつくりで、周囲の森の景観とマッチした気持ちの良い施設となっています。
常設展示室では、森と共に暮らしてきた人々の生活と歴史を紹介しており、特に春日村の特徴であった薬草文化と炭焼きに関する資料が充実しています。
展示は見やすく工夫されていて、山深い春日の地で、特産の薬草と炭焼きを生業にしながら懸命に生きてきた人々の暮らしを学べます。

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フリースペースでは、季節ごとに館長が撮影した薬草や自然の写真がテーマに沿って展示されており、同じくフリースペースのラウンジからは、涼味あふれる渓流と深山の景観を望むことができます。

テニスコートやキャンプ場も整備されており、コテージやテントで宿泊しながら自然の中でリフレッシュができますので、この夏、林間のキャンプを考えている方は検討されてみてはいかがでしょうか。

大規模林道を通って旧久瀬村側へ抜ければ、森の中の快適なドライブができます。
新緑と紅葉の時期はすばらしい景色を見ることができますヨ。

なお、博物館近くの別荘在住の方が飼育しているカブトムシを、博物館入館者のうち希望の方にはお分けしているそうです。
詳細は博物館でお尋ね下さい。

休館日:水曜日・冬期積雪期間
入館料:大人200円・小中学生150円
開館時間:午前9時~午後5時
交 通:揖斐川町役場から車で40分
電 話:0585-58-3111

2009年07月17日

●企画展「ふるさとの戦争と暮らし」

この1週間ほど、揖斐川歴史民俗資料館の企画展「ふるさとの戦争と暮らし」の展示制作に忙殺されています。
日露戦争と太平洋戦争が私たちの暮らしに及ぼした影響や当時の世相を、資料を通じて語り、平和の貴さをわかってもらいたいという趣旨の企画展です。

日露戦争に従軍した兵士が家族に宛てた手紙、出征兵士を送るのぼりや寄せ書きの日章旗、金属供出のために使用した陶器製のゆたんぽやお釜、岐阜空襲当時の新聞、小学生が戦地の兵隊に送った作文や図画工作作品、また、戦闘機と爆撃機のプロペラなど、貴重な資料をたくさん展示しています。

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特に目玉は、大小のプロペラ2つ。
ともに木製で、非常に珍しいものです。
写真や絵と違って実物を見ると、その大きさと精巧なつくりに驚かされます。

こうした企画展は、展示制作のみならず、メディアへの広報やポスター制作なども並行して進めなければならず、その労力は並大抵ではありません。
予算は非常に乏しい(というよりほぼありません)ため、人力と創意工夫だけが頼りです。
幸い、いっしょに作業をしている学芸員さん2名が大変に熱心かつ優秀なので、予算が乏しい割にはとても良い展示ができたと思っています。

期間は7月21日(火)から8月30日(日)です。
入館料は100円と激安ですので、ぜひ皆さま、お誘い合わせの上ご観覧いただければ幸いです。
なお、月曜日は休館ですのでお気をつけ下さい。

揖斐川歴史民俗資料館 電話 0585-22-5373

写真:戦闘機と爆撃機のプロペラ。大きいですよ。

2009年08月29日

●タルイピアセンターを訪ねる

休みが取れるとあちこちの博物館を訪ねます。
先日は、岐阜県垂井町にあるタルイピアセンターを訪れました。
ここは図書館と歴史民俗資料館の複合施設です。

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入館料は無料、入ってすぐの企画展示室では「戦国大名の勝負飯」という展示を行っていました。
有名な戦国大名にまつわるメニューのレプリカを展示し、なぜそのメニューが考案されたのか、栄養価や食事の効能等について紹介していました。
面白い視点で、規模としては小さいながら上手にまとまった展示でした。

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常設展示は、さほど広くないスペースを有効に利用し、おおむね時代を追って作られています。
古くから人が住んでいた垂井町ですから、縄文時代から豊富な資料が展示されています。
きれいなジオラマが製作されていて、昔の暮らしをビジュアルに知ることができます。
稀代の軍師である竹中半兵衛の一代記、中山道の主要な宿場として賑わった垂井宿のようすなど、地域の歴史もわかりやすく展示がなされています。

全体として現代水準のあか抜けた展示で、家族で、あるいは友だち同士で出かけても楽しめます。
美濃路(中山道)や宿場町に興味のある方なら、ここの展示を見てから実際の垂井宿を見学し、さらに関ヶ原や柏原宿へ足を伸ばすと、充実した一日を過ごすことができるでしょう。

写真:展示のようす

2009年10月15日

●旧谷汲村の民俗資料

勤務先の揖斐川歴史民俗資料館では、11月20日(金)から特別企画展「ふるさとの民具と日本の蓑」を開催します。
揖斐川町で使われてきた農具や養蚕用具、紙漉道具等の生産用具の展示・解説とともに、全国各地の蓑(みの)を展示する予定です。
町内各地から大小さまざまな民具を揖斐川歴史民俗資料館に集める作業を行う中で、昨日は旧谷汲村から農具を運搬してきました。

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谷汲村には村立の民俗資料館があったのですが、建物の老朽化が進み危険になったために、3年前に建物を取り壊し平地にしました。
その際、内部に展示されていた資料を整理する作業を、私ともう一人の学芸員の女の子で行いました。
建物が雨漏りしていたため、資料の多くはカビが生え、汚損がひどい状態でした。
そんな資料を資料を一点ずつクリーニングした上で整理分類し直し、近くにあった別の施設内に展示施設を新たに作って納め直す作業は大変でしたが、それだけに旧谷汲村の民俗資料にはことさらに愛着があります。

今回、そんな愛着深い谷汲の展示施設を、民俗学の有名な先生といっしょに訪れたわけですが、その先生が「とても良い資料が揃っている」と仰ってくれて、自分の持ち物を褒められているように嬉しく思いました。

学芸員の仕事は汚れ仕事が多く、決して格好の良いものではありません。
谷汲の資料整理にしても、泥とホコリとクモの巣にまみれて行いました。
その分、資料がきれいになり、ましてやそんな資料に価値があると言っていただけると何とも嬉しいものなのです。

写真は、現在、谷汲の民具を収納してある部屋のようすです。
部屋が狭いので、系統だった展示ができなかったのが残念ですが、思い出の深い場所と民具たちです。


2009年11月04日

●特別展準備で超多忙!

今日は終日、11月20日から開催予定の特別企画展の展示作業を行っていました。
「ふるさとの民具と日本の蓑(みの)」と題して、揖斐川町の農具やさまざまな生産用具、そして全国各地から収集した蓑を集めた展示です。

この種の展示は、3年ほど前にも開催したことがあるのですが、その際は旧谷汲村の民具のみで比較的小規模でした。
今回は、揖斐川町各地から多くの資料を集めて系統立てた展示を企画しているため、規模も資料点数も大きなものです。
館長と、私を含めた学芸員3人、そして民俗学者の先生2名で取り組んでいるのですが、なかなか進展しません。

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それでも今日は、ひととおり資料を並べ、大体の雰囲気を把握することができました。
民具は私を含めた3人の学芸員ともに専門外のため、勉強しながらの展示制作です。
わからないことばかりなのですが、日々、新しい知識を学ぶことができ、苦労しながらも楽しく展示に取り組んでいます。
休日・夜間返上でがんばっていますので、期日になったら、ぜひ皆さんで見に来て下さいね。

とはいえ、他にもさまざまな仕事を並行して行っているため、特別展の期日が迫ってくるにつれて次第に焦りが・・・。
今月は、この特別展に加え、いびがわマラソン、予算などお仕事が非常にタイトなのです。
でも18日のしし座流星群は何としても観測しますヨ。
それまでに気合を入れてお仕事を片づけるのだ!
がんばれ、まっちゃん!

写真:千石通し=おコメの粒の大きさを選り分ける道具です。

2009年11月16日

●秋好日、美濃路を散策

昨日は、一宮市の尾西歴史民俗資料館へ行きました。
14・15日が毎年恒例の「もみじまつり」で、たくさんの人が訪れて盛り上がっていました。

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この資料館は美濃路沿いにあります。
起(おこし)宿の脇本陣だった旧林家と展示施設が併設されており、美濃路に関するさまざまな資料が展示されています。
旧林家は庭園の見事さでも知られ、穏やかな秋の日ざしが降り注ぐなか、林家の座敷で行われる箏や雅楽などの演奏を楽しみました。
この館で学芸員実習を受けたogawa嬢がガイド役を買って出てくれましたので、館の学芸員さんのお話とあわせ、じっくりと展示を勉強することができました。
ちょうど特別展「美濃路を行き交う大名」が開催されており、参勤交代で美濃路を使用した大名たちの資料や文書も見ることができました。

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資料館見学後は、ogawa嬢の案内で周辺の名所旧跡を散策しました。
散策の足は自転車。
国指定の一里塚や木曽川の渡しの跡などを見学、美濃路を一日かけて満喫しました。
夕方には、木曽川に残る渡し船「中野の渡し」で岐阜県まで木曽川を往復。
この頃には曇ってきて少し寒かったのですが、あの広い木曽川を船で渡りながら、船頭さんというべきか、乗務員さんというべきか、同乗のおじさんの楽しい解説を拝聴し、珍しく楽しく勉強になる経験をすることができました。

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この渡し、なんと愛知県営なのです。
料金は無料。
一度、乗船してみる価値がありますよ。

資料館の学芸員さんの一人は、おばあさまが坂内の方とのことで、期せずして揖斐川町の話題で盛り上がってしまいました。
どこにも縁があるものです。

今後も各地の博物館施設を訪れて、いろいろと勉強をしたいと思っています。

2009年11月21日

●特別展開場式が挙行されました

ここ2ヶ月ほど、揖斐川歴史民俗資料館では、特別展の準備を行ってきました。
年に一回の特別展、今年は「ふるさとの民具と日本の蓑」と題して、揖斐川町内各地の農耕生産用具や養蚕、紙漉の道具の展示に合わせて、旧藤橋村で収集してきた全国各地の蓑を展示することになり、乏しい予算と人員をやりくりして準備をしてきたのです。

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ようやく準備が整った昨日、その特別展の会場式典が開催されました。
揖斐川町長、県会議員、町会議員などたくさんの来賓が出席し、秋らしい好天の下、テープカットが行われました。
式典の後は、60名の出席者が展示を観覧され、農具の展示コーナーでは「昔に使ったことがあるものばかりで懐かしい」という声が随所で聞かれました。
全国の蓑を一堂に集めたものとしてはおそらく全国初となる「日本の蓑」の展示はさすがに圧巻で、観覧された皆さんは「これはすごい」と歓声をあげていました。

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今回の展示では、揖斐川町内という狭い範囲で使用されてきた民具展示と、全国から収集した蓑の展示を同時に開催することにより、ミクロからマクロな視点で民具を考えてほしいという意図があります。
ぜひ誘い合わせてご来場いただき、観覧していただければと思います。
天文は好きだけど民具なんて興味がないと思われる方も、全国から収集した蓑の展示を見ると、認識を新たにさせられますよ。

揖斐川歴史民俗資料館は月曜日が休館、開館時間は午前9時から午後5時までとなっています。
不明の点等は、電話0585-22-5373までお問い合せ下さい。

2009年12月06日

●伝統的日本建築の美しさ

昨日は、一宮市尾西歴史民俗資料館別館となっている旧林家の見学に行きました。
しばらく前にも訪れたのですが、その際はちょうど紅葉まつりの最中で人がたくさんいたために、家屋内部を見学することができなかったのです。

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旧林家は、美濃路の起宿(おこしじゅく)の脇本陣です。
江戸時代の伝統的な町屋建築の様式を伝える住宅で、玄関、母屋と裏座敷で構成されています。
外回りは建築当時の古いガラスを使った戸で囲んであり、廊下を歩けば、ガラス越しに見事な日本庭園を望むことができます。

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雨のせいか訪れる人もごく少なく、案内してくれたogawa嬢と二人、しんと静まり返った畳に座り、濡れた日本庭園を眺めていると本当に心が落ち着きました。
庭園の紅葉は終わりかけでしたが、雨に打たれた真っ赤な葉がちらちらと緑の苔の上に落ち、美しいコントラストを見せていました。
庭には水琴窟が2箇所に作られており、水を滴らせてみると、澄んだ美しい音が聴こえました。

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洋風の住宅が増える昨今ですが、やはり日本の風土には、木と紙で作られ、四季折々の自然を愛でることができる庭をしつらえた伝統的日本建築がいちばん合っている気がします。
娘も日本建築が好きなので、機会を見てもういちど娘同伴で訪れたいと思っています。

2010年01月07日

●「寿ぎ展」開催中

私の勤務している揖斐川歴史民俗資料館では、2ヶ月に一度ほどのペースで企画展を開催しています。
この1月からは「寿ぎ展」が始まりました。

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名前の通り、正月にちなんだ絵画や軸などの資料を展示しています。
できるだけ地元の作家を主体に展示するように心がけており、今回の企画展でも揖斐川町出身の画家である野原櫻州や森田玉仙の絵画や軸を主体に展示を行っています。
今年の干支にちなみ、虎を描いた作品も展示しています。
寒い日が続いていますが、新春を寿ぎ、気持ちも新たにご観覧いただければと思います。
昨年末まで開催していた特別企画展「ふるさとの民具と日本の蓑」も、まだ展示は残していますので、希望の方はご観覧いただけます。
窓口でお申し出下さい。

■揖斐川歴史民俗資料館
 岐阜県揖斐郡揖斐川町上南方
 電話:0585-22-5373
 休館日:毎週月曜日
 入館料:大人100円 小中学生50円

2010年02月03日

●茅屋根葺き替え工事進行中

勤務している揖斐川歴史民俗資料館敷地内にある、旧徳山村から移築した民家の茅屋根を葺き替える工事が進んでいます。
民家全体を覆う素屋根をかけて、天候にかかわらず作業を行っているために工事の進捗は早く、現在、古い茅をすべておろして新しい茅を下から順に乗せているところです。

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掲載したのは、茅葺き民家の骨組みが露出している珍しい写真。
垂木の上に細い横竹を乗せて骨組みができていることや、破風の作りがよくわかりますね。
内側から骨組みを見ると、斜めに組んだ垂木を結んで横木が入っていました。
旧徳山村は大変に雪深い所ですから、屋根に積もった雪の重量も相当なものになります。
横木を入れて耐雪性を強化したのでしょう。

3月には工事完成の見込みです。
2月20日(土)には、午前11時からと午後2時から、茅葺き工事の現場見学会も開催します。
また近づいたらご案内しますが、滅多に見ることのできない茅屋根の葺き替えを、この機会にご覧になってみてはいかがでしょうか。

2010年02月10日

●「ひな展」開催中!

私が勤務している揖斐川歴史民俗資料館では、常設展の他に企画展を随時、開催しています。
2月9日(火)から3月7日(日)までは、ひな祭りにちなんで「ひな展」を開催中です。

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展示室正面に豪華な七段飾りを配し、展示室内には享保年間に製作されたと思われる江戸期雛や、細面でいかにも雅な面立ちの明治雛、木目込み雛、土雛、市松人形などを展示しています。
また、ひな祭りにふさわしい絵画や掛け軸なども展示、華やかな雰囲気を醸し出しています。
優しい顔立ちのひな人形をご覧いただいて、一足先に春を感じていただければと思います。
機会があればぜひご観覧下さい。

写真:江戸期雛

■揖斐川歴史民俗資料館
岐阜県揖斐郡揖斐川町上南方901番地5
電話:0585-22-5373
休館日:毎週月曜日 2月12日(金)

2010年02月18日

●大野町 治水と井水の歴史展

先日、岐阜県大野町文化財保護協会が主催する「大野町 治水と井水の歴史展」に行ってきました。
展示の内容に興味があったことはもちろんですが、私の勤務する揖斐川歴史民俗資料館所蔵資料をこの展示会のために貸し出しており、どのように展示されているのか見てみたかったというのも大きな理由です。

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ちょうど遊びに来ていたogawa嬢といっしょに見に行きました。
展示されているのは、昔の地図や写真、治水工事の記録、治水に使用されてきた道具や工法の紹介などです。
木曽三川の歴史について二人でいろいろと調べていたところでしたので、洪水のたびに変わってきた昔の河道や度重なる水害のようすなど、興味深く展示を観覧することができました。

熱心に展示を見てくれていると思ったのでしょう、係の方がとても親切に展示を解説してくれます。
治水というどちらかといえば地味なテーマに、ogawa嬢のような若い女の子が関心を示すことが珍しく感心だと思ってくれたから、付きっきりで解説をしてくれたのかもしれません。

揖斐川歴史民俗資料館の資料も上手に展示されていました。
公開天文台やプラネタリウム、また歴史民俗系の博物館を訪れる際、私はいつも一般客として訪れます。
今回も資料を提供している館の担当者とは名乗らずに観覧しました。
その方が特別扱いされずに気楽に観覧できますし、観覧者へどのような対応をしているのかを知ることもできます。
今回の展示会では、とても親切な対応でマルでした。

この展示会は、2月21日(日)まで開催しています。
治水や木曽三川の歴史に興味のある方は観覧されてみてはいかがでしょうか。
展示を解説した立派な冊子も貰えますよ。

場所:大野町総合町民センター2階(岐阜県揖斐郡大野町黒野990 ℡0585-32-1111)
観覧料:無料

2010年02月19日

●茅屋根葺き替え見学会を開催します

私が勤務している揖斐川歴史民俗資料館では、現在、敷地内にある茅葺き民家の屋根を葺き替え中です。
ダムに沈んだ旧徳山村から移築したもので、町指定の文化財にもなっている貴重な民家です。

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この民家の茅葺き工事の見学会を、明日、2月20日(土)に開催します。
茅葺き民家自体が珍しくなっている現在、茅葺き工事の様子を見学できる機会は大変に貴重だと思いますので、興味のある方はぜひご参加下さい。

日時:2月20日(土) 午前11時~・午後2時~の2回(それぞれ1時間程度)
場所:揖斐川歴史民俗資料館(岐阜県揖斐郡揖斐川町上南方901-5)
参加費:無料
申し込み:不要(天候にかかわらず開催します)
※汚れても良い服装でご参加下さい。
※ハイヒール・サンダル等不可。
※駐車場完備。

民家前駐車場で民家の概要、工事の方法や茅葺きに使用する材料・道具の説明を行った後で、足場に上り茅葺き工事の様子を見学します。
私は午前・午後とも進行役でご案内します。

当日、工事見学会に参加いただいた方は、揖斐川歴史民俗資料館内を無料で見学できます。
ちょうど「ひな展」を開催していますので、あわせて観覧されてはいかがでしょうか。

写真:茅を下ろした屋根を内部から見る

2010年02月22日

●屋根葺き替え見学会、盛況でした

20日(土)は、勤務先の揖斐川歴史民俗資料館敷地内にある茅葺き民家の工事見学会でした。
昨年10月から私が担当している工事で、旧徳山村から移築後23年が過ぎて傷んだ茅屋根の葺き替えを行うにあたり、今ではほとんど見ることができなくなった葺き替え作業の様子を現地で見ていただこうと計画した催しです。

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午前と午後、2回開催された見学会には、揖斐川町内外から約80名が参加しました。
はじめに民家の概要を説明し、続いて民家前に特設した屋根の模型に実際に茅を乗せ、葺いた茅を屋根裏まで貫いて縄で固定するための「針」や、重ねた茅を隙間なく押し詰めるための「たたき」、茅を刈り揃える「はさみ」などの道具を使って、茅葺きの作業を実演しました。
その後、足場が組まれた工事現場に上り、実際に作業が進んでいるようすを参加者全員で見学しました。

参加された方は「勉強になった」「珍しい作業を見せてもらった」「懐かしかった」などと感想を述べていました。
工事を担当している私としても、こうして珍しい屋根葺きのようすを多くの方に見ていただき、体験型の生きた展示として工事を位置づけることができました。
文化財の修復工事などは、通常はなかなか見ることのできない細部の造作や伝統的な作業の実際などを一般の方が見ることのできる貴重な機会だと思っています。
学芸員として、今後もこうした工事や修復作業を行う場合には、できるだけたくさんの方に見ていただける機会を作りたいと考えています。

写真:模型を使って作業を実演

2010年03月10日

●鉄道の企画展を準備中

年度末で恐ろしく多忙な事務仕事の間隙を縫って、3月19日(金)から始まる企画展「ありし日の名鉄揖斐・谷汲線」の展示準備を行っています。

新岐阜駅から岐阜市内の路面電車区間を経て、揖斐川町内の本揖斐駅(揖斐線)・谷汲駅(谷汲線)を結んでいた電車は、どちらも大正時代からの歴史を有する鉄道でした。
1990年代より名鉄全体の収支が悪化する中で不採算路線整理の対象となり、揖斐線の黒野~本揖斐間および谷汲線の黒野~谷汲間が2001年9月に、残る岐阜市内線および忠節~黒野間の揖斐線残存区間も、2005年4月で廃線となってしまいました。
揖斐川町をはじめ沿線市町の利用者にとっては、岐阜市まで一本で行ける公共交通機関として好評でしたし、乗客もさほど少なかったわけではなかったので、廃止は大変に残念な選択でした。

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揖斐・谷汲線は、路面区間に乗り入れるために車体が小さいことが大きな特長でした。
レトロな車両が多く、大正時代か昭和の初期にタイムスリップしたようで、乗っているだけでワクワクできる鉄道でした。
谷汲線の終着駅である谷汲駅は、西国33札所の結願の寺である谷汲山華厳寺への参詣駅として賑わい、根尾川の清流に沿ってゴトゴト走るようすは、乗って良し、見ても良しの味わいのある姿でした。
私はちょっと暇ができると、なにも用事がないのにわざわざ揖斐線や谷汲線に乗りに出かけたものです。

今回の展示では、懐かしい両線の歴史やたたずまいを写真や絵画、さまざまな資料でたどりながら、ありし日の小さな鉄道を回顧します。
意外なほど資料が集まらず苦労しましたが、何とか形にできそうになってきました。
また展示が整ったらご案内します。
歴史民俗、美術系とはまた違った展示を、ぜひご観覧にお越しいただければと思います。

写真:黒野駅で並ぶ新岐阜行きと本揖斐行き電車

2010年03月12日

●民家の葺き替え工事が完成

勤務先である揖斐川歴史民俗資料館で、昨年10月から行っていた茅葺き民家の屋根葺き替え工事が完成しました。
今はダムに沈んでしまった旧徳山村から移築した民家の屋根が、移築してから23年を経て腐朽が進み、ようやく予算をつけて葺き替えすることになったものです。

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葺き替え工事は、専門の業者が施工しました。
昔は地域で葺き替えを行ったのですが、茅葺き屋根が稀少な存在となってしまった今では、一部の地域を除いて業者に任せるしかできなくなっています。
作業をしていただいた職人さんは茅葺き技術を熱心に研究している若い人ばかりで、こちらも勉強しながら工事を進めることができました。
また、資料館の館長が民家の専門家で、かつ本民家を移築した経緯を良く知っていることから、職人さんも適切なアドバイスを貰いながら葺き替えをすることができたと喜んでいました。
今回の葺き替え工事は、マスコミで報道されたことから、工事中も見学者が多く、多くの方に関心を持っていただけたことは良かったなあと思っています。

新装なった民家を使ったイベントも企画しています。
またご案内しますので、機会を見てぜひお越しいただければと思います。

写真:23年ぶりに葺き替えられた民家

2010年03月19日

●企画展「ありし日の名鉄揖斐・谷汲線」開始

勤務先の揖斐川歴史民俗資料館で、今日から4月18日(日)まで企画展「ありし日の名鉄揖斐・谷汲線」が開催されます。
ここ数日、年度末で他の事務仕事が超多忙の中、展示作成作業にいそしんでいました。
必死にがんばった甲斐あって、何とか昨日の夕方に展示を完成させることができました。
駅の駅名標や運賃表、制服や帽子、切符など実物資料の他、古い写真や鉄道を描いた絵画などを展示しています。

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東京から岐阜へ移住するにあたり、初めて旧藤橋村を訪ねた際に乗ったのが名鉄揖斐線でした。
一両きりの小さな車体、木張りの床など、レトロ感覚あふれる車両と、レールの継ぎ目をきっちり刻みながら走る懐かしい乗り心地に、強い驚きと郷愁を覚えたものです。
岐阜まで直通で行くことができましたので、仕事や用務でもよく利用しましたし、用事がなくてもその心安らぐ雰囲気を楽しみたくて乗りに行きました。
根尾川に沿った山際をトコトコ走る谷汲線の車窓風景は特に素晴らしく、西国33霊場結願寺である華厳寺への参詣鉄道としても賑わっていたこの路線を、観光鉄道として残すことはできなかったのかと今でも残念に思います。
忠節駅からはそのまま岐阜市の路面に乗り入れるのも魅力でした。
東京では、路面電車自体がほとんど絶滅していましたし(子供のころは走っていました)、郊外電車がそのまま路面に乗り入れるというシステムは初体験だったのです。

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路面電車サイズの小さな車体で、岐阜の市内から緑したたる美濃の山裾を結んでいた「赤い電車」。
今回の展示をご覧になって、ひとときの郷愁に浸るとともに、公共交通の大切さも改めて考えていただければと思います。

■揖斐川歴史民俗資料館
岐阜県揖斐郡揖斐川町上南方901番地5
電 話:0585-22-5373
入館料:大人100円 小中学生50円
休館日:毎週月曜日(22日も休館です)

2010年04月22日

●「揖斐川町の生活用具」を刊行しました

揖斐川町教育委員会では、このほど「揖斐川町の生活用具~手作り民具が語るもの~」という書籍を刊行しました。
民俗学者の方に本文を書いていただき、私が編集を担当した書籍で、A4版200ページ、オールカラーという装丁です。

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揖斐川町は、地理的に東西文化の接点であり、平野部から山間部まで多彩な風土と歴史を持つことから、合併前の1町5村で貴重な民俗文化財が多数、保存されてきました。
中には「徳山の山村生産用具」として国指定重要民俗文化財に指定されているものもあり、注目されています。

それら民俗資料の中から、特に手作りされた民具をセレクトし、豊富な写真と図版を織りこんで、資料ごとにわかりやすくまとめました。
先人が草や木など地域の自然材料を使用し、自分が使いやすく手作りした民具は機能性と温かみにあふれ、見ているだけで楽しくなります。
オールカラーの民具の書籍はこれまでほとんど出版されておらず、美しくわかりやすいと評判になっています。

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書籍は町内の学校や公共施設で学習に使用されるほか、一般にも販売されています。
頒価は一冊1,000円で、揖斐川歴史民俗資料館と揖斐川町中央公民館で頒布しています。
ご希望の方がありましたら、上記施設へお越し下さい。
郵送による頒布は行っておりません。

一冊の本を編集することはなかなか大変で、この3月はこの刊行に忙殺されていました。
それだけに思い入れのある書籍です。

2010年05月02日

●ギフチョウの羽化

しばらく前、春先のことです。
勤務先の揖斐川歴史民俗資料館でギフチョウが羽化しました。
館の植栽の中にギフチョウの食草であるカンアオイが植わっており、その葉を食べながら大きくなった幼虫が夏に蛹になって、年を越した今年の春先、ようやく羽化したものです。

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幼虫は真っ黒で、美しくも可愛らしくもありません。
蛹も真っ黒で、猫の糞を小さくしたような感じです。
館長と二人、幼虫にカンアオイを与え、蛹になってからは、乾燥しないようにときどき霧吹きで湿り気を与え、育ててきました。
「なんで歴史民俗資料館の館長と学芸員が虫を育てているんだろうね」と苦笑しながら世話をしたものです。
とはいえ、正直言ってちゃんと羽化するかどうかは疑問でした。
子供の頃にアゲハチョウを育てて羽化させたことは何度もあるものの、ギフチョウを育てるなど初めての経験だったからです。
ですから、蛹を割って、まだ羽がくしゃくしゃの蝶が出てきたときには感動しました。
蛹になったのは10匹ほどいたのですが、羽化したのはそのうち4匹でした。
カビが生えてしまったり他の虫に食われてしまったりと、他の蝶でも蛹から成虫になれる確率はその程度のものです。
羽を伸ばした4匹の蝶は、やがて、春の日ざしの中へと飛び立ってゆきました。
その姿は春の妖精という呼び名にふさわしく、館長と二人、晴れがましいような、ちょっと寂しいような気持ちで旅立ちを見送りました。

2010年06月07日

●穴掘りの毎日・・・

このところ毎日、揖斐川町内の山の中へ出かけては穴掘りをしています。
文化財標柱を立てるための穴です。
どこの自治体でも、市町村指定文化財というのが選定されていて、その文化財のある場所には文化財名称と文化財所有者名などを記した柱を立てることになっています。
揖斐川町では文化財担当の私が標柱を管理する業務を行っており、今回、傷んだり破損している標柱を12本、立て替えることになりました。
このほど発注していた標柱ができあがりましたので、それらを現地に立てる作業を行っているというわけです。

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1町5村が合併した揖斐川町は面積が非常に広く、山間地が多いために、現地へ到達するのもなかなか大変です。
数十分かけて山奥へ分け入り、持参したスコップなどを使って深さ40cmほどの穴を掘って、長さ2m、太さ10cm角、アルミ製の標柱を倒れないように埋めるのです。

地面が柔らかければいいですが、石ばかりで硬い場所だと少しもはかどりません。
ましてやこの季節、スコップをふるっていると暑くて暑くて・・・。
蚊に刺され、ヒルや蛇を警戒しながら、汗まみれになっての作業はなかなかに大変です。

昨日は、揖斐川町春日の山奥にあるお寺で作業をしていました。
お寺の境内で開けた場所でしたので、さほどの苦労はありませんでした。
12本作成した標柱のうち、昨日までに7本を立てましたので、残りはあと5本。
今週中に何とか目途をつけたいなあ。
学芸員の仕事にもいろいろあるんですよ。

写真:昨日立てた標柱(揖斐川町春日美束 六地蔵)

2010年06月08日

●企画展「清流揖斐川」が始まりました

今日8日から、勤務先の揖斐川歴史民俗資料館で、企画展「清流揖斐川」が始まりました。
木曽三川のひとつである揖斐川を、源流部から平野部までたどりながら、山紫水明の景観と、鮎や蛍といった川の恵みを、さまざまな資料で紹介しています。

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昨年度も「清流揖斐川と鮎」というタイトルで、この時期に企画展を行ったのですが、昨年は揖斐川町の平野部のみを対象にしたものでした。
今年は上流地域の資料も揃え、揖斐川の源流のひとつである福井県境の冠山から、旧藤橋村にあった「藤のつり橋」、旧久瀬村の景勝地「揖斐峡」から旧揖斐川町の簗場など、揖斐川町内の流域全体を俯瞰した展示としました。
この展示製作にあたっては、町内あちこちの写真を撮って歩いたり、さまざまな本を読んだりしましたので改めて勉強になりましたし、楽しんで展示を作ることができました。

展示期間は6月8日(火)~8月29日(日)です。
期間が長いので、お近くにお越しの際は、ぜひご観覧いただければと思います。

揖斐川歴史民俗資料館
岐阜県揖斐郡揖斐川町上南方901番地5
電話:0585-22-5373
入場料:大人100円 小中学生50円
休館日:毎週月曜日

写真:「藤のつり橋」の展示

2010年06月28日

●坂内民俗資料館

私の勤務する岐阜県揖斐川町は、1町5村が合併した関係で、旧町村それぞれに歴史民俗系の博物館施設があります。
どれも、地域の特色を知ることができる貴重な資料を収集・展示していますが、それら博物館施設のうちで、最も山奥に位置するのが坂内民俗資料館です。

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揖斐川町の中心部から国道303号線を北上し、滋賀県との県境、八草トンネルの手前にあるこの資料館は、茅葺の民家と隣接した収蔵庫内部に、さまざまな生産・生活用具を収蔵・展示しています。
茅葺民家は、屋根をトタンで覆ってしまってありますが、山間地の民家としては非常に大きく立派な造りです。
民家内部には、当時の生活が偲ばれる部屋が再現されており、山仕事や紙漉きの道具など、平野部では見られない珍しい資料を展示しています。
そうした道具の中に「油搾り器」と呼ばれるものがありますが、完全なものは西濃地方全域でもこの資料館にしか現存していない非常に貴重な資料です。

坂内民俗資料館、開館日は土日祝日です。
入館料は無料ですので、八草トンネルを通って滋賀県へ行かれる方は、ぜひ立ち寄ってみて下さい。
あまり知られていませんが、小粒でもピリリと辛い資料館ですよ。

2010年06月30日

●学芸員実習の受け入れ

勤務先の揖斐川歴史民俗資料館では、毎年1~2名の学芸員実習生を受け入れています。
学芸員資格を取得するには、国家試験を受験する、大学で必要単位を取得する、通信教育で必要単位を取得するなどの方法があるのですが、大学や通信教育で単位を取得した場合は、一定期間、博物館施設で実習が義務づけられているのです。

今年は2名の受け入れが決まっており、すでに1名が今月から実習に来ています。
8月にはもう1名を受け入れます。
館長と指導学芸員である私が指導をすることになっており、指導の方針やプログラムは館独自で決めて良いことになっています。

私は学芸員資格を国家試験認定で取得しました。
民間会社に勤務しながらの独学でしたので苦労しましたが、それだけに自負もあります。
これから学芸員を志す人たちに、揖斐川歴史民俗資料館での実習で少しでも自分の血肉となるものを持ち帰って欲しいと思っていますので、これまでの実習生には、博物館学の座学から、展示やキャプションの作成、収蔵庫や書庫の整理作業、学芸員としての心得、さらには混沌としたわが国の博物館行政の中で、予算の確保や効率的かつ実効力ある仕事をするための役所内でのテクニックに至るまで、単なるきれい事だけではないすぐに推進力が身に付く内容を教えてきました。

今回も、初日は館内見学を行いながら展示のコンセプトや今後の展示プランの説明、館の機能説明などを行い、2日目は7月20日から始まる企画展の展示準備を館の学芸員といっしょに行いました。
今後は、企画展の制作をいっしょに行いながら体験イベントなども手伝ってもらい、少しでもたくさんの勉強をしてもらいたいと思っています。

2010年07月15日

●企画展「ふるさとの戦争と暮らし」制作中

7月20日(火)から始まる揖斐川歴史民俗資料館の企画展「ふるさとの戦争と暮らし」オープンに向けて、毎日、展示作業に汗を流しています。
ここ数年、夏の恒例展示として行ってきたこの企画展、年を追う毎に内容が充実、新聞やテレビでもたびたび紹介されるなど、注目されています。
今年は、私を含めた学芸員3名の他、学芸員実習に来ているM君にも手伝って貰い、昨年以上に充実した展示を気合いを入れて作成中です。

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戦争に関する展示は、なかなか難しいものです。
揖斐川歴史民俗資料館の展示では、前線での実戦ではなく、主として銃後の生活に重点を置いて展示をしていますが、それだけではどうしてもインパクトが弱く、もっと生々しい戦争の実態や悲惨さを伝えられる資料も展示したいのが私の本音です。
しかし、よほど気をつけて展示をしないと、右よりの人からも左よりの人からも思想絡みのクレームをつけられることが多く、どうしても無難な展示になってしまいがちなのです。
本当ならば、戦争の悲惨さをあからさまに伝えられる実物資料や写真を展示したほうが、銃弾に当たって死ぬとはどういうことか、海戦で乗艦が沈没し溺れ死ぬとはどういうことか、食糧がなく飢えて死ぬとはどういうことか、自らの仮想体験として理解できると思うのですが、そうした展示をした場合、「残酷だ」とか「軍国主義的だ」などといった批判をされがちです。
悲惨な実態を伝えてこそ、平和を願う心が養えると思うのですが、現代のわが国にあっては、戦争を正面からとらえること自体がタブーになってしまっています。

公立の博物館施設ですから、なかなかタブーを破ることが難しいのは事実です。
でも、さまざまな制約の中で、できる限り新鮮な視点から、戦争を展示してみたいと思っています。

展示期間は、7月20日(火)~8月29日(日)です。
展示品の紹介など詳しいことは、また後日、書きますね。
始まったら、皆さん、ぜひ見に来て下さい。

写真:PCや資料が散乱する展示作成中の状況。今日中に何とか完成しないかな。

2010年07月23日

●企画展「ふるさとの戦争と暮らし」開催中

私の勤務する揖斐川歴史民俗資料館では、7月20日(火)から8月29日(日)まで、夏の企画展「ふるさとの戦争と暮らし」を開催しています。

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明治から昭和にかけては、常に私たちの暮らしに戦争が暗い影を落としていた時代でした。
揖斐川町からも多くの兵士が出征し、残された国民も不自由な生活を強いられました。
そんな時代をさまざまな資料や記録写真で振り返り、あらためて平和の貴さを考えていただきたいというのが今回の企画展の趣旨です。

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昨年も同様の企画展を開催しましたが、今年はさらに多くの資料を展示し、見応えのある展示を作ることができたと自負しています。
ぜひ多くの皆さんにご覧いただき、子どもや若い人には物資が不足し、日々、生命の危険にさらされていた当時を学んでいただき、ご年配の方には、展示をご覧になって私たちの知らないさまざまな事実を教えていただくとともに、もしご自宅等に当時の資料がありましたら、寄贈いただいたり借用させていただければ幸いと思っています。

ちょうど夏休み中、並行して企画展「清流揖斐川」も開催していますので、ぜひご家族揃って、またお友だちといっしょにご観覧下さい。

写真:爆撃機と戦闘機のプロペラ・さまざまな軍服

揖斐川歴史民俗資料館
岐阜県揖斐郡揖斐川町上南方901番地5
電話:0585-22-5373
休館日:毎週月曜日
入館料:大人100円 小中学生50円

2010年07月30日

●古民家の調査を行いました

先日、県の依頼で、揖斐川町内の古民家を調査に行きました。
古い城下町で空襲を受けなかった揖斐川町には、築100年ほどの古民家がたくさんあります。

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それらのうち、今回は大昔にお城があった清水という地区を調べに行きました。
地域の郷土史に詳しい方数名とおうちの方に案内してもらい、揖斐川歴史民俗資料館長と学芸員の私とで、一軒ずつ、外観と内部を見せていただきました。
昔懐かしい箱階段が現役で使われていたり、現代の家屋では見られない太い梁や柱、また装飾を施した欄間などの造作に感心すると同時に、歳月を経た木の家だけが醸し出す落ち着きと安らぎに、心が満たされる思いでした。

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どの家もすばらしいのですが、共通した問題は当主が高齢化し、跡を継ぐ子孫が都会に出てしまっていることです。
広大な庭の管理もままならず、家屋も傷んでいる箇所が散見され、今後が危惧されるところです。
私は、もともと日本家屋が好きですが、歳を重ねるにつれ、ますます古い日本家屋が好きになりつつあります。
でも、美しさと清楚さを維持するのは大変な努力。
観光客的に、ただ「素晴らしいね、きれいだね」と言っているだけではなく、今後、そうした民家をどのように管理したら良いのか、町や県と相談しながら検討を始めようと思っています。

写真:庭の造作・丸窓

2010年08月22日

●「夜の資料館探検と月の観察会」を開催しました

8月20日(金)、勤務先の揖斐川歴史民俗資料館で「夜の資料館探検と月の観察会」というイベントを実施しました。
通常、資料館や博物館などを観覧していただくのは昼間ですが、今回の企画は、夜間に館内の照明をすべて消灯し、真っ暗な中で持参の懐中電灯でひとつずつ展示を見ながら、配布されたクイズの答えを展示の中から探し出すというものです。
そんな夜中の資料館内探検が終わったら、駐車場に並べた天体望遠鏡で月齢10の月を観察しようという欲張った企画で、親子連れ20名の参加者が集まりました。

当日の天候は、曇り時々晴れ。
夕方まではけっこう晴れていて、月が見えるかと期待しましたが、イベント開始時刻になると急速に曇ってきて、月を見ることができたのは参加者の3分の1程度でした。

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というわけで、月の観察会は残念な結果に終わりましたが、夜の資料館内探検の方は大盛況。
親子で真っ暗な資料館の中をあちこち歩き回り、クイズの答えを探し出すたびに歓声が上がっていました。

なぜ、わざわざ夜の資料館内を見せるの?と疑問に思う方もいるかもしれません。
夜間の博物館施設は薄気味悪いものです。
しんと静まり返った中に古い資料が並んでいて・・・。
「ああ、お化け屋敷的な効果を狙っているのね」
そう思った方は、半分、正解です。
教育施設といえども、やはり楽しく興味を持たせるイベント性は不可欠です。
でも、本当はもうひとつ理由があるのです。
暗い館内を、懐中電灯でクイズの答えを探しながら歩き回ることによって、普段なら何気なく見過ごしてしまう展示や解説をじっくり見ていただける効果を狙っています。
プラス、親子で協同して答えを探し出すことによって、家族のつながりが深まれば、それも大いに良いことです。

そんな理由から企画したこのイベント、最後は参加した子供たち全員に「探検・観察博士認定証」が館長より授与され、楽しく終了することができました。

残念だったのは月があまり見られなかったこと。
これについては、秋に天体観察会を再度、開催することとなりました。
次回は月だけでなく、他の天体も見てもらおうと思っています。
学芸員は、展示だけではなくて、いろいろと企画も行わなければならないんですよ。

2010年10月23日

●特別企画展「揖斐の町と揖斐まつり」開催

昨日22日は、私が勤務する揖斐川歴史民俗資料館が年に一回開催する特別企画展のオープニング式典でした。
町長や県会議員さんなどによるテープカットが行われ、その後、展示が公開されました。

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今回の特別企画展は「揖斐の町と揖斐まつり」というタイトルです。
私の勤務する揖斐川町は、縄文時代から多くの人が住み、口分田の跡も残る古い集落です。
揖斐川が山から平野部に出てくる位置にあるため、昔から揖斐川上流と名古屋・桑名間の舟運の拠点として栄えてきました。
揖斐川町ではまた、記録に残るだけで300年前から、町内の三輪神社の例祭として「揖斐まつり」が開催されており、毎年5月初旬に行われる祭りには、西濃一帯から4~5万人の参詣者が訪れます。

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展示では、揖斐の町の発祥と発展を古い写真や絵図を元に紹介し、300年余にわたって開催されてきた揖斐祭りの姿を、三輪神社から借用してきたいにしえを物語る貴重な資料を使って紹介しています。
大河が平野に注ぐ山ふところの町として発展してきた揖斐川町と、豪華絢爛で華やかな祭りのようすをぜひご観覧いただければと思います。

今回の展示は、2年前から準備を重ねてきました。
揖斐祭りも、昨年、今年と、本番だけでなく子供歌舞伎の練習や普段は公開されない夜間の神事などにも参加してきましたので、机上の知識だけではなく身に付いた体験によって、とても良い展示ができたと思っています。
期間は、12月19日(日)までです。
ぜひ、多くの方にご観覧いただければと思います。

揖斐川歴史民俗資料館
岐阜県揖斐郡揖斐川町上南方901番地5
電話 0585-22-5373
休館日 毎週月曜日

2010年12月01日

●19日(日)まで特別企画展を開催中

私の勤務する揖斐川歴史民俗資料館では、12月19日(日)まで、特別企画展「揖斐の町と揖斐まつり」を開催しています。

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縄文時代から人々が住み着き、山地からの木材や物資の集散地として発展してきた揖斐川町。\\
今回の展示では特に、その中心部である三輪の町並みに焦点を当て、明治から昭和初期の古い写真や資料を中心に、主に商業で栄えてきた揖斐の町の姿を紹介しています。

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同時に、揖斐の町の神社「三輪神社」の例祭であり、300年余り続いてきた「揖斐まつり」にも焦点を当て、祭りに使用する神輿やさまざまな祭礼道具の実物を展示、「芸やま」と呼ばれる山車の上で行われる可愛らしく華やかな子供歌舞伎や勇壮な神輿渡御で賑わう伝統ある祭りの姿を伝えます。\\
さらに、中世の頃、揖斐の町を支配した土岐氏の山城である「揖斐城」を精細なジオラマで再現、往時の城の姿を間近に知ることができます。\\

すでにたくさんの方にご来館いただき、展示を見ていただいていますが、もし機会があれば、このブログを読んでおられる皆さまも、ぜひお立ち寄りいただいて、展示をご覧いただければと思います。\\

揖斐川歴史民俗資料館
岐阜県揖斐郡揖斐川町上南方901番地5
℡ 0585-22-5373\\
休館日:毎週月曜日
入館料:大人100円 小中学生50円