2006年05月21日

●悩み多い出張観望会

昨夜は、揖斐川町の子ども会から依頼された観望会でした。
本当は、4月に予定していたのですが、天候が悪かったために一ヶ月順延し、昨夜、ようやく開催することができたのです。
参加者は、子供たちとお母さん方約40名ほど、中学校のグランドに20cm反射、15cm屈折、15センチ双眼鏡を並べて、土星、木星、プレセペ、ベガ、M81・82などを観望しました。
天気はまあまあだったのですが、雨のあとの急な晴れだったために、年に数回あるかないかというほどシーイングが悪く、はじめのうちは土星の環がはっきり見えないほどでした。
それでも、後半になるとややシーイングも良くなり、初めて見る土星や木星の姿に参加者は歓声をあげていました。

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天文台で行なう観望会の他、こうした出張観望会もかなりの頻度で依頼があります。
その都度、望遠鏡を車に積み込んで依頼先へ伺うのですが、やはり問題は天候です。天候不良の場合はお話を頼まれることが多いのですが、やはり快晴の空の下、満天の星を見ていただくのが、私たち天文担当職員にとってもいちばん嬉しいのです。

また、たとえ快晴でも、昨夜のようにシ-イングが悪くて、満足な像を見ていただけないこともあります。なまじ晴れているだけに、ある意味では雨や曇り以上に悩ましいケースです。

さらに困るのが「見る天体がない」ケース。
月や惑星が見える晩ならば良いのですが、場所が都市部で、お天気はうす曇り、加えて「明るくはっきり見える天体」が地平線上にない場合は実に難しい対応を迫られます。
参加者は、大きな望遠鏡が何台も並んでいるのだから、さぞかしすばらしい天体の姿が見られるだろうとドキドキワクワクしながら望遠鏡を覗く順番を待っている、でも、1等星意外に見える天体はない・・・。
これは悲惨です。といって「今夜は見る天体がないから中止」とは言えません。

悪天候時の対応も含め、こうしたケースへの対処方法については、いずれ詳しく書きたいと思いますが、1時間や2時間程度の観望会であっても、担当職員はけっこう苦慮しながら対応しています。
天候をはじめ、観望場所、参加者の年齢やニーズなど、ファクターが多い出張観望会の悩みは深いのです。

2006年05月23日

●新・西美濃天文台安全祈願祭

今日は、新・西美濃天文台の安全祈願祭でした。いわゆる地鎮祭というやつです。
午前9時から、藤橋城(西美濃プラネタリウム)にすぐ隣接した建設予定地に祭壇が組まれ、型どおりのお祓い、そして玉串奉奠等の儀式の後、町長と議長がそれぞれ挨拶を述べて、無事、終了となりました。

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西美濃天文台は、平成2年8月、当時は岐阜県最大だった口径60センチ反射望遠鏡を備えて竣工、以来15年以上にわたり公開天文台として活発な公開・観測活動を行なってきましたが、観測設備の更新と、より良い観測環境を求めて、高台にある藤橋城(西美濃プラネタリウム)の隣接地へ移転することになったものです。

口径60センチの準リッチ-クレチアンと主望遠鏡のスペックは変わりませんが、ミラーの再メッキ、架台と駆動プログラムのリファイン、CCDカメラ等観測機器の大幅な更新が行なわれる予定となっています。
また、40人程度が利用可能な研修室もできますので、ちょっとした研究会や集会も可能です。
他にも、職員が知恵を絞った新しい観測機器も設備される予定ですので、どうか皆さま、完成を楽しみにしていただきたいと思います。

「人と自然に優しく、誰でも気軽に星空に親しめる天文台」が、新西美濃天文台のコンセプト。
詳しい内容や観測機器のスペックは、追々発表していく予定です。

2006年05月25日

●出張観望会はフェイルセーフが基本!

昨夜は、関が原青少年自然の家での出張観望会だったので、天文台から、20cm反射(バイザック)とフジノン15cm双眼鏡(ED・対空型)を車に積み込んで出かけました。
対象が小学生20人ほど、見る天体は土星と木星、それにプレセペ、ミザールということからそうした機材を選んだのですが、途中、自宅に寄って、私物の20cm反射(VMC-200L)をさらに積み込んでから現地へ向いました。

都合、3台の望遠鏡を積んでいったわけですが、ちょっと望遠鏡を知っている人であれば「どうして同じような仕様の20cm反射望遠鏡を2台も積んでいく必要があるのさ」と疑問に思った方もいるかもしれません。
実は、これも長年の経験による知恵なのです。

天文台で行なう観望会と違って、出張観望会では、機材の不具合や、たったひとつ部品を忘れただけで、望遠鏡が使用できないという事態が起こりえます。
もちろん、そんなことのないように機材は常に手入れをし部品も揃えておくのですが、人間は物忘れや勘違いをしますし、望遠鏡という機械は壊れやすいものです。
万一、持参した望遠鏡が使用できない事態になれば、無駄足というだけでなく、お客さんの期待を裏切ることになってしまいます。

そうした意味で、私はできるだけ「予備の望遠鏡」を持参することにしています。実際、これまでにも何度か予備機材で急場をしのいだことがありました。

幸い今回、私物の20cmは使用しないままでした。
家に帰りつき、ああ、今夜の観望会も無事に終了してよかったなあと思いながら、数時間前に積み込んだばかりの20cm反射望遠鏡一式をおろした次第です。

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(写真は今回使用したものと同じ20cm反射望遠鏡と15㎝双眼鏡です=撮影日は異なります)







2006年06月08日

●工事現場のスピカ食

昨日の午後、おとめ座の1等星スピカが月に隠される現象が起こりました。
ちょうどその時刻、天文台の建設現場で業者を含めての打ち合わせをしており、8cm屈折望遠鏡を現場事務所前に持ち出して、業者さんを含めて観察することができました。

現地周辺の山の高さの関係で、潜入は観察できませんでしたが、出現後、月の明縁に針で突いたようなスピカの姿に「昼間でも星が見えるんですね」と、業者さんは驚くことしきりでした。

星は、夜しか見えないものと思っている方が多いのですが、実は、明るい星でしたら昼間でも見ることができます。
肉眼で見えるのは、宵の明星や明けの明星として有名な金星ぐらいですが、口径6cmぐらいの望遠鏡を使えば1等星が、20cmクラスの望遠鏡ならば3等星ぐらいまで、もっと大きな口径では、4等星程度まで観察することが可能です。青空の中に針の先のような銀色に輝く星の姿は、夜の星とはまた違ったファンタジックな印象があります。
問題は、たとえ1等星といえども、自動導入の赤道儀がない限り、昼間の空で視野内に導入することが非常に困難という点です。
今回は、月が良い目印になってくれましたので、簡単にスピカの姿をとらえることができたというわけです。

それにしても、これまで何度か昼間の観望会を企画してきましたが、工事現場で業者さんを対象にした観望会は初めてでした。
なかなか面白い経験だったなあと思います。

2006年07月06日

●暮れそうで暮れない黄昏時に

6月29日は、関ヶ原青少年自然の家での観望会でした。
朝から水蒸気の多い天候でしたが、夕方からは次第に青空となり、児童30人ほどを対象に望遠鏡3台を出して観望会を行いました。

この時期、困るのが日没時刻の遅さです。19時を過ぎてもまだ日が沈まないのです。
それでも、スケジュールの都合でどうしても20時30分までには終了したいとのことだったので、早めに望遠鏡を組み立て、ちょうど20㎝反射、15㎝屈折、15㎝双眼鏡と異なるタイプの望遠鏡が揃っていましたので、星が見え始めるまで望遠鏡の説明をしました。

ようやく日没となりましたので、今度は一番星探しです。
子どもたちがまず見つけたのは、夕空に低い三日月でした。
お次は南天の木星・・・なのですが、これはかなりばらつきがありました。早く見つける子といつまでも見つからない子の差がかなり激しいのです。
これは、視力の差というより、目のピントが無限遠になかなか合わせられないためのようでした。昼間の金星もそうですが、近くに雲や月があると、ぐんと見つけやすくなるものです。

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二番星、三番星と見つけてもらったところで、望遠鏡を覗いてもらうことにしました。
それでも、北極星はまだ見えないので、極軸合わせは全くのカンです。これまでに何度もお邪魔している場所なので、北極星が見えなくても概ね北の方向はわかります。
(北極星が見え始めてから確認したら、1度以内に正しく向いていました)。
でも、これが初めての場所だったら、なかなかこうはいきません。子どもたちを集めた観望会では、前後のスケジュールの関係で、往々にして日没直後から始めざるを得ないことが多く、過去に何十回となく同様の経験をしています。
こうした場合、長年星を見てきて培われた動物的カンが頼りになります。風の匂い、空気の重さなど、数値や言葉にできない第六感を駆使して北の方角を識るのです。
そんな非科学的な、と思われるかもしれませんが、これがけっこう当たります。
35年の星見生活は、現代人が忘れてしまった原始的感覚を研ぎ澄ましてくれたようです。

この日、一番人気だったのは、三日月でした。
シーイングが非常に良かったため、20㎝反射で見る月面は恐ろしいほどでした。
時折、蛍も飛んで、子どもたちにはとても思い出に残るひとときとなったようです。

2006年07月11日

●ファミスコ60S

東京の実家に置きっぱなしだったファミスコ60Sを、このたび、引き上げてきました。
ファミスコという名称を見て「おお!」と思った方は、それなりに天文歴の古い方です。天文界も一般もハレー彗星に狂奔している頃、オモチャメーカーとして知られていたトミーから突如、発売されました。
当時の価格は覚えていませんが、気合いを入れるほどのものではなかったと記憶しています。

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発売当初、口径60mm、焦点距離400mm、プラスチック鏡筒そのものを伸縮させてピント出しをするこの望遠鏡に対する評価は二分されるものでした。
いわゆる正当派天文オタクからは「あんなのただのオモチャだ。望遠鏡じゃない」とこきおろされましたが、一部好き者からは「この性能でこの低価格。レンズもED。これこそ名機だ」と、非常な評判となったのです。
発売の広告を見て、私はすぐに購入しました。軽い、小さい、手軽に持ち運べる、安い、この4点だけで買うに値すると思ったからです。

実際使用してみると、その性能は驚くべきものでした。EDレンズとはいえ、400mmですから、もちろん色はつきます。それでも、色収差も球面収差も非常に上手に補正され、眼視での使用にはほとんど影響は感じません。後に、直焦点での撮影にも多用され、写真性能も十分だったことが立証されています。

あんまり素晴らしいので、1年ほどファミスコを彗星捜索用に常用しました。当時は、バイクで観測に行くことも多かったので、軽くてコンパクトなファミスコが運搬にもってこいだったことももちろんですが、「オモチャ」と言われた望遠鏡で彗星を見つけ、世間をあっと言わせてみせるぜい!的な思いがあったのです。
結果として彗星は見つけられませんでしたが、ファミスコをカメラ三脚に載せて薄暮と黎明の夜空を探った幾つもの夜の記憶は未だに鮮明です。10等の星雲まで見ることができました。

トミーはその後、ファミスコの改良品とも言うべきBORGシリーズを世に問います。
私は1年間ほど、職場の上司からBORG100ED(プラスチック鏡筒)を借用させていただいていましたが、これも名機でした。B級品とのことでしたが、シャープな星像に不満は感じませんでした。

夜露の下で酷使した鏡筒は傷だらけですが、これから整備して、またちょくちょく使おうと考えています。

2006年08月03日

●8月1日~7日はスター・ウィーク!

皆さんは「スター・ウィーク」ってご存知ですか。
「バード・ウィーク」と同じように、8月の第一週を「星空に親しむ週間」として、全国で夏の夜空を見上げようというキャンペーンです。

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この間は、全国の天文台やプラネタリウム、科学館を中心として、さまざまな行事や観望会が実施されます。光害や大気汚染により全国で星空が失われつつある現在ですが、これを機会にぜひ、お近くの天文関係施設を利用したり、星空に親しんでいただければと思います。


http://www.starweek.jp/index.shtml

実はこのスター・ウィーク、西美濃天文台が発祥の地なんですよ。
1995年、西美濃天文台で開催された「第4回全国の天体観測施設の会」で提唱され、その年から始まったキャンペーンなのです。
以来、毎年8月第一週に実施されており、年々、参加団体や関連する行事も増加してきました。
私は、初年度以来ずっと実行委員として、微力ながらキャンペーンの推進を行っていますが、今年は、「星空を歌う音楽ユニット」として知られる「アクアマリン」に協力を願い、キャンペーンのテーマソングである「COSMOS」の特別アレンジ版を含んだミニアルバム制作を担当しました。
アクアマリンのホームページで販売していますので、入手ご希望の方は下記を御覧下さい。枚数限定版ですので、ご希望の方はお早めに。

http://www.aqumari.com/

写真:スター・ウィーク2006のポスター

2006年08月05日

●保育園での観望会

先日、町内の保育園での観望会に呼ばれました。
5才児10名と親御さん、先生が対象だったのですが、夕方まで快晴だった天候が突然、曇ってしまい、仕方なくお話ということになりました。
自作の絵本と天体写真のスライドを用意してありましたので、「絵本と星の写真、どっちがいい?」とまず聞いたところ、「写真が見たい」というのでスライドを始めました。ところが、月ぐらいはわかるものの、他の天体を5歳の子に説明するのは非常に難しいということが、話し始めてからわかってきました。
もちろん、専門用語は使わず、できるだけ易しい言葉でお話しをしたのですが、星の話をしようとすれば、どうしても天体名などの用語は使わなければなりません。
地球が太陽を回っていることや、惑星の名前もまだ知らない子どもたちですから、たとえ話を交えながら用語を選ぶのに実に苦労しました。俺もまだまだ修行が足らないなあと実感させられた次第です。
やっぱり持参した絵本を使って読み聞かせをすればよかったなあと、ちょっと後悔しながら
帰路につきました。
それでも、子どもたちが作ったというカレーも美味しく、お化けごっこのお手伝いもできましたので(?)、普通とはちょっと違う楽しい観望会ではありました。

2006年08月19日

●保育園での観望会ふたたび

8月初旬に町内の保育園での観望会を実施し、スライドを映写したものの5歳児相手の説明が想像以上に困難だったことを以前に書きました。
以来、幼児対象の観望会の実施内容について考えてはいたのですが、昨日、やはり町内の保育園から依頼があり、5歳児29人を対象に観望会を行ないました。
前回に続いて今回も天候が悪かったため、室内でのお話ということになり、相棒がパソコンとプロジェクターを使用しての天体画像解説、私は、反射と屈折、2台の望遠鏡を持ちこんで、実際に望遠鏡を見、触れてもらいながら話をすることにしました。

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まずは、反射と屈折、2台の望遠鏡を並べて筒先から順番に覗いてもらい、何が見えたかを答えてもらいました。屈折はいまいちでしたが、反射望遠鏡を覗いたとたん、「顔が見える」「大きく見える」「鏡が入ってる」と大騒ぎ。
続いて、屈折望遠鏡を廊下に出し、廊下の端に掲示されている園児が描いた絵を見てもらいました。
「あんなに遠くにあるのに目の前に見える」「細かい部分がはっきり見える」「逆さまに見える」
意外なほど的確な反応に、こちらが驚くほどでした。
小学生以上の場合は、続いて光学系の説明をするのですが、今回はそこまでは行なわず、初めて天体望遠鏡に接し、覗いた驚きを記憶にとどめてもらうだけにしました。

そのあとに行なった相棒の画像解説も、テンションが高まっていたためか、まったく飽きることなく、興味津々でまたたくまに1時間の持ち時間が終了となり、園児にも先生方にも大いに喜んでもらえた観望会となりました。

子供対象の観望会では、とにかく体を動かして体験してもらうことが一番です。
そこから興味の対象が広がっていけば、それで十分に目的を達したといえるのでしょう。

写真:今回使用した「ティーガル60」。久々に使用しました。いい光学系です。

2006年08月28日

●星空の街・あおぞらの街全国大会

25日から27日にかけて、岩手県二戸市で開催された「星空の街・あおぞらの街全国大会」に参加してきました。
同大会では、毎年、2団体2個人に対して表彰を行なっています。今回、私が表彰を受けることになったために、職場の同僚に無理をお願いして仕事のスケジュールをやりくりし、何とか表彰式に出席したというわけです。
表彰式は26日だったので、当初は当日の朝一番で発って現地入りしようと考えていたのですが、午前中にリハーサルを行なうので前泊してほしいとのことで、25日、東海道新幹線と東北新幹線を乗り継ぎ、1,000km余り離れた二戸市へ赴きました。

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大会には、高円宮妃殿下と小池環境大臣も出席され、折から北の高気圧に覆われた気持ちのよい快晴の空の下、滞りなく日程が終了しました。
ただ、表彰式に関しては、司会進行とリハーサルで練習した礼式がうまく噛みあわず、あまり出来の良いものとはいえなかった気がします。もう少し練習の時間が必要だったかもしれません。妃殿下と大臣、岩手県知事さん他関係者の方をハラハラさせたのではないかと思います。

いっしょに個人表彰を受けたもうお一方は、アマチュア天文界の重鎮である大分の船田 工先生でした。親しくお話を伺うのは初めてでしたが、とても気さくで上品な方で、嬉しい出会いの機会となりました。

岩手県は、環境問題に関しては国内都道府県のなかでもっとも先進的な取り組みを行なっている県です。知事さんからそうした取り組みを伺うほど、保守的で環境破壊の先導役だけを担っている岐阜県が情けなくなりました。

ひたすらミニ東京を志向し、箱モノと道路を作り、巨大な官製イベントを行ってきた岐阜県。
昨今の財政危機にもかかわらず、開発一辺倒の思考から未だに脱け出せないでいることがなんとも歯がゆく、そして恥ずかしく、何とかそうした流れを変革してゆく方策がないものか、帰りの新幹線の中ではそればかりを考えていました。

写真:会場となった二戸市浄法寺文化センター

2006年09月03日

●天文台にドーム設置

移転工事中の西美濃天文台です。
ようやくドーム(6.5m)が乗り、天文台らしくなってきました。

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手前側には、これから太陽望遠鏡用のドームと、天球の座標をわかりやすく模型化した簡天儀というモノが設置されます。
ここまで工事が進んでくると、プラネタリウムを訪れたお客さんは皆さん興味津々、あれは何か、いつ完成するのかと尋ねられます。
今のところは、今秋中に完成という予定で工事が進行しています。宿泊施設はありませんが、40名程度が利用可能な研修室もできますので、さまざまな会合にも使用できます。
望遠鏡は、現在、メーカーにドック入りしてリファイン中。デジタル時代に即した機能を具備して再設置される予定です。竣工の折には、ぜひ多くの方に利用していただきたいと考えています。

2006年09月15日

●こんな天文台ができます

建設中の新・西美濃天文台の完成予想パースです。
右上が60㎝望遠鏡を納めたメインドームでドーム径6.5m、左上奥にある小さなドームは、太陽望遠鏡を納めたドームで径2.8mです。また、太陽望遠鏡ドームの手前にある骨組み状のものは、内部に立つと天球の座標や北極星の位置がいながらにわかる「簡天儀」という装置です。

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メインドームの下は事務室やトイレ、太陽望遠鏡や「簡天儀」の下は研修室となっており、主望遠鏡は、昼間でも、ガラス越しに無料で自由見学ができるようになっています。
建設は順調に進んでいますので、11月からは公開できるのではないかと思います。

2006年10月07日

●完成に近づいた西美濃天文台

10月7日の天文台です。
足場が取り払われ、白亜の外観が現れました。

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メインドームの横には、ステンレスパイプを加工して制作された簡天儀が見えています。
(簡天儀は昨日設置されました)
来週には、簡天儀のとなりに太陽望遠鏡用ドームが設置される予定となっています。
また、主望遠鏡も近々搬入されることとなっており、リニューアルにあわせて望遠鏡の外観も変化しています。
内装工事も順調に進んでおり、バリアフリーにも充分な配慮がなされています。
来月には竣工式、そしてファーストライトを迎えることになります。

2006年10月14日

●主望遠鏡が搬入・設置されました

建物はほぼ完成に近づいた西美濃天文台に、主望遠鏡の搬入・調整が行なわれています。
クレーンで吊り上げた望遠鏡を、スリットからドーム内に下ろし仮固定。一昨夜と昨夜をかけて、光軸調整、極軸調整作業を行いました。

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一昨夜、私は宿直のために立ち会えず、今回の天文台移転作業のチーフである小栗さんが一晩中立会いました。昨夜は私も立会い、比較的透明な空の下、極軸調整作業を見守りました。
60センチという大きな望遠鏡のため、極軸望遠鏡で覗いてハイおしまい、というわけにはもちろんいきません。おおまかに合わせたあとで、各方角の星を追尾しながらズレを少しずつ調整します。
23時近くまでかかって調整を行い、終了と同時に全天が曇りました。うまい具合に、調整作業の間は晴れていたことになります。
昼間は暑かったのですが、さすがに夜は冷え込み、秋の星座が高く昇っているのを見上げて、季節の移ろいと、わずか半年ほどでよくぞ望遠鏡設置までこぎつけたなあと感慨深いものを感じた昨夜の調整作業でした。
旧天文台に比べてドームが大きくなったために、観測室内は非常に広く感じられます。

2006年10月15日

●外観はほぼ完成・・・西美濃天文台

ほぼ完成した西美濃天文台の外観です。
以前にお見せした写真では、主望遠鏡のドームと簡天儀のみでしたが、今回は太陽望遠鏡のドームも写っています。

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主望遠鏡のドームからは、すぐに隣接したテラスに出ることができる構造となっており、一昨日、極軸あわせの際には、空の状態を見るために何度も出入りしましたが、周囲の光源がちょうど主望遠鏡のドームとテラス周囲の柵、というか壁で隠れるために、ほとんど光害も気にならず、実にいい感じでした。テラスに小型望遠鏡を出して60センチと交互にさまざまな天体を見比べるのも楽しそうです。
内装にもさまざまな工夫が凝らされていますが、そのあたりはオープン後のお楽しみ、かな。

2006年10月17日

●久々に覗いた60センチ

今夜は、60センチ望遠鏡の動作テストと星像テストを行ないました。
当初は、SWAN彗星を撮影しようと小栗さんと準備をしていたのですが、彗星を写野にとらえた頃から雲が広がり始め、準備が完了したときには西空はすっかり曇ってしまいました。

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導入精度のチェック、星像のチェック等を行い、いくつか問題はありましたが、視野の半分近く広がって見えるM27など、久々に覗く60センチの像はさすがに迫力がありました。
本当に久しぶりに海王星も見ました。ただ、薄雲の中で、独特の青緑色があまり鮮やかには見えなかったのが残念でした。

望遠鏡の色が若干変わったのと台座が高くなったのが、写真からわかるでしょうか。



2006年10月20日

●二日続いての出張観望会

18日、19日と連続で出張観望会でした。
18日は関ヶ原青少年自然の家で小学校5年生を対象に、望遠鏡4台で、スワン彗星、ベガ、アルビレオ、M31等を観望、透明度は悪いながらも晴れていましたので、子どもも先生も喜んでくれました。
19日は、旧谷汲村の「ラーニングアーバー横蔵」を会場として、谷汲小と長瀬小児童40名プラス親さん、計70名弱を対象に行いましたが、折悪しく観望会の時間帯だけ雲が出て、望遠鏡3台を並べましたが、満足な観望はできませんでした。かろうじてベガ、アルビレオ、M31、h&χ、M27などを見たものの、すぐに雲がかかってしまい、他の天体を導入するとそこも曇り・・・という具合で、参加者にとっても私たちにとっても不満の残る観望会でした。

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はじめから雨や曇りであれば、室内でお話しをすれば良いので楽なのですが、雲の去来が激しかったり薄雲があったりする晩は困ります。列を作って望遠鏡を覗くのを待ち、接眼レンズに目を当てたとたんに曇ってしまった、というシチュエーションに遭遇してしまった子どもは本当にかわいそうです。
また、雲の切れ間を見ながら、次はどの天体を導入しようかと思案している私たちのかたわらで、「まだ見えないの? 早くしてよ」的な態度を取る人もいますが、これはちょっと頭にきます。
動きの速い雲の切れ間を指さして「あそこが晴れているから望遠鏡を早く向けて」とせっつく人も困ります。こういった困ったちゃんは、子どもには案外少なく、どちらかといえば大人の方にその割合が多いようです。

まさに悲喜こもごもの観望会ですが、子どもたちにとって、夜の闇の中で、土や木や風の匂いを全身で受け止めながら星空を見上げた記憶というものは長く思い出に残るようです。
星は手の届かない高みに光っていますが、夜の大気を透して見上げるその輝きは、やはり身近でかけがいのない自然の一部なのです。

写真:M27(西美濃天文台の20cm屈折にて撮影)

2006年10月27日

●藤橋の光害防止型照明

この写真、何だかわかりますか。
実はこれは、揖斐川町役場藤橋振興事務所前の電柱に設置されている光害防止型の照明器具です。地面のみを効率よく照らすように深い傘がついている他、傘には夏の大三角付近の星が小さな穴で穿たれています。旧藤橋村内には、これと同じタイプ、または星座を描いていない簡略タイプの光害防止型街灯が何本か設置されており、その付近ではまさに「地上は明るく夜空は暗く」という理想の夜間照明が実現しています。

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この照明器具が設置されたのは、かれこれ10年ほど前のことになります。
その頃、旧藤橋村は「星のふる里」として売り出し中であり、西美濃天文台の活動がひとつのピークを迎えた時期でもありました。村当局も光害防止型照明の設置に理解を示し、プロトタイプ製作と設置の予算を認めてくれたために、こうした街灯を設置することができたのです。
それならばその後、村内にこのタイプの照明がどんどん増えたか、といえば、そうではありませんでした。プロトタイプを見た役場上層部と住民の「これでは暗い」という評価、また当時の為政者の「明るいことは発展の証」というポリシーによって、村内の街灯全てを光害防止型に置き換えようとした私たちのもくろみは潰え去ったのです。

もちろん役場上層部や住民に対しては、傘の設置により地上の明るさは確実に増していることを説明したのですが、「電球そのものが見えないと明るく感じられない」という感覚的な意見に押し切られ、また「明るいことはいいことだ」という為政者の姿勢を変えることもままならず、それ以上の進展はないまま、町村合併を迎えることになったのでした。

町村合併前からは、徳山ダム工事によって天文台周辺の光害が一気に増加し、天文台職員は雌伏の時を余儀なくされたのですが、私はあきらめてはいません。
町村合併のゴタゴタも一段落し、徳山ダム工事も終わりに近づいた今、再び満天の星空を取り戻す活動を始めなくてはならないと思っています。
天文台の移設もようやく完成に近づき、もう一度はじめの一歩を踏み出すときがきたのだと考えているのです。

2006年11月17日

●新天文台の竣工式が挙行されました

今日17日、新・西美濃天文台の竣工式が挙行されました。
冬型の気圧配置となり、あいにくの雨模様でしたが、県会議員・町会議員、町長含む県・町の職員60名ほどの出席をいただき、滞りなく終了しました。
テープカットから始まった式典は、天文台の研修室に会場を移し、来賓の祝辞と挨拶、祝電披露の後で、職員撮影の天体ビデオの映写、60センチ反射望遠鏡と太陽望遠鏡の見学と続き、12時少し過ぎにお開きとなりました。
天体ビデオも望遠鏡見学も、皆さん興味津々で、通常の施設竣工式典とは異なる和やかな雰囲気でした。
天文台の設備は、ぼつぼつこのブログでも紹介していきます。とりあえずは竣工式の模様が、明日の岐阜・中日新聞に掲載されるはずですので、購読されている方はご覧下さい。
太陽望遠鏡のリアルタイム画像は、晴れていれば明日から藤橋城の2階でご観覧いただけます。
曇雨天時は、これまで撮像した画像からピックアップして映写します。
今日の竣工式まで、私たち職員はほとんど休みがありませんでした。そろそろ疲労の限界に達しつつあります。でも明日はお披露目の観望会。もうひとがんばりしなくては。

2006年11月19日

●新天文台の設備紹介「簡天儀」

これ、なんだかわかりますか。

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ちょっと天文をかじった方であれば「ははあ、天球の座標を理解させるための仕掛けだな」と気づかれるかもしれません。
そう、これは新天文台のテラスに設置された「簡天儀」といいます。
全体の丸い構造は天球を表しており、天の赤道、子午線など、星空における天体の位置をあらわすのに使う座標軸を配置しています。
天の北極方向には丸いリングがはまっており、簡天儀の中心からその方向を見ると、リングの中に北極星が覗きこめる仕組みになっています。
また、天の北極と天の南極を結ぶ軸が落とす影により、時刻が読み取れる日時計としても使用できます。
モニュメントでもあり、体感できる天文教具でもあるこの簡天儀、天球の座標理解に、これから大いに活躍してくれるのではないかと思っています。

2006年11月21日

●校長会で昼間の恒星観察

今日は、揖斐川町の校長会があり、会議後の視察で校長先生たちが天文台とプラネタリウムを視察に来ました。
快晴とはいかないまでも、まあまあの天候で、60センチ反射に同架した20センチ屈折望遠鏡で昼間のアークトゥールスとベガを観察してもらいました。
校長先生方は、初めて見る昼間の恒星の姿にびっくり。金星や水星が見えれば良かったのですが、どちらも太陽に近いために、またの機会にということになりました。
太陽望遠鏡ももちろん稼動、折悪しく無黒点でしたが、いくつか出ているプロミネンスを観察してもらいました。
その後、プラネタリウムで短い解説を行い、ふだんの研修とは異なる珍しい体験の連続に、皆さん、満足して帰られたようでした。

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写真は、20センチ屈折にコンパクトデジカメを押し付け、手持ちで撮影したアークトゥールスです。手持ちのためにカメラとアイピースの光軸がうまく合わず収差が出てしまいました。
眼視で見ると、青空の中に針で突いたような銀色の点がキラキラと輝いて見えます。
以前に昼間、何等星まで見えるかをテストしたことがありましたが、3等星までは見えました。
望遠鏡の威力というのはすごいものですね。

2006年11月23日

●新天文台の設備紹介「太陽望遠鏡」

このたび天文台の移転にともない、昼間時間帯の有効活用という戦略から太陽望遠鏡が設置されました。

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望遠鏡は4連で、10cm屈折望遠鏡2本がHα、7.7センチ屈折望遠鏡2本が白色光用となっています。
それぞれの画像は、天文台2階研修室のパソコンに導かれ、リアルタイムで太陽の表面を観測できる他、任意のインターバルでディスク上に、静止画・動画が録画できるようになっています。
また、天文台と隣接したプラネタリウムはLANで結ばれており、プラネタリウム館内でもリアルタイム画像を見ることができる他、プラネタリウムのパソコンからも太陽望遠鏡の遠隔操作が可能な設計になっています。
この太陽望遠鏡の最大の特徴は、システムのすべてがフルデジタルであることです。
国内には多くの太陽望遠鏡がありますが、ほとんどはシステムのどこかにアナログ部分があり、そこで画像の劣化や転送容量・時間の制限が生じてしまっています。それらを解消するために、すべてをデジタルとしたものです。
まだ調整が完全でなく、画像も満足できるレベルではないのですが、来春に向けて調整を行い、冬期休館後の19年度期には、フルスペックの美しい太陽画像を来館者に楽しんでいただけるつもりでいます。

2006年11月29日

●旧天文台で

天文台の移設事業が完成し、いよいよ新・西美濃天文台が動き出しましたが、それでは旧天文台はどうなったのかといえば、以前の場所にそのまま建っています。
とはいえ、残っているのは建物だけで、6メートルドームの中はもぬけの殻、がらんとしていかにも寂しいたたずまいです。

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思えば、平成4年に旧藤橋村へ移住後、このドームの中でどれほどの夜を過ごしてきたのでしょう。
移住早々の「SL9彗星の木星衝突」では、60㎝望遠鏡に映る黒々とした衝突痕跡に驚愕し、「百武彗星」接近時には、連日ほとんど徹夜で観測・撮影を行いました。まさに「夜空を翔ける虹」とも言うべき壮麗な姿は忘れることができません。
「ヘール・ボップ彗星」も連日の観測を行い、その他にも暗い彗星を多数、観測してきました。
視界も天候も良くないという悪条件を乗り越えて、多くのお客さんに親しまれた要因は、いささか手前味噌で恐縮ですが、4名の天文担当職員のフレンドリーな対応でした。
「曇っても雨が降っても職員の対応が良いから西美濃へ来た」という声を聞くたび、とても嬉しかったものです。
ともあれ、移設は完了しました。あとは新しい天文台を活用して実績を作っていくことが使命です。
まもなく深い雪に閉ざされますが、新年度からは公開に観測に、精一杯活用していこうと考えています。

2006年12月05日

●雪の天文台

4日は朝から雪でした。
天文台周辺は5㎝程度の積雪で、一面、モノトーンの世界となりました。
私の車は、土曜日にスタッドレスに履き替えましたので、特に問題なく走れましたが、ノーマルタイヤで難渋している車も見かけました。

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豪雪地域に立地する天文台ということで、ドームも建物も耐雪仕様に設計はしてありますが、初めての冬ですから何が起こるかわかりません。点検・除雪に心がけて良い状態で冬を越したいと思っています。
そうそう、HRO(流星電波観測)のアンテナはさすがに取り外しました。以前、自宅のHRO用アンテナを雪で見事に破損したことがありましたので・・・。

2006年12月06日

●久々に60cm反射が稼動!

今日も忙しい一日でした。
午後から天文台に行ったのですが、着いてすぐ、町長が視察に来るとの連絡が入り、あわててドームを開けて60センチを起動、とりあえずベガに向けました。
町長が来た時には残念ながら雲が多く、太陽望遠鏡のライブ画像をご覧になっただけでベガは見られずに帰られました。
町長が帰ってすぐ、今度は豊川から私立の某天文施設の方が視察に来訪、この頃からぐんぐん晴れ間が広がってきて暗くなる頃には快晴。
60センチ反射と20センチ屈折で、M15、M31、プレアデス、二重星として有名なアンドロメダα、天王星などを観望しました。
シーイングが非常に悪く、また月が昇ってきましたので最良の条件ではありませんでしたが、1時間半ほど星空を楽しむことができました。
アンドロメダαは色の対比が美しく、M15はきれいに分解し、天王星も円盤像と独特の薄緑色がよくわかりました。
ドームを閉めて帰る頃には東天から満月を過ぎたばかりの大きな月が昇り、久しぶりに60センチを使用した観望会は、12月にしては珍しく終始快晴のうちに終了したのでした。

2006年12月13日

●スター・ウィーク実行委員会に参加しました

11日は、国立天文台でのスター・ウィーク実行委員会に出席してきました。
スター・ウィークは、西美濃天文台で開催された「全国の天体観測施設の会」で実施が決まった「星を見る週間」です。
バード・ウィークがあるのならスター・ウィークがあってもいいじゃないか。そんな趣旨で始まったこのキャンペーン、10年を経て、かなり認知度も向上してきました。
ただ、私を含めて全国の実行委員は皆、完全なボランティアであり、仕事や家庭を抱えながらキャンペーンを推進していますから、なかなか難しい面もあります。
それでも、こうしたキャンペーンを通じて、少しでも星空を見上げる人の数が増えればすごく嬉しいことです。
実行委員はほとんどが三十代~四十代の忙しい盛り。多忙な中、気合のみで毎年キャンペーンを継続している感もありますが、少しずつでも前進できればと思っています。
キャンペーンのテーマソングは、星空を歌うユニット「アクアマリン」の「COSMOS」です。
「COSMOS」に限らず、アクアマリンの楽曲は、星や自然が好きな人の感性にフィットするものばかりなので、まだ聴いたことのない方は、ぜひ一度、聴いてみてくださいね。

2007年01月06日

●天文台と藤橋城

新しい天文台は、プラネタリウムのある藤橋城に隣接して建設されましたが、実は両施設を同時に撮影するのはけっこう難しいのです。

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鶴見(藤橋城と天文台が建っている場所)からは良い場所がなく、この写真は揖斐川を渡った対岸の東杉原から撮影しました。
役場の企画担当者からは、星空を背景にした天文台の写真が欲しいと言われているのですが、すでに天文台には雪囲いも設置されていますので「天文台のある星景写真」を撮影できるのは、3月以降、雪が溶けてからになりそうです。

2007年01月08日

●新・西美濃天文台の設備紹介「トイレにも宇宙が」

新・西美濃天文台は、トイレにも仕掛けがあります。
とはいっても、トイレの性能そのものはごく一般的、仕掛けは照明にあるのです。
昨今、暗く不潔なトイレが流行らないことは当然です。日本中のトイレは、こぞって明るさと清潔感を全面に出しています。

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もちろん明るさと清潔感は大切ですが、せっかく天文台のトイレなのだから、なんとか「宇宙」の要素を取り入れることはできないだろうか、そんな発想から設備されたのが、ブラックライトを使用して、壁や天井に星空が浮かび上がるトイレです。
バリアフリーに配慮した広い空間いっぱいに、青い星空が映し出されるこのトイレ。
瞑想に耽るにはもってこいの場所かもしれません。
春になったら、天文台でぜひ、このトイレを使ってみてくださいね。

2007年01月11日

●全国星空継続観察

このほど、平成17年度冬期の「全国星空継続観察」の写真撮影結果結果報告書が送付されてきました。
同観察は、環境省と(財)日本環境協会が、大気の清澄度と光害の影響を調査するために、毎年、夏冬、
①肉眼による天の川観察
②双眼鏡による最微等級観察
③スライド撮影による星野バックグラウンド等級調査
を行っているもので、揖斐川町では、旧藤橋村の頃から平成4年度より観察に参加しています。
以前は、肉眼・双眼鏡の観察結果と同時に写真撮影の結果も送付されてきていましたが、スライドの測定に手間取っていたらしく、写真の結果のみが遅れて送付されてきました。

写真観察は、揖斐川町横山の「藤橋小中学校」で継続して撮影しており、今回の結果は21.1等でした。数字が大きいほど空が暗いということになります。
撮影当夜は、透明度があまり良くなかったので「すごく良好」ではありませんが、まあまあ暗い夜空、という結果となりました。
同観察では、平成4年度冬期の調査で、旧藤橋村が全国で3番目に夜空が暗いという結果となり、以来、「星のふる里・ふじはし」として全国的に有名になった経緯があります。
とはいえ、全国の傾向にあわせて次第に夜空が明るくなりつつあることも事実です。
温暖化防止や省エネルギーの観点も含め、無駄な夜間照明の抑制に努力することは、行政の義務だと思っています。

2007年02月08日

●冬の星雲・星団を撮影

昨夜はよく晴れていましたので、天文台で星雲・星団の撮影を行いました。
例年であれば深い雪に閉ざされているこの時期に天文台で撮影ができることはありがたいのですが、明らかに異常事態です。昨年はこの時期、2メートル以上の雪に覆われていた天文台周辺に、今年はまったく雪がないのです。
月が昇るまでに、60センチ反射と20センチ屈折、10センチF4屈折でいくつかの星雲・星団を撮影しました。

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昔は、銀塩フィルムで長時間露光を行いましたが、今は基本的に短時間露光の画像を複数枚、撮影して画像処理をします。その場で結果が確認できるのでピントや構図のミスを修正でき、ありがたい時代になったものと思う反面、フィルムを現像に出し(あるいは自分で現像し)、どきどきしながら現像があがるのを待つ楽しみはなくなってしまった気がします。
撮影の合間に60センチで見たM42は、酸素の輝線が出す光が非常に複雑な構造に見え、圧巻の一言でした。昔は、よくスケッチをしたものですが、こんな複雑なM42は、とても紙の上に描写することはできないだろうなと思いました。
撮影中はさほど寒さを感じませんでしたが、車の窓はしっかりと凍っていました。

写真:60センチで撮影したM42。処理前の一枚画像です。ISO800 露光1分

2007年02月10日

●スリットから見上げる星空

天文台で観測するときは、当り前のことですが、狭いスリットから星空を見上げることになります。
私は、基本的には満天の星空に身をさらして星を見ることが好きで、もし自宅に天文台を作るとすれば、スライディングルーフがいいなあと常々、思っています。

60RC-orimini.jpg

星を見るという行為は、単に学術的なデータや画像を取得することだけではなく、その晩の季節感や風の匂いを感じ取りながら、5感のすべてを使って自然との対話をすることにあると思うからです。
その意味では、天文台での観測は直接風に身をさらすこともなく、周囲の木や草や土の匂いからも遠く、感性を刺激する要素には乏しいのですが、スリット越しの星空には、なぜか心をとらえる何かを感じます。
宇宙の覗き窓、とでも言えばいいかもしれません。
巨大な望遠鏡やコンピューターが構成する、ある意味では実用一点張りのドーム内部と、スリットの向うに広がる世俗的な実利や目的論とは無縁の果て遠き宇宙空間。
ドーム越しの星空を魅力的に見せているのは、両者が醸し出す冷たく無機的なギャップです。季節感や風の匂いと物理的に遮断された空間であるだけに、ことさら宇宙への距離感や憧憬を感じてしまうのです。

2007年02月21日

●お母さんたちに人気の観望会

昨夜は、大野町立北小学校へ出張観望会に行きました。
夕方までよく晴れていたのですが、暗くなると薄雲が出はじめ、折から西の空に見えている三日月と金星も、時折かすむようになってしまいました。
それでも、それ以上、天候が悪化することはなく、薄雲が出たりなくなったりする状態の下、午後6時30分から午後8時まで、望遠鏡3台(20㎝反射、15㎝屈折、15㎝双眼鏡)を使って、月、金星、土星、冬の星雲・星団を楽しみました。
こうした観望会の常として、子どもさんよりもお母さん方の方が熱心でした。子どもたちは、夜間に外出できることに興奮してどうしても走り回り、星への興味は途切れがちなのですが、お母さん方は「宇宙人っているんですか」とか「宇宙の果てはどうなってるんですか」などと好奇心いっぱいで質問してきます。
終了時には「すごく楽しかった。また参加したい」という方が何人もいて、嬉しくなりました。
できれば、満天の星空を見て欲しいのですが、夜間の移動はさまざまな制約があり、行政主催の観望会では難しいようです。
バスでも仕立てて藤橋か揖斐高原にでもたくさんの人を連れて行けるといいのですが。

2007年03月06日

●18年度夏期星空継続観察結果

このほど、平成18年度夏期の全国星空継続観察結果が送付されてきました。
この調査は、環境省と(財)日本環境協会が毎年2回、夏と冬に主宰しているもので、以下の項目について参加者が地元の星空を調査するものです。

①指定された天域に天の川が見えるかどうかを肉眼で確認する
②双眼鏡を使用して、指定された天域に何等級までの星が確認できるか
③ISO400のリバーサルフィルムで天頂を撮影し、星が写っていないバックグラウ
ンドの明るさを等級であらわす

以上の項目のうち、①と③は眼視観測であるため客観性に欠けるきらいがありますが、③は写真によるために客観性の高い観測です。

今回、送付されてきた結果のなかで、揖斐川町東横山の調査結果は、写真によるバックグラウンドの明るさが21.7等級というものでした。
これは、天の川が十分に見える数値であり、撮影日が薄曇りだったことを勘案すれば、揖斐川町の夜空がまだまだ暗いことを示す結果です。

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ただ、徳山ダム建設による夜間照明の増加や周辺市町村の光害増加の影響で、揖斐川町の夜空も確実に明るくなっていることは事実です。
美しい星空は揖斐川町の財産だと思っていますので、町執行部にも働きかけ、光害を何とか減少させなければと考えています。

写真:藤橋城(西美濃プラネタリウム)と夏の天の川

2007年03月24日

●「月と土星を見る会」

昨日は、「月と土星を見る会」と題して、天文台から小型機材を持ち出して、揖斐川歴史民俗資料館の駐車場で、揖斐川町民向けの観望会を行ないました。
夕方から薄雲が出始め、終了の頃には月と土星しか見えないほどになってしまいましたが、大勢の参加者があり(たぶん100人以上)、大盛況となりました。
望遠鏡は、20cm反射、15cm屈折、15cm対空双眼鏡、13cm反射、8cm屈折の5台。
観望した天体は、金星、土星、月、折から月と接近中のプレアデス星団(すばる)です。

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曇る直前ということで、シーイングがとにかくすばらしく、15cmで見る土星はほとんど微動だにしないほど。本体の縞もカシニの空隙もしっかり見え、参加者は感嘆の声を上げていました。
町村合併後、初めて町内平野部での企画観望会ということもあって、どれほど参加者が集まるものか、正直言って不安もあったのですが、たくさんの方に喜んでいただくことができ、企画した甲斐があった観望会となりました。
町内の公民館単位で、今後、同様の観望会をという声もあり、「星のふる里・揖斐川町」へ第一歩を踏み出した昨夜の観望会でした。

2007年04月20日

●4月19日の太陽面

西美濃天文台の太陽望遠鏡がとらえた4月19日の太陽面です。
前日の雨が急に晴れたためにシーイングは良くありませんでしたが、小さな(とはいっても地球の何倍かはあります)プロミネンスがいくつか見えていました。

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掲載した画像は拡大像ですが、全体像では、ダークフィラメントもいくつか見えており、極小期の割には、まあまあにぎやかな太陽でした。
とはいっても、黒点は最近ほとんど現れず、たまにはF型の大きな黒点群を期待したいところです。
この日は、たまたま揖斐川町の姉妹都市である北海道芽室町の町長さんが視察にお見えになっており、ちょうど快晴だったので、昼間の恒星やリアルタイム(正確には8分前ですが)の太陽面に非常に感心されていました。

2007年05月01日

●4月30日の太陽面

西美濃天文台の太陽望遠鏡がとらえた4月30日の太陽面です。

20070430sun1.jpg

久しぶりに大きな黒点が出現しており、黒点周辺には白く大きな活動領域が見えています。
光球面全体では、この他にも大きなダークフィラメントやプロミネンスも見えていて、このまま少しずつでも太陽活動が活発になればいいなあと思います。

2007年05月08日

●快晴の観望会

昨日は、関が原青少年自然の家での観望会でした。
前日までの雨も上がり快晴の空の下、宿泊研修中のふたつの小学校を対象に行ないました。
望遠鏡は、20センチ反射が2台と15センチ双眼鏡。
まずは、半月状の金星にみんな「すごく明るい!」「切ったスイカみたい」とびっくり。
次はメインディッシュの土星。これは覗いた瞬間、「すげーっ!」「絵みたい!」「感動!」と大騒ぎ。
暗くなると星座の説明。

070507kanboukai.jpg

その他、M44(プレセペ星団)、アークトゥールス、さらに「これは見えないかもしれないよ」と断っておいてからM81・M82。「よくわかんなーい!」という子もいましたが、それでも3分の2ほどの子は見えたようでした。
天文好きの先生も二人いて「昔は鏡を研磨して反射望遠鏡を自作したもんですよ」と嬉しそうに話してくれました。
こうして喜んでいただけるとありがたいですし、これを機に少しでも自然科学に興味を持ってくれるといいなあと思います。
やっぱり子供も大人も生の体験がいちばんですね。

2007年06月01日

●6月1日の太陽面

西美濃天文台の太陽望遠鏡による、今日、6月1日の太陽面Hα画像です。

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シーイングは不良でしたが、極小期にしてはまあまあ大きな噴出型のプロミネンスが出ていました。
プロミネンスといっても形も継続時間もさまざまです。
ずっと同じ形のものもあれば、短い時間にどんどん姿を変えていくものもあります。
極大期になると、地球の何十倍もあるような巨大プロミネンスも出ますが、残念ながら今は太陽の活動がいちばん不活発な時期。
あと2~3年すれば、それなりに大きなプロミネンスが見られるものと期待しています。

2007年06月03日

●梅雨を控えて

梅雨を間近に控え、天文台周辺はいよいよ緑が濃くなっています。
写真は、隣接している藤橋歴史民俗資料館から見た天文台です。

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白亜の天文台は緑の中でよく目立つようで、こちらがプラネタリウムだと勘違いされる方がたくさんいます。
天文台の入口には「プラネタリウムは藤橋城の中です」と紙が貼ってあるのですが、お城の中にプラネタリウムがあるということがにわかに信じられない方も多いようです。
なかには天文台とプラネタリウムの違いをなかなか理解されない方も多く、説明に苦慮することもあります。
天文台は、昼間は公開していませんが、無料の自由見学通路からガラス越しに60cm反射望遠鏡を見ることができます。

2007年06月07日

●活発な黒点群

西美濃天文台で撮影した6月3日の太陽面です。

070603sun.jpg

非常に活動的な領域が見えています。
この領域では、今週初めにフレアが発生しました。
昨日、今日は、黒点群を囲むように花びら上の不思議な模様が見えています。
俄然、活発化してきた太陽面。
白色フレアがとらえられたらいいなあ。

2007年06月28日

●強力レーザーポインター

昨夜は、揖斐郡池田町で、小学生80名を対象とした観望会でした。
晴天でしたが、透明度は非常に悪く、月が明るいこともあって北斗七星が何とか見える程度の条件でした。
当初は20時からの予定でしたが、西の山が高く、金星と、そろそろ見ごろを終える土星が沈んでしまいそうでしたので、19時40分から開始しました。
月、金星、土星、木星に向けた4台の望遠鏡で、4班に分かれて観望してもらいます。
透明度が悪いうえに、シーイングも悪く、土星も木星も100倍以上の倍率はかけられませんでした。
それでも小さな土星像に、子供たちは感嘆の声をあげています。
望遠鏡での観望が終わると、強力レーザーポインターを使用した星座案内。
秘密兵器の強力レーザーポインターは、非常に明るく、確実に星を指し示すことができる便利モノなのですが、ひとつ問題があります。何も性能が悪いわけではありません。
子供たちが、指し示している星よりもレーザーポインターに関心を持ってしまい、「それなに?」「飛行機まで届く?」「どこから買ったの?」「値段は?」などと、天体観察とは無関係な質問攻めにあってしまうのです。
以前、レーザーポインターで失明したという事件が続いたことがありましたが、これだけ興味を引くのですから、さもありなんという気がします。
レーザーポインターだけではなく、飛行機、遠くの灯りなど、子供たちの興味は、えてして天体以外に向いてしまいがちです。
満天の星が見える条件下での観望会ならそうしたこともないのですが、街中で、しかも天気が悪かったり月明りがあったりすると、星空への興味を持続させることが、案外、難しいことに気づかされます。
このレーザーポインター、すばらしく強力なのですが、それだけに電池をすぐ消耗してしまうことが大きな欠点でもあります。あらかじめ充電状態をチェックし、スペアの電池を用意することが使用する際の必須条件です。

2007年07月14日

●天文台の台風対策

超大型の台風4号が来るということで、昨日の夕方は、天文台の台風対策をしました。
天文台のドームは、風船を半分に切ったようなものですし、建物本体から切り離されて回転する構造になっているために、隙間部分から強風が入りこむと簡単に全体が浮いてしまいます。
下手をすれば、そのまま飛ばされてしまうことにもなりかねないので、台風前にはいつも風と雨の対策を行います。

具体的には、ドームが飛ばないよう、ドーム内周に沿って設置されているアンカーボルトを締めることと、万一ドーム天井から漏水しても望遠鏡が濡れないよう、望遠鏡に養生シートをかける作業を行いました。
旧天文台でも、どこからか入りこんできた雨水がドームの床に溜まっていたことがありましたので、台風前には必ず対策を行う必要があります。

台風は今夜、東海地方にもっとも接近とのこと。
何も被害がなければ良いのですが。

2007年08月01日

●昼間の金星

昨日は、終日すばらしい快晴でした。
でも、夜は月齢16。せっかくの快晴なのにすぐ月が昇ってしまいます。
なんだかもったいないので、昼間の金星を天文台で撮影しました。

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シーイングは絶好、というわけにはいきませんでしたが、何とか撮影できる条件でした。
最大離角の頃の金星は半月型であまり面白くありませんが、内合近くの姿は視直径も大きくなかなか見事なものです。
ちょうど西方最大離角の水星も見ました。
やはり金星とくらべると小さくて、こっちは見ただけ。撮影する気になりませんでした。

20cmF8ED屈折 EOS-KISS+PL6mmによる拡大撮影

2007年08月03日

●保育園で観望会

台風5号の影響で時折激しい雨が降る中、今夜は揖斐川町内の保育園での観望会でした。
5歳児と6歳児20人ほどを相手に、私が望遠鏡3台と双眼鏡をツールに使いながらの望遠鏡の話、相棒のKさんがプロジェクターを使用して太陽系天体から銀河に至るまでの天体の説明を行ないました。
幼児相手のお話というのは、数字や科学用語が使いづらく、なかなか難しいのですが、この保育園の幼児さんはなぜか非常にノリが良く、まったく飽きる気配なく食いついてきてくれるので、あっというまに予定時間を過ぎてしまいました。
この保育園では昨年も、やはり雨の中、同様にお話をしたのですが、そのときも今年と同じく興味津々という感じでした。
私たちが幼児相手の話に慣れてきたのか、この保育園の子たちが特別に星好き?なのかは何ともいえませんが、帰るときも全員で見送ってくれて、楽しい観望会でした。
次回はぜひ快晴に恵まれた夜空の下で、さまざまな天体を見せてあげたいなあと思います。

2007年08月12日

●観望会3連発

9日から11日まで、観望会が3連発でした。
9日は、揖斐川町教育委員会主催の町民向け星空教室、10日は30名弱の団体さん、11日は定期観望会でした。
9日と10日は若干、雲が出ましたが、11日は快晴、満天の星空に参加者は歓声を上げっぱなしでした。
ペルセウス座流星群の活動期ということもあって、星座案内の合間にはいくつも流星が出現、メジャーな星座だけでなく、いるか座やかんむり座といった小さな星座も丹念に解説し、参加者は感心することしきりでした。
60㎝望遠鏡では、木星、M57、M13、ベガなどを観望。低空の木星はシーイングが悪くイマイチでしたが、M57は輪を作ったたばこの煙そのもの、M13は大望遠鏡の写真さながらで、ため息の連続となりました。
楽しい観望会でしたが、8日は宿直、4連続の夜間勤務はさすがに疲れました。
ウチの施設は、通常の事務職と同じく朝8時30分出勤です。職員を増員してシフト勤務を組めるようにすれば、天文台をもっともっと活用できるのですが。

2007年08月16日

●天文台の昼間公開

今日は、午後から天文台の昼間公開を行いました。
観望する天体は、うしかい座のアルクトゥールス。金星はちょうど今日が内合だし水星も太陽に近いので。

昨日は満員大盛況だったプラネタリウムも、今日はやや人出が沈静化したので、天文台を公開してもどれほどお客さんが来るかなと思っていたのですが、蓋を開ければ来ること来ること。
約50名の方がアルクトゥールスを観望し、天文台の設備を見学し、知る人ぞ知る西美濃天文台名物、星空トイレに感嘆し、ビデオを持参されている方は昼間の星の画像をビデオに収め、全員、大いに満足して帰られました。
ただ、快晴だったのは良いのですが、折からの異常高温でドームの中は暑いこと暑いこと。お客さんも私も汗びっしょりで大変でした。

アルクトゥールス近くの2.35等星も見ましたが、さすがにこちらは半分程度の方しか見えなかったようす。
一度、確認できればあとは楽に見えるのですが、一般の方には1等星以外はなかなか難しいようです。

2007年08月19日

●暗さを取り戻した西美濃天文台

昨夜は、西美濃天文台の定期観望会でした。
天気予報では山間部は夜から雷雨とのことでしたが、夕方まで快晴、20人以上から申込みがあり、19時30分からスタートしました。

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月齢5.5の月が低くなり、ドームのスリット下縁すれすれだったので、まずは20cm屈折で月面観望。
続いて定番の木星。全員、縞模様と衛星は見えたようでした。
だいぶ暗くなってきたので、テラスへ出て星座の説明。月があるにもかかわらず、天の川がくっきり見えて参加者一同感動。
あとは、ベガ、M57、M27、M22、M11などを見て、最後に研修室で質問コーナーを実施後、終了。
終了と同時ににわかに曇りましたが、観望会の時間内は晴れて、全員、非常に満足されたようでした。

一時は、徳山ダム建設の宿舎が立ち並び、新聞が読めるほどの光害があふれていた天文台周辺ですが、今年になってそうした光害はほぼなくなり、あたりは懐中電灯なしでは歩けないほどの暗さです。以前と同じ、真っ暗な天文台が戻ってきました。
天の川がくっきり見える夜空の下で行なう観望会はとても楽しいものです。
秋からは、観測や天体画像の撮影にも力を入れたいと考えています。

写真:夕暮れの月

2007年09月21日

●明るい流れ星を見かけたら

秋は、明るい流れ星が多い季節です。
仕事がら、一般の方から、ときどき「大きな流れ星を見た」という話を聞きますので、以前に藤橋村の広報に掲載した文章を再掲します。
このブログを読まれている方のなかで、もし明るい流れ星を見かけたら、以下の要領でメール等で教えてください。
以下、本文です。 

 夜道を歩いていて、あるいは車を運転していて、ふと流れ星を見かけることがあります。
静かな夜空に一瞬のコントラストを添えてくれる流れ星は深く心に残るものですが、中にはとても明るいものもあり驚かされます。
 流れ星のうちで、特に明るいものを「火球(かきゅう)」と呼んでいます。明るい火球は、たくさんの人に目撃され、マスコミや天文台などに多くの報告が寄せられますが、こうした報告かを集めることによって、さまざまな宇宙の謎がわかってきます。

■ 火球の重要性
 火球のうち、特に明るいものは、「隕石」となって地上まで落ちてくることがあります。
星はどれもとても遠いところにあるので、手に取って観察することができません。でも、隕石は別です。宇宙から落ちてきた隕石を調べることで、私たちは地球以外の天体を直接、調べることができるのです。
 隕石が落ちてくることはとても稀なようですが、実はそうでもないようです。ある学者は、毎日千トン近くの物質が、宇宙から降ってきていると言っています。地球上で人間の住む場所はごく限られていて、人の入らない山や砂漠、海に落ちた隕石はほとんどが見つからないのです。

■ 隕石発見の手がかり
 ところが、たくさんの人からの火球の報告を集めてゆくと、隕石の落ちた場所がわかります。大体の場所がわかれば、その辺りを大人数で探すことにより、隕石を見つけられるチャンスが増えてくるのです。

■ こんなことに注意して
 宵の明星よりも明るい火球を見かけたら、落ち着いて次のことをメモしてください。
①時刻 ②方角と高さ ③明るさ(例・金星くらい、半月くらい)
④火球が飛んだあとに白いすじが残ったか ⑤色 ⑥音の有無 ⑦目撃場所 
 以上の内容を、松本まで連絡いただければ、専門の機関に報告し、宇宙の研究に役立たせていただきます。

藤橋村「広報ふじはし」2000年11月号掲載  

2007年10月05日

●昼間のアークトゥールス

今日は、揖斐川町内の小学校4年生がプラネタリウムと天文台の見学に来ました。
昨夜までの雨も止んで晴れてきましたので、昼間のアークトゥールスと月を観察しました。
アークトゥールスは色が赤っぽいので青空とのコントラストが良く、昼間の天体観察では見やすい対象です。
小学生たちは「見えた!」「昼間でも見えるんだ!」とワイワイ言いながら、夢中でアイピースを覗いていました。
昼間の星を見た人は、日本中でそうたくさんはいないはずです。
恒星では4等星まで、惑星は、土星までは昼間でも見ることができます。
もっとも昼間の木星や土星は、海に浮かぶクラゲみたいなイメージですが、それでも初めて見た驚きは非常に大きいようで、誰もが一様に歓声をあげます。
職員数さえ充足されれば、昼間の観望会をもっとたくさん開催したいものです。

2007年10月07日

●地味な星座?を見る

天文台で観望会を行う際には、望遠鏡で天体を見るだけでなく、ドームに隣接したテラスでレーザーポインターや光量の大きな懐中電灯を使用して星座解説を行います。
今の季節ならば、夏の大三角や秋の四辺形、カシオペヤ座など、お約束の星座や星の並びを紹介するのは当たり前ですが、暗い夜空を利用して、私はいつも、街中では見えない暗い星主体の星座、小さな星座も解説します。

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先日の観望会では、見つけやすいけれどみんな知らない「いるか座」、有名だけど案外、探しづらい「ケフェウス座」「みずがめ座」、他にも「こぎつね座」「や座」「たて座」「さんかく座」などを紹介、レーザーポインターで星をたどりながら見つけると、参加者は一様に驚き感動していました。
望遠鏡で見ることが主体になりがちな観望会ですが、暗い夜空のもとでは、肉眼で見る星座や天の川に実は感動される方が多いのです。
西美濃天文台も、次第にリピーターが増加してきました。
西美濃天文台の生命は何といっても暗い夜空、そして懇切丁寧な職員の対応です。
できれば、天文台専属の職員がいて午後から21時ぐらいまで毎日対応できればベストですね。
そうした体制をとれるよう、町に働きかけたいと考えています。

2007年10月12日

●快晴の出張星見会

10日は、大野町教育委員会主宰の出張星見会でした。
当日は快晴無風と絶好の条件。
会場となった小学校には、30人ほどの家族連れが集まりました。
まずは、レーザーポインターを使用しての星座案内。
星座や星そのものよりも、レーザーポインターに関心が集まってしまうのはいつも通り。
カシオペア座を使って北極星を探す方法は、皆さん、感心されることしきりでした。北斗七星を使う方法はポピュラーですが、カシオペア座を使う方法は意外と知られていないようです。
「秋の四辺形」も、案外、感心してもらえました。「夏の大三角」は有名ですが、秋の四辺形や春の大曲線は知られていないみたいです。
星座案内に続いて、20㎝反射、15㎝屈折、15㎝双眼鏡を使用して天体観望。
M31は「今、ご覧になっているのは、230万年前の姿ですヨ」と説明すると、とたんに反応が変わります。何も説明がないと、街中では、ただぼけっとした雲状にしか見えないM31、一言、説明を加えるだけで参加者の驚きを喚起することができます。
M57は、半分以上の方がドーナツ状の姿を確認できたようでした。
最後にプレアデス星団を、と思っていたのですが、校舎が邪魔をして、見ることができずに終わりました。
それでも、参加された方は皆さん、大変に喜んでいただけました。
やはりお天気が良いのが一番ですね。

2007年10月17日

●要注意!観望会の忘れもの・落しもの

昨夜は、関ヶ原青少年自然の家に出向いての出張観望会でした。
宿泊研修の小学校の児童150名対象ということで、私を含めて天文担当の職員3人が望遠鏡8台を持参して行いました。
とにかく参加者が多いので、車3台に私有のものを含めて望遠鏡を満載して出かけたのですが、こういうときにはえてして失敗があるものです。
職場の望遠鏡を積みこんで、もう1台、私有の20㎝反射を積もうと、家に立ち寄ってポケットに家の鍵がないことに気づきました。どうも、どこかで落としたか忘れてきたみたいです。
折悪しくカミさんも不在で家に入れず、仕方なくそのまま現場へ向かいました。
現場に到着して望遠鏡を組み立て始めて、もうひとつ失敗が。
フジノン15㎝双眼鏡の脚がありません。あれこれ積み替えをしているうちに忘れてきてしまったようなのです。
本体があっても脚がなくては無意味。やたらかさばる15㎝双眼鏡は、車の積載スペースを占拠したのみで終わりました。
さらにアクシデントはもう一件。

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20㎝反射望遠鏡の赤道儀架台には、バランスウェイトという重りがついているのですが、この重りを架台の軸に取りつけるネジが(正確にはネジが押すピンが)ない。
通常は取り外すことのない部品なので、前回の出張観望会の際に抜け落ちたのに気づかなかったようなのです。
予備のウェイトを取りつけてしのぎましたが、こういう小さなネジやピンがないだけで、望遠鏡が使用できないという事態は情けないものです。
以前には、天頂プリズムのアイピース固定用の小さなネジが脱落し、天頂プリズムが使えなかったこともありました。
観望会そのものは滞りなく終了しましたが、準備と確認、それに小さな部品のメンテナンスには留意しなければいけないと改めて気づかされた昨晩でした。

写真:今回持参した望遠鏡の1台。ビクセンR200SS反射赤道儀。

2007年10月19日

●昼間の金星と土星を見る

春と秋は、遠足の季節です。
先日も、町内の小学校がプラネタリウムと天文台を見学にやってきました。
ちょうど快晴でしたので、昼間の金星を全員で観察した後、土星に挑戦してみました。
実は、昼間に土星を見るのは意外と難しいのです。
肉眼で見る明るさこそ1等星ですが、望遠鏡で拡大すると単位面積あたりの光量が低下するため、かなり暗くなってしまうのです。恒星を土星の視直径までピンぼけにした状態、と考えるとわかりやすいですね。
というわけで、快晴にもかかわらず、視野に入ってきた土星は、青空の中に浮かぶ小さなクラゲ、というイメージで非常に見づらく、子どもたちの半数以上は見ることができなかったようでした。
それでも見えた子は「環が見えた」「昼間でも見えるんだ」とかなり驚いた様子。
あまりオススメの対象ではありませんが、たまにはこういった変わり種を見るのもおもしろいかな、と思いました。

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そうそう、この日は、肉眼で昼間の金星がよく見えましたヨ。
昼間の金星を肉眼で探すには、位置がしっかりわかっていること、無限遠に目のピントが合っていることが重要ですが、その点、天文台のドーム内から見ると、スリットで見える範囲が区切られている、望遠鏡の筒先が金星を向いている、太陽の散乱光に幻惑されないという3点により、屋外よりも探しやすいのです。
ただ、どうしても望遠鏡やスリットの縁を見てしまいがちになるため、目のピントを無限遠に合わせることが難しくなるという欠点もあります。
金星の近くに雲が出ていると、雲を見ることにより無限遠にピントを合わせやすくなるのですが。
この日は、子どもたちの3分の1程度が、肉眼で金星を見ることができたようでした。

天文台というと、夜しか見えないという印象がありますが、実は昼間でも、けっこう楽しめるんですヨ。

2007年10月21日

●旧坂内村での観望会

昨夜は、揖斐川町坂内での観望会でした。
残念ながら冬型の時雨もようとなり、夕方までは見えていた半月も見えない状況なので、1時間少々、星のお話をしました。
はじめに、資料として配布した星図を見ながら、秋に見える星座や星の説明。
カシオペヤ座や夏の大三角を使っての北極星の探し方や星座の数について話した後、これも資料の月面図を見ながら月面地形の成因の話。
次いで、座学だけでは退屈してしまいますので、持参した20cm反射赤道儀を子どもたちが組み立てる体験を行い、反射望遠鏡と屈折望遠鏡を並べて光学系の違いに関する説明。
最後に、スライドを使用して太陽系の惑星とこの時期に見える星座の写真を見てもらい、盛況のうちに終了となりました。
終了後も質問が相次ぎ、星を見ることはできませんでしたが、充実した観望会となりました。
旧坂内村に限らず、揖斐川町山間部の住民は真面目で向学心旺盛な方が多く、話していて楽しくなります。
幸い、坂内と藤橋は隣接しているので、晴れた晩があったらいつでも望遠鏡を持参して馳せ参じる旨をお話して結びとしました。

2007年11月04日

●望遠鏡って高い買い物?

昨夜は、岐阜県池田町の家庭教育学級主宰の星見会でした。
小学校1年生と4年生の親子60名を相手に、快晴の空の下、望遠鏡5台(15cm双眼鏡2台、20cm反射2台、15cm屈折1台)で、夏から秋の天体とHolmes彗星を見てもらいました。
こうして望遠鏡が集まると、なぜか必ず出るのが「この望遠鏡、いくらするんですか」という質問。
昨夜の機材は、15cm双眼鏡が2台あったこともあって、総額にすると360万円ほどになります。
15cm双眼鏡一台で170万円と答えると、皆さん、びっくりされていました。
考えてみると、望遠鏡って高い買い物かもしれません。同じような価格でも、車であれば使用頻度も高いし・・・。
加えて、カメラやパソコン、各種アダプター類など、下手をすると望遠鏡本体よりも高価な周辺機器をそろえなければ観測や撮影ができない昨今です。そうそう、車がなければ移動もできないしね。
ともあれ、夏から秋の定番の天体を見、Holmes彗星を見ると、すぐに1時間半が過ぎてしまいました。
彗星は、若干、暗くなった感じです。
コマの明るさが均一でなくなり、一部分が暗くなっていました。


2007年11月05日

●一人の天文台

一人で星を見るのが好きです。
もちろん、親しい星仲間たちとワイワイやりながら見るのも良いのですが、星見の基本はやはり一人だといつも思っています。
とはいえ、別に人嫌いというわけではありません。ただ、心を研ぎ澄ませて星のきらめきと対峙するには、どうしても孤独でなければならないと思うのです。

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天文台でも、観望会で大勢のお客さんといっしょに星を見るのは楽しいものです。
そういう時には心をハイモードに切り替えて、高揚した気持ちで対応しています。
そして、お客さんが全員帰った後には、心はローモード、というべきか、孤独モードにチェンジします。
一人きりで60㎝望遠鏡を操り、観測・撮影プログラムをこなしていくひととき、聞こえるのはパソコンや望遠鏡の制御システムがたてるわずかなノイズだけ。
時折、日周運動に合わせてドームが回転する音だけが時の経過を告げてくれます。
静まりかえったドームの中で過ごす時間は、思いのほか早く過ぎてしまいます。

一晩中、星空の下で過ごせれば良いのですが、そこは私もそれなりに忙しい現代人。
翌日の仕事を考えると、ある程度の時間でドームを閉めざるを得ません。
仕事や種々の雑事を気にせず、心ゆくまで星を見ることができるのはいつのことでしょうか。

写真:60㎝望遠鏡とHolmes彗星

2007年11月09日

●2重星団を見る

Holmes彗星撮影の合間に、ちょうど彗星がいるペルセウス座の2重星団を観望しました。
明るい星団なので、出張観望会では定番なのですが、天文台での観望会では、どうしても大口径ならではの天体にリクエストが多く、2重星団は案外、観望しないまま終わってしまうことがあります。
久しぶりに天文台の暗い空で見る2重星団は、宝石をちりばめたようで、ため息が出るほどの美しさでした。

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つぶさに見ると、意外なほど赤い星が多いことに気がつきます。
通常、散開星団は、若い星で形成されており、青白い星がほとんどを占めています。
ですから、2重星団の中に見える赤い星は、たまたま同じ方向にある赤い星が重なって見えているだけなのかもしれません。
それでも、かに座にあるM67という散開星団は、赤い星を多く含んでいることで知られていますから、星間ガスの濃い部分から集中的に星が形成されて、やがてガスが吹き飛ばされた後に残ったのが散開星団、という一般的に考えられている散開星団の形成メカニズムにも、さまざまな例外があるのかもしれません。

写真:100mmF4SDUF屈折 EOS KissD exp 3m 

2007年11月20日

●テレビの取材

昨夜は、天文台でCBCテレビの取材でした。
土曜日の午後4時30分から放映している天気予報番組で揖斐川町を特集するとのことで、気象に関係の深そうな?天文台へ取材に来たものです。
今回のテーマは「水」とのことで「町の中央を流れている揖斐川が美しい星空にどのような寄与をしているか」と尋ねられましたので「直接の関係はないが、間接的には、揖斐川の水が山を潤し、豊かな森林を作っている。森林は大気中の汚染物質や埃を吸着するので、天体観測に適したきれいな空気を供給するという点で、揖斐川も大きな役割を担っている」と答えておきました。
インタビュー後は60㎝望遠鏡で折から中天にかかっている半月をはじめ、1等星などの撮影。
冬型の割りにはシーイングが良く、ビデオで月を撮ると、まあまあの写りとなりました。
時間の経過につれて寒さが増し、ドーム内の気温は4度。
レポーターの女の子は、ドームのスリットにはガラスが嵌っていると思っていたらしく「寒いと思ったらドームのスリットって素通しなんですね」と驚いていました。
収録を終わり、Holmes彗星を見ようと思ったら一瞬のうちに快曇。
まあ、あの強い冬型で晴れた分だけラッキーでした。
番組は、24日(土)CBCテレビで午後4時30分より放映するそうです。

2007年11月21日

●雲間の出張観望会

昨夜は、関が腹青少年自然の家に呼ばれての出張観望会でした。
小学校5年生85名と人数が多いので、20cm反射を2台、15cm屈折を1台、15センチ双眼鏡を1台と、合計4台を持参しました。
折悪しく冬型の悪天候で藤橋は雨。
現地は、ちょうど曇りと晴れの境目で、雲間からときおり半月が覗く状況でした。
当初は、室内でお話、と打合せをしていましたが、何となく晴れそうな気がしたので、予定通りグランドに機材をセッティング。
幸運なことに、セッティング中からぐんぐん晴れてきて、観望会を開始するころには雲は多いながらも何とか星が見える状態となりました。

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月が明るいのと、雲の流れが速いため、観望できたのは、月、M31、カペラ、プレアデス星団だけでしたが、冬型の割にはシーイングが良く、子どもたちは歓声を上げて望遠鏡を覗きこんでいました。
Holmes彗星の方向は、終始雲に覆われていて観望することができませんでした。
20回ほど開催した今年の出張観望会のうち、まったく星が見えなかったのはわずかで、晴天率は非常に良い結果となりました。
お天気に左右されるのが観望会の難点ですが、それだけに快晴に恵まれたときの嬉しさは格別です。

帰宅すると雲が多いながらも晴れていましたので、双眼鏡でHolmes彗星を見てみました。
ペルセウス座α星の近傍に、まるでM33のようなやや細長い形状の彗星がぼんやりと見つかりました。
視直径が大きいのと月明りがあるため明るさの目測が困難でしたが、全光度で4等程度でしょうか。M31よりは明るいと思いました。肉眼でも淡い霧のように見えました。
ただ、10cm以上の大型双眼鏡でも使わない限り、都会できれいに見ることは難しそうです。

写真:M31中心部(20cmF8屈折 EOS Kiss D)

2007年12月05日

●観望会の本当の主役は?

天体観望会といえば、主役は子どもたち、というのが一般的な通念のように思います。
実際、出張観望会の依頼元は、学校や子ども会、あるいは行政の主催する「親子星見会」的な企画が圧倒的に多いのです。
そうした場で、もちろん子どもたちは、天体の姿を見て喜んだり驚いたりしてくれます。
でも、観望会で子どもたち以上に喜んでいる客層?があるのです。
それは、子どもを引率してきたお母さんや学校の先生。
快晴で月や土星といった「見ておもしろい」天体が見える晩でしたら、子どもたちの興味関心は観望会の実施時間中継続されます。
しかし、雲が出たりめぼしい天体がない場合、どんなに上手にお話しをしても、子どもたちはすぐに飽きてしまい、ふざけたり走り回ったりし始めます。
これはある程度、仕方のないことです。子どもは抽象的な概念を思い描く能力が未発達ですから、目に見えるモノ、手で触れるモノでなければ、興味を持続できないのです。

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これに対して、引率のお母さんや先生方は実に興味津々です。
たとえ曇っていようがめぼしい天体がなかろうが、さまざまな質問をぶつけてきます。
宇宙に関する基本的な知識が子どもよりも豊富なこと、手で触れることができず抽象的にとらえざるを得ない宇宙や天体の構造に関する把握能力が高いこと、またお母さん方の場合は「宇宙=ロマンチック」という概念が関心の高さに結びついているような気がします。

観望会というと、どうしても望遠鏡で天体を拡大して見る、という方法が主体になりますが、大人の参加者がいちばん喜ぶのが、意外なことに星座の解説です。
レーザーポインターで夜空の星を結んで星座を説明すると、大人の方は「これまでいくら探してもわからなかった星座が、こうして説明して貰えるとすごくよくわかる」とたいへん好評を博します。
星座を結んで人やモノの形を描くという作業は、かなり頭の中で想像を逞しくしなければ困難であり、抽象概念にうとい子どもたちよりも大人の方がそうした能力に長けているということのほか、特にお母さん方にとっては「星座=ロマンチック」という図式があり、余計に星座への関心が高いのではないかと私は考えています。

子どもを含めず「お母さんのための天体観望会」を企画すれば、案外と多くの需用が開拓できるのかもしれません。

写真:プレアデス星団(すばる)は老若男女問わず人気の天体

2007年12月10日

●スター・ウィーク実行委員会

今日は、国立天文台で開催された「スター・ウィーク実行委員会」に参加してきました。
「スター・ウィーク」は、毎年8月1日から7日を「星空に親しむ週間」として、さまざまな場所・さまざまな手段で星空を見上げてもらおうという趣旨で1995年から始まったキャンペーンです。
このキャンペーンが始まったのが、私の勤務する揖斐川町(当時は藤橋村)の西美濃天文台が主宰した「全国の天体観測施設の会」の席上だったこともあり、以来、実行委員としてキャンペーンの推進を手伝いさせていただいています。

このキャンペーンも、いつのまにか15年が過ぎました。
それなりに知名度も高まり、天文普及に少しは寄与をしてきたかなと思っています。

「天文」というと、ロマンチックな印象がありながら、実のところはかなり難しくマニアックな趣味です。
ごく一部の超ハイレベルの天文ファンが、高価な機材とプロの学者顔負けの知識でさまざまな成果を挙げているのがわが国の天文趣味世界であり、そうしたハイアマチュアの成果はすばらしいものではありますが、反面、非常に偏狭な側面があり、一般の方や初心者にとっては「高尚で難しくとっつきづらい」趣味分野でした。
天文という趣味はまさに「オタク趣味」であり、宇宙や星に興味関心を抱く人は決して少なくないにもかかわらず、そうした「小難しい」印象が強いため、なかなか裾野が広がらなかったのが現状だったのです。

「スター・ウィーク」でも、当初は全国に沢山ある公開天文台やプラネタリウムといった施設を対象にしたキャンペーンが多かったのですが、ここ数年は、一般の方が気軽に参加できるキャンペーンを徐々に増やしています。
一般の方が楽しく、しかも全国の仲間と同じ星空を見上げているんだという一体感のもとに夜空に親しんでいただければという趣旨です。

「スター・ウィーク」を通じて星空に親しんだ方々の中から、これまでの天文趣味分野にとらわれない広い視野を持った「天文ファン」が出てきてくれればいいなあ。
私はそんなことを思います。
晴れた晩には、家族で、友達同士で、ごく当たり前に星空を見上げ、語り合うことができれば楽しいですね。
そうそう、そのためには、日本の夜を侵食している「光害」も何とか減らさなくては・・・。

2007年12月12日

●女の子天文ファンが増加?

昨夜は、関ヶ原青少年自然の家に出向いての出張観望会でした。
呼んでくださったのは、岐阜県輪之内町の小学校3校合同の宿泊研修。
5年生が128人と先生数名で、会場となった研修室は熱気でムンムン。
残念ながら曇り空で、室内でのお話となりました。
私がスライドを使用して太陽系天体の説明、同僚のKさんが、会場に組み立てた望遠鏡を使用して、望遠鏡の仕組み+太陽や惑星の大きさの話と分担しました。
128人もいると、なかには詳しい子もいて、こちらが説明する前に「この星は○○星!」と言ってくれます。
また、今回、特に感じたのが「天文に興味を持つ女の子が多いなあ」ということでした。
天文という趣味は、以前は確実に「男の子の趣味」だったのですが、ここ10年ほど、星が好きな女の子が増えたような気がします。
今回は人数が多かったせいもありますが、熱心に質問をしてくれる女の子が多く、だいぶ天文趣味の世界も変わってきたのかなと感じさせられました。
そういえば、天文台にいらっしゃるお客さんでも、女性の比率が高いような気がします。
これはもちろん喜ばしいことではありますが、科学に興味をもつ男性が相対的に少なくなったと考えれば、喜んでばかりもいられないのかもしれません。

2008年02月04日

●冬の星空継続観察

空気が澄んで灯りが少ない場所ではたくさんの星が見え、逆に都会では数える
ほどしか星が見えないことは私たちもよく経験することです。
このように、星空の見え方は、地域の大気がどのくらい汚れているか、また街明かりがどれだけ夜空を
照らしているかを知るめやすとなります。  
環境省では、星空の見え方を全国で調査して大気環境を調べようと、毎年2回、「全国星空継続観察」を行っており、西美濃天文台は平成3年度からこの調査に参加しています。

観察は年2回。夏は「おりひめ星」のあること座付近を、冬は、おうし座のプレアデス星団(すばる)付近を観察します。
冬場の藤橋地区は雪や雨の日が多いため、天文台職員は天気図をチェックしながら少ない晴天を狙います。

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平成4年度冬の調査では、旧藤橋村が全国で3番目に星の美しい場所として発表され、全国に知られるようになりました。
その後、順位発表は行われなくなりましたが、今でも揖斐川町の観察結果は全国的に見て良好となっています。

この冬は、1月27日から2月9日が観察時期となっています。
例年なら雪雲に閉ざされて星影を見ることもできない晩が多いのですが、今年はなぜか晴天が多く、すでに2回、観察を実施することができました。

星空の美しい揖斐川町ですが、毎年のデータは残念ながら徐々に夜空が明るくなっていることを示しています。
地球温暖化防止や省エネの観点からも、街灯や電飾広告など夜間照明の適切な使用が求められています。

(広報いびがわ平成20年2月号掲載分に加筆)
写真:冬期の観察対象「おうし座のプレアデス星団(すばる)」

2008年02月19日

●デリバリー観望会が好評!

 私どもの館(西美濃プラネタリウム)では、近くに口径60センチの望遠鏡を備えた天文台があり、定期的な観望会を実施しています。天文台まで出向いていただければ、山間地の清澄な星空の下、大望遠鏡で迫力ある天体の姿をご覧頂けるのですが、交通の便や行事の都合上、なかなかすべての人に足を運んでいただくわけにはいきません。そこで必然的に(?)観望会のデリバリーの依頼が増加してきたいうわけです。
 私どもとしては、できるだけたくさんの場所へ星空のデリバリーに伺いたいのですが、昼間はプラネタリウムを投影し、夜間は天文台の勤務、そして事務仕事もあるために、すべての要望には応えられないのが実情です。今のところは、西濃圏内で、教育目的のグループ(学校、少年団、ボーイスカウト、公民館活動など)からの依頼に限って、おおむね年間に30回程度実施しています。

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 観望会当日は、午後4時頃に依頼先と電話で天候の確認をします。ほとんどの場合、曇雨天でも講話の希望がありますので、どうしても天候が思わしくない場合は望遠鏡のかわりに「星のお話セット」を用意します。特に小さな子どもさんが多い場合は興味の継続が難しいので、小型の天体望遠鏡や太陽・惑星のミニチュアモデルなど、実際に手に取ったり目の前で観察できるモノを使用しながらお話しをするのです。さらに、じっと座っているだけでは眠くなってしまいますので、子どもたちを太陽や惑星に見立て、軌道上を歩いて貰うなど、体を動かしながら宇宙を体感できるよう工夫しています。

 晴天の場合は、望遠鏡数台を並べて、見頃の天体を観察してもらいます。走り回らない、懐中電灯をむやみに点灯しない、望遠鏡に触らないなどの注意をしてから、まずは強力なレーザーポインターで星座の説明を行い、次いで望遠鏡で観察を行います。
 その際は、必ず望遠鏡の傍らに付き添い、ひとりひとりにいま見ている天体の説明を行います。望遠鏡は、15cm屈折と20cm反射、それに15cm双眼鏡を主に使用しています。自動追尾にしておいても、参加者が触れたりして天体が視野から外れることも多いので、頻繁に確認するようにしています。

(初出:東亜天文学会機関誌「天界」2006年1月号)
写真:曇った晩は室内で星のお話をします。

2008年02月21日

●台湾から視察に来ました

昨日は、台湾観光企業の方がプラネタリウムと天文台を視察に来ました。
30分ほどしか時間がないとのことで、大急ぎで両施設を案内。
晴れていれば昼間の星を見て貰おうと思っていたのですが、残念ながら小雨が降り出し、さらに天文台のドームには雪が積もっていてドームを開けられる状態ではありませんでした。

それでも、同行してきた県庁の方がびっくりするほどプラネタリウムと天文台に興味を示され、質問また質問。
結局、時間を20分近くオーバーして次の目的地へ向かわれました。

全日は飛騨を、昨日午前中は郡上市を視察してきたとのことで、台湾ではまず見ることのできない雪を堪能されたようです。
星を見るには、ちょっとつらい季節ではありましたが・・・。

2008年03月07日

●土星に見惚れた観望会

今日は、大野町第2公民館主催の星見会でした。
毎年、講師として呼ばれている観望会のひとつです。
この冬は雪の日が多いため天候が心配でしたが、夕方から晴れてきて、終了まで快晴の星空の下でたくさんの天体を見ることができました。
用意した望遠鏡は、20センチ反射が2台と15センチ屈折、15センチ双眼鏡がそれぞれ1台の計4台です。

この時期のメインディッシュは、やはり土星。
だいぶ環の開き具合が狭くなってきて、シーイングが悪いと串刺しの団子みたいに見えてしまうこともあるのですが、今日は冬場にしては大気が落ち着いていて、とても綺麗な土星を見ることができました。
参加者からは歓声とともに「写真が貼ってあるみたい!」という感想が漏れていました。

あとはオリオン大星雲、プレアデス星団、火星、シリウスなど。
これらの中ではシリウスが好評でした。
若いお母さん方に言わせれば「ダイヤモンドみたい!」とのこと。

自前の望遠鏡を持参されて調整をしてほしいという方もあって、ちょこっと調整して土星を導入してあげたところ、「こんな小さな望遠鏡でも環が見えるんだ」と感激されていました。

参加者数は60名ほどだったでしょうか。
大変に寒い晩でしたが、皆さん、熱心に最後まで星空を見上げていました。

来週の金曜日は、揖斐川町内で同じく出張観望会を行います。
晴れてくれればいいのですが・・・。

2008年03月15日

●雨の観望会

昨夜は、「月と土星を見る会」と題した観望会でした。
天文台で主催する観望会には2種類があり、ひとつは天文台現地で開催する通常の観望会、もうひとつは移動機材による出張観望会です。
昨夜、行ったのは、後者の出張観望会でした。
場所は、揖斐川町の平野部にある揖斐川歴史民俗資料館。舗装された駐車場と野外トイレがあり、光害のほとんどない良い場所です。

昨年の「月と土星を見る会」は晴天に恵まれ、200人ほどの参加者で会場はいっぱいになりました。
ところが、今年は朝から雨。
悪天候の場合は室内で講話という予定だったのですが、開始時間間近になっても参加者はパラパラ。
まあ、仕方ないか、と思っていたところ、開始時刻直前になってどっと参加者が集まり、結局、30人ほどの親子連れが集まってくれました。
望遠鏡を並べて光学系の説明を行い、次いでプロジェクターで宇宙の果てまでのシミュレーション。
悪天候の場合はいつも、星が見えない分だけお話には力が入ります。
そのせいか、皆さん喜んでくれて、和やかな雰囲気で観望会を終えることができました。

観望会に悪天候はつきもの。
それでも参加者を楽しませる努力を、今後とも継続していきたいものです。

2008年04月24日

●ふじはし星の家が復活!

かつて西美濃天文台を訪れる人が宿泊のベースとしていた「ふじはし星の家」が、徳山ダム完成に合わせてこの4月20日から営業を再開しました。

もともとは地域の廃校を再利用した宿泊研修施設でしたが、今回のリニューアルオープンにあわせて内外装ともに一新、現代水準の宿泊施設になっています。

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ただ、以前のような合宿自炊型の施設ではなくなりました。
一般の方が利用される場合、1泊2食付で大人6,500円、高校・大学生5,000円、中学生以下4,000円、未就学児3,000円という料金設定となっています。
最大で60名まで宿泊が可能で、21畳の大部屋と10畳の小団体用の部屋があります。

写真は、10畳の小部屋?の様子。かつてのような「いかにも廃校改造!」という感じはありません。
お問い合わせ・申し込みは下記までどうぞ。

電話:0585-52-2077 ふじはし星の家

2008年05月10日

●天文業界にも派遣・臨時雇用が急増!

このところ、公開天文施設や望遠鏡ショップ等、いわゆる天文業界でさまざまな問題が起きています。

ひとつはリストラ。
プラネタリウムや公開天文台の正規職員として採用された、あるいは天文ブームに乗ってオープンした天文ショップ・望遠鏡メーカーで正社員として採用された人たちが、配置転換や肩たたきにあう例が急増しています。
指定管理者制度の広がりにあわせて、正職員のかわりに契約職員や派遣職員を採用する例も増加して
います。
というより、最近では正職員の募集はほぼ皆無で、どの施設でも募集しているのは1年間の契約職員、しかも最長で5~6年程度が雇用の期限という形態です。
介護業界や外食産業と似通った雇用形態が急増しているのです。

それに伴い、天文業界では、精神的に不安定な状態に陥る人たちも増えています。
自治体の財政は逼迫し、天文ブームも去り、今後ますますつらい立場におかれる人たちが増えてきそうです。

理科教育の一端を担う天文施設や、優れた機材を提供する立場にある望遠鏡ショップ・メーカーが、このような状況におかれることはもちろん良くないことなのですが、もともと縮小傾向にあった業界の上、わが国の経済や制度が、あらゆる面で破綻しつつある昨今では仕方ないことなのかもしれません。
かくいう私も人ごとではないのですが、そうした状況下でいかにしたたかに生きていくかを模索するしかないようです。

2008年10月13日

●天文台の昼間公開

今日は、プラネタリウムのある藤橋城・西美濃天文台周辺で「藤橋どんどん」というイベントがありました。
このイベントでは昨年から天文台の昼間公開を行っており、今年は施設担当ではないのですが、忙しい時間帯に手伝いをしてきました。

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晴天に恵まれましたので、大勢の方に昼間の星を見ていただくことができました。
アルクトゥルスや金星を観望したのですが、残念ながら金星はいちばん視直径も小さく形も丸に近い姿で、あまり見栄えはしませんでした。それでも明るいので、ほぼ全員が昼間の金星を確認することができたようです。
これが恒星となると、明るい1等星であってもどうしても見えない人もいて、申し訳ないような気にさせられます。
昼間の場合、同じ惑星でも、金星以外の星となると、水星はまだ見やすいものの、木星は青空に漂うクラゲのよう、土星に至っては溶けかけたクラゲのようで見えるか見えないか、火星も意外に輝度が低く金星や水星ほどには見やすくありません。

2010年07月18日

●公開天文施設かくあるべし!

先日、岐阜県西濃地方では最大級の規模をもつ公開天文台の昼間公開を見てきました。
幸い、お天気も良く、またお客さんも適度な数でした。
その天文台の担当者は昔から良く知っている人で、天文知識も経験も豊富で、天文教育に大変に熱心な人です。

大口径の望遠鏡を操作し、解説をするその人の姿を久しぶりに見ましたが、ときにユーモアを交えながら、わかりやすく参加者の親身になった説明は以前と変わらず、このところ、駆け出しのアマチュアのレベルにも達しない公開天文台をいくつか見てきた身にとっては、非常に満足の行く公開で、久々に「公開天文台の本当の姿というのはこういうものなのだなあ」と感じ入りました。

下火になってきたとはいえ、わが国には公開天文施設は無数と言えるほど存在します。
しかし、その多くは、大口径の機材を揃えている割にはただ惰性で月や惑星を覗かせているだけで、職員の天文知識も観測経験も劣悪な施設が、残念ながら少なくありません。
税金を投入し、理科教育の一環を担っているはずの天文施設の多くがこうした状況にあるのは、文教関係予算の削減や行政トップの無理解もありますが、それでも運営に携わる職員が常に研鑚を怠らず、天文教育に対する熱意を持ち続けているならば、工夫次第で何とか良い運営ができるものです。
残念ながら、現在、公開天文施設に勤務している職員の中には、そうした自己研鑽の努力が足らない人が散見されるような気がします。

そうした職員は、プラネタリウムの投影やおざなりの天文台公開は行なうものの、総じてプライベートに星を見ていません。
高度な観測や撮影をしろとは言いませんが、星が好きで公開天文台に勤務しているのですから、晴れた晩には自分のテーマに沿って星空を見上げたくなるのが普通です。
というより、普段から星を見ていない人が、他人に星空の魅力を伝えられるはずがありません。

今回、公開に参加させていただいた施設の職員は、自分でも観測をし、仕事の手も抜かず、非常にエネルギッシュに天文に取り組んでいます。
天文を仕事にしている以上、星空を見上げ、少しでも知識と経験を蓄積する努力を惜しまないのは当然なことです。

落胆することの連続だった最近の公開天文台巡礼ですが、今回は本当に清々しい気持ちになりました。
Fさん、久しぶりに会いましたが、ありがとう。

2010年08月15日

●尾鷲市立天文科学館を見学

13日、ペルセウス座流星群を観測後、せっかく尾鷲市まで来たのだからと、尾鷲市立天文科学館を見学しました。
市役所のすぐ隣りですから、わかりやすい場所です。
天文台の建つ高台からは尾鷲港が南側に広く見渡せます。
市街地ですが、南は海、周囲は山ですから、空は意外に暗そうです。

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朝一番なので、見学者は私たちだけでした。
館内には、さまざまな天体写真や望遠鏡が展示されていて、それらを拝見するうち、職員の方が太陽を見せてくれることになりました。
ところが、ペルセウス群観測時にはまあまあ晴れていた空は次第に曇り始め、太陽の姿はなかなか雲間から現れてくれません。

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望遠鏡は、旭精工製の80cmです。
焦点はニュートンカセで、架台はなんとドイツ式。
天体導入も、パソコンの画面からではなくエンコーダーからの赤経・赤緯表示に合わせるというもので、太陽の導入に至っては小型望遠鏡よろしく鏡筒の影を見ながら合わせるという、昨今のコンピューター導入に慣れた(というかそれしかできない)公開天文台職員にとっては、なかなかにハードルの高い機器です。
私にとってはそうした機器の方が楽しいのですが、実際の運用には苦労が多いものと思います。

肝心の太陽は、結局雲から姿を現さず、見ることは叶いませんでした。
それでも、職員の方はとても親切で、楽しい時間を過ごすことができました。
80cmのドイツ式ニュートンカセ、見るだけでも迫力です。
機会があれば、観望会にも参加したいものです。